拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読者様

握力50ゴリラのまな板かなたん(天音かなた)は可愛い、異論は認めない。

それの今回の話書くのが難しかったです。


白雲編です、助けてください。

『自分』と言う存在が出来たのはいつ頃だろうか……少なくとも、僕が『この世界』に来る前であることは確かではあるが、生憎だが殆ど覚えていない。

 

「おい起きろよ●●、なぁ!」

 

「う、あ……」

 

覚えているのは『この世界』に来る前の最期と、僕には親友が居たことだけである。

その親友の顔も姿も声も覚え出せないが、ただ「居た」ことだけは記憶にある。

そして『前の世界』での最期は……あぁ、そうだ。

僕は親友を庇って信号無視してくる車に引かれたんだ。

あの時はいつもならうるさいと思う救急車の音も何処か遠くに聞こえ、親友の声だけが何故か良く聞こえていたんだったか。

 

「俺はお前が居なくなるなんて嫌なんだよ、だから……だから目を開けて歯を食いしばれ!」

 

親友はそう言って僕を生かそうとしてくれていたが、それは既に無理だった。

なんとなく自分でも分かったんだ、身体からダルさに似た脱力感と少しずつ冷たくなってる感覚がして自然と「あぁ、自分は死ぬんだな」と自覚した。

そのことを親友は気付いていたのだろうが、僕に生きてほしくて大声で声をかける。

しかしもう無理だ、分かってしまったんだ……だが最期に、最期の最後にアイツに伝えたいことがあった。

 

「ま、た……いつか……会おうなぁ」

 

「! あぁ会ってやるよ、異世界だろうと来世だろうと、何処に行ってもお前を探してやるよ!」

 

もう記憶には無いのだが、親友との時間はとても楽しかった。

何をしたか、何処へ行ったか……どうしてか忘れてしまった。

しかし「もう一度会いたい」と言う思いが変わることは無かった。

親友は僕に右手を伸ばし、僕もその伸ばされた手を握って握手をする。

 

「……じゃあな」

 

そしてその言葉を最後に聞き『僕』は終わり、次に目が覚めたときは『白雲』としてこの世界に居た。

 

(…………ここ、は?)

 

最初は困惑し、辺りを見渡そうとしたが体を動かすことが出来なかったので、目だけを動かして確認をする。

薄暗くて分かりにくいが、何処かの施設のような部屋にいることと、視界がぼやけてるのと今までとはどこか違う気がする体から感じる感覚からカプセルな何かの水の中に居るのだと分かった。

しかし息苦しくなく、まるで陸に居るときと同じように呼吸も瞬きも出来た。

 

「お、おおおぉぉぉぉぉ!! 我が研究成果のロボットが目覚めたワイ!」

 

(ロボッ……ト?)

 

突如部屋の扉が自動ドアのように開いたと思いきや、部屋に入ってきた長身細身の真っ黒な顔をした顔のパーツが見えない人物が意味の分からないことを言っていた。

 

「少なくとも第一実験は成功じゃわい、じゃあ次に白雲の能力を───」

 

(『白雲』……誰だ、そいつ?)

 

「自分で創っておきながら『願いを叶える』なんて本当にあるのかのぉ?」

 

次々に訳の分からないことを言っており、この人物がなんて言っているか頭に入らない。

なんだ、何を言っている。僕は『●●』と言う名前で親友を庇って死んだはず……なのだが、自分は何処に居るんだ? こんなところにいる場合ではない。生きているのであれば今すぐに……

 

(『ここから脱出』して『どんな形でもいいから親友に会いたい』)

 

「ん、なんじゃ?」

 

僕がそう思い、どうにかしてここから出ようとした瞬間、部屋が爆発した。

何か火元になりそうなものが合ったのかは知らない。だが、パチパチと火花が飛ぶような音も部屋の一部だけ赤く明るくなって居たわけでもない。

突然だ、突然爆発したのだ。

 

「どわぁぁぁああ!」

 

謎の人物は爆発に巻き込まれてドアを巻き込んで部屋の外まで飛ばされた。

僕は呆然としながらも、カプセルの中から出れたことに気がついて辺りを見渡す。

すると、まるでご都合主義かのごとく部屋にはポッカリと穴が空いておりそこから外に出れるようになっていた。

 

「早く、会いに行くんだ……アイツに!」

 

この時の僕は急いでここから脱出しようとしていたため気付かなかったが、爆発によって散らばって紙の一つに『白雲』のことが書いてあったことに。

 

 

【白雲:ロボット】

・魔王様の右腕として運用予定の機械

・現在は魔王様のシモベ関する情報をインプット中

・戦闘力や感情はまだ調整中だが、偶然にも面白い能力を開発できた

 

能力:『願いを叶える能力』

どんな願いも叶える無敵の能力。

ただし無意識の内にしか使えず、また代償として「自分の大切な何か」を失う。

デメリットを除けば魔王様の野望を叶える道具になるだろう

 

 

 

 

 

「魔王様」

 

それから僕は無我夢中で走り、気が付いた時には元・魔王……魔王様が眠っている場所に居た。

それ以降はそこで情報収集も含めて親友の情報を集めていく内に自分は別の世界に居ることを知ってしまった。

もう親友と会えないのだろうか……とっくに人の一生を過ぎるほどの時間が立っているのか、親友のことは殆ど覚えていない。

 

「……白雲か」

 

「久し振りに散歩しない?」

 

「……分かった」

『……じゃあな』

 

魔王様はあの時の親友と同じように右手を僕に向かって伸ばしてきた。

なんとなく、その行動に親友を重ねるがそれはないと首を振って忘れる。

 

「……白雲?」

 

「なんでもないよ」

 

もしかしたら……そう考えてしまうが、僕にはもう親友がどんな人物だったのか分からない。

だが、だがそれでも「いつかまた会おう」と約束した。

例え姿が変わろうと、立場が変わろうと、いつか君と会えると僕は信じている。

だから、僕が思い出すまで待っていてくれよ。

 

親友のことも思い出したいです、助けてください。




【まとめ】
・白雲、現代にて親友を庇い死亡
・『白雲』として憑依転生する
・無意識に能力を使って脱出
・しかし能力の代償として大切な「前世での親友との思い出」を忘れる。
・なお、白雲にはその能力を持ってる自覚はない
・最後に元・魔王と親友が重なって見えた


ついでに今回の話で「めっちゃ生きたから親友のこと忘れた」と言っているが、何回も無意識の内に能力を使っているため代償として思い出が無くなってます。

例で言うと『味方全員生き残る』とか『異世界組が来た』とかの場面で能力を使ったのでしょう。
まぁつまりはあれです。ご都合主義を誤魔化すための後付け設定です。
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