拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読者様

前回言ったジバコイルを試してみましたが、思ったより使いづらかったです。
そもそも私のパーティに鬼火ドラパルトがいる時点で、電磁砲のマヒが機能しませんし。

《サブタイ(カタカナ多すぎて見辛いので)》
魔王同士の対決だ、助けなんかいらねぇ。 by新・魔王


マオウタイケツダァ、タスケナンカイラネェ。 by新・魔王

「……これは」(【……これは】)

 

元・魔王は自身の姿が変化したことに気付くと、拳を何回か握りったり開いたりした。

先程とは咄嗟に拳を前に突きだした勢いで炎を左右に吹き飛ばしたが、魔法の威力がどのくらい上がっているのか試してないことに気が付いた。

モノは試しと新・魔王に向かって腕を伸ばしていつものように力を入れてみたが、思うように力が集まらず、魔法が出ることはなかった。

身体中から力が溢れ出るのは感じるが、魔法の類いは出ない……使えないと言った方が正しいだろうか。

魔法が使えない理由は分からないが、結局のところ新・魔王を倒すことは変わらない。

 

「……いくぞ」(【……いくぞ】)

 

元・魔王は白雲達が衝撃で吹き飛ばないように調節をしながら、新・魔王に向かって姿勢を低くしながら地面スレスレで跳んでいった。

 

「キエロォ」

 

新・魔王は姿が変わったことに驚きはしたが、すぐに正気に戻り両手からバチバチと電流が流れている球を四つ出し、元・魔王に向かって投げた。

 

「……あまいな」(【……あまいな】)

 

元・魔王は一球目を右手で優しく触り、時計回りに一回転して球を投げ返した。

二球目はそれに当たりそのまま相殺。

爆発の影響で視界を覆い尽くすほど黒い煙が起こったが、元・魔王は気にせずその煙へと突っ込んでいく。

 

「……面白い」(【……面白い】)

 

ちょうどそれが死角になるかのように煙から出たと同時に三球目が元・魔王へ迫る。

本来なら拳や脚で弾き飛ばしたり、今は使えないが魔法で突破を試みるだろう。

 

「……カァ!」(【……カァ!】)

 

だが元・魔王は違った。

目の前に三球目が迫っていることに気が付くと一瞬だけ目を瞑り、目を開いたと同時に口も開いて大きな声を出した。

すると三球目はガラス細工のように段々とヒビが入っていき、跳んでいる元・魔王に触れると風船のように割れてしまった。

そして四球目は左手の手刀で横に真っ二つにした。

 

「ナニィ!」

 

その勢いで新・魔王の頬を殴り後方へと殴り飛ばした。

元・魔王は殴った場所で一度着地すると、殴り飛ばした新・魔王に追い抜くほどのスピードでまた跳んでいった。

 

「ナンダトォ!」

 

森へと飛ばされた新・魔王は木々を何本も折りながらも、太い木の幹に顔を下げた状態で両足を付けて一度止まる。

そして顔を上げた瞬間、目の前に元・魔王の拳が迫っていることに気が付いた。

 

「『吸収』」

 

とは言え新・魔王は元・魔王がもの凄いスピードで迫っていることが殴り飛ばされているときに見えていた。

だからすぐに追い付いてくるだろうと分かっていた。なら逢えて元・魔王が来るのを待つことにした。

そして追い付いてきて攻撃が当たるギリギリで『吸収』を使って自身が扱えるくらいの力を吸いとろうと言う作戦を考えていた。

 

「……やっぱりな」(【……やっぱりな】)

 

そう来ると元・魔王は既に分かっていた。

前にも攻撃した時にされた『吸収』をまた同じように使ってくるだろうと。

厄介な技であり、一度喰らうと強さが逆転する可能性もあったからだ。

だから……二度と『吸収』が使えないようにすれば逆転される可能性はなくなる。

 

「ガァアアァァ!」

 

元・魔王は伸ばしてきた右腕を肩から手刀で斬った。

右肩からトマトのような色の液体が飛び散る。

新・魔王は手刀で攻撃された痛みから叫びをあげる。

しかしすぐに立て直して上に向かって飛ぶ。

元・魔王が飛んでくる可能性が高いが、森のように視界が狭まる場所よりは戦いやすいと判断したからだ。

 

「……面倒だな」(【……面倒だな】)

 

改めて言うが、今の元・魔王は魔法が使えない。

アホ毛を回せば飛べるだろうが、魔法と同じようにアホ毛を回すことが出来ない。

正確には回せるのだが、空を飛ぶほどの力が毛には無いのか、ただ頭の上をグルグルと回るだけである。

 

「……そうだ」(【……そうだ】)

 

元・魔王は空を飛んでいる新・魔王に攻撃する方法を思い付いた。

早速それを実行しようとするが、新・魔王が切れ目を使って元・魔王の背後に左足を出し、左の脇腹めがけて蹴りを入れてきた。

 

「……ちょうどいい」(【……ちょうどいい】)

 

その蹴りを左手を使って脛を掴んだ。

そのまま体を横に倒しながら左手に全体重を掛け、肘を勢いよく曲げて体を押し上げるように上へと跳んだ。

勢いのまま新・魔王を跳び越えて頭上を取った。

しかしこのままでは空中で身動きがとれない。

空気を蹴って浮くなんてことは出来ない。

今の元・魔王は空を飛ぶことが出来ないので、頭上を取ったところで重力に従って落ちるしかないだろう。

 

「……フンッ!」(【……フンッ!】)

 

だから元・魔王はその一択しかない選択肢を、落ちるしか出来ないことをあえて作戦として使った。

頭上を取ったと同時に体を空に向けて、拳を突きだした。

脚が地面に着いておらず、拳を放った反動で新・魔王に背中を見せる形で地面へと落ちる速度が加速した。

 

「オモシロイィ!」

 

攻撃を当てる、ではなくスピードを速くする方法として使うことの考え方にニヤリと笑う。

 

「……沈め」(【……沈め】)

 

空中で体を反転させて、逆さまになるような形で新・魔王に攻撃するため拳を握りしめる。

落ちるスピードが上がった状態と【マジン】となった姿から放たれる攻撃はいくら新・魔王と言えどかなりダメージを負うことになるだろう。

 

「アタラネェヨォ」

 

しかし思い出してほしい。

元・魔王は現在重力に身を任せる形で落ちている……つまりは身動きが取れないのだ。

この状態で横から押されたり、かわされたりしたらどうなるだろうか。

元・魔王なら先程落ちる速度を速めたように、空中に拳を放つ反動で横に動くことも出来るかもしれない。

 

「……グァア!」(【……グァア!】)

 

だが新・魔王は一つ上を行っていた。

かわすや、妨害する、ではなく利用することにした。

元・魔王が放った拳は新・魔王が出した切れ目に入り、自身のお腹にめり込むように入った。

 

「……グゥ」(【……グゥ】)

 

自身の攻撃を受け、痛みのあまり体の力が抜けて地面へと落ちていく。

落ちるときに新・魔王の顔が見え、それが遠くなっていることに気が付くと白雲達『仲間』を守るため再び戦おうと空中で抜けた力をもう一度入れ始める。

指先から徐々に力を入れ、完全に戻った頃に空中で一回転して地面に音も無く着地した。

 

一筋縄ではいかないな、助けてください。(一筋縄ではいかないな、助けろください。)




攻撃した反動で空中を動くとかなんだ……
イメージ的には無重力で拳銃「バーン」って撃ったら反動で後ろ行くよな?って感じにしたけど難しい。

それはそうと、そろそろ夏アニメが始まるので見逃さないようにしないと……!

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

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