拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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お久し振りです。

今回はコーランのターンです、かなり久し振りに書くから小説の感覚がいまいち掴めないな。


コーラン編だよ、助けてくちょうだい。

私には近くて遠い幼馴染みが居る。

幼馴染みが近くに居るはずなのに、何処か遠くにいるように感じてしまう……私は長い間そう思っていた。

その幼馴染みは会ったときから強かった。

力、魔法、知力……全てを非凡な存在であり、そんな彼が周りから「魔王」と呼ばれて恐れられるのはそう遅くなかった。

 

「……コーランか」

 

「おはよう」

 

魔物達は彼を恐れ、彼の下に着いた者や彼と対峙しないように住処を移動した者がいた。

とは言え下に着いたと言っても、恐怖が消えたわけではない。

恐怖で下に着いて居る者や、魔王の座を狙おうとしている者も居る。

だからだろうか、彼が周りを信じなくなってしまったのは。

自分から相手に接触すれば恐怖の顔を浮かべ、触れようとすると体を縮こめる。

 

「ねぇ魔王、昔のこと覚えてる?」

 

「……昔?」

 

彼が変わったのはいつからだろうか。

正確な時期は分からないが、少なくとも私が新・魔王のことを調べようと、魔王が封印されてる時に一人で情報を集めている間だろうか。

久しぶりに会った彼は人が変わっていた。比喩的な意味ではなくて、言葉の通りだ。

見た目は本人そのままではあるが、口調や性格は微妙な違いがあった。

だが一番の確信なのは「幼馴染みとしての勘」だろうか、長い間一緒に居たので魔王がどこか可笑しいことに、自分のように分かった。

 

「私が昔、貴方を『魔王』と呼び始めた理由」

 

「……あぁ、記憶にはあるさ」

 

最初は疑問に思った。

この人物は誰だろうか、そして本来の『魔王』は何処に行ったのだろうか……私がその答えに辿り着いたのは本当に偶然であった。

新・魔王との決戦──と言ってもアイツは別の体で生きていたが──の後、魔王の体に異常が無いか魔力を調べた。

すると魔王の体には魔力が二つあった。

一つは黒くて強い力を持つ魂、もう一つは真っ白な弱い魂、その二つが太極図のように混ざりあっているのであった。

私はそれを知ったとき、ある確信を持った。

『魔王』の体には二つの魂があって、二つの人格がこの体の中に入っているのだと。

 

「……俺が「周りを信用出来なくなって、コーランと距離を取りたくなってしまったから」だったか」

 

「懐かしいね、とても……いつの話だったか忘れるほどに」

 

『魔王』の体が混ざってきた魂を抜き出そうと思ったが、既に混ざりあってるためそれをしてしまうと、本来の魔王の魂も一緒に出てしまうのでそれは却下となった。

『魔王』を取り戻そうと考えて、考えて、考えて……私はある光景を思い出した。

新・魔王の攻撃から全員で『魔王』を庇い、動けなくなったとき。『魔王』は立ち上がって勝ち目が無いのに新・魔王に立ち向かった。

その姿が私には幼馴染みに見えた。何処か違うと考えていた存在がそう見えたことに最初は否定したかった、しかし見ていく内に私は『魔王』を幼馴染みとして認めた。

その光景を目に焼き付けようとしたけどダメージが多くて、気絶しそうになったときに私達を守って安全な所に転移させてくれたのは、あれは見間違えることはない。転移する前に見えたあの人物こそは私の知っている『魔王』……否、昔の幼馴染みであった。

 

「魔王……いや、マトロア君。君と貴方と一緒に会えるのがいつになるかは分からないけど、楽しみにしてるね」

 

そう言うと魔王は驚いた表情をしながらクスリと笑い、立ち上がった。

 

「【……そうだな、いつか、楽しみにしてるぜコーラン】」

 

マトロア君は私に背中を向けながら手を振り、何処かへ歩いていくのであった。

その背中は昔と同じように何処か遠く感じるが、少しだけ距離が縮まったような気がした。

 

いつか君たちと話したいよ、助けてちょうだい。




【まとめ】
・コーランと元・魔王は幼馴染み

・元・魔王は周りから恐れられたせいで、人……もとい魔物を信じられなくなった

・コーランは一度目の新・魔王との決戦後、主人公の存在に気付くも既に『魔王』と魂ごと融合してるため一時的に放置

・主人公を『魔王』から追い出そうとするが、既に主人公は『魔王』となっており、幼馴染みが魔物を信頼し始めてることを知り見逃すことに

・コーランはいつか主人公と元・魔王……本名『マトロア』と一緒に話せることを夢に見てる


この番外編もあと元・魔王と白雲の話を書いたら終了です。
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