拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 作:のろとり
今日はバレンタインなので、番外編を作りました。
マライア(元・魔王)とコーランが主役の会です。
ちなみに、この話を一文字書くたびに精神的ダメージを受けました。クソッ、イチャイチャしやがって!
魔王同士の熾烈な戦いが終わり、平和な時が流れるようになった世界。
そんなある日、魔王は目の前の状況に困惑していた。
「【……どいうことだ】」
コーランが自身の顔が当たるほどまでに近づいているのだ。最初からこうだったのではない、いつの間にかこんな状況になってしまっのである。
どうしてこうなったのか。部屋から匂う甘い香りを気にしながらも、マライアは数日前の事を思い出した。
【……1日だけ変わってほしいだと】
(……あぁ。お前にやってほしいことがあるんだ)
事の発端は数日前。魔王がマライアに対して1日だけ体の所有権を変わってほしいと頼まれたから始まった。
何故だろうか……そう考えたマライアであったが、久しぶりに自分で体を動かしたいのもあり、魔王の言葉に頷いた。
「マライア君此方来て!」
早速何をしようか……そう考えていると、自室に飛び込んできたコーランが自身の腕を掴んで、ある部屋の一室に押し込まれた。ちなみに鍵はしまっている。
「マライア君は今日がなんの日か知ってる……?」
【……知らない】
コーランはマライアの言葉に頬を膨らまし、ムッとして顔を近づける。
しかしこれはマライアが悪い訳ではない。今まで体を貸していたため、時間感覚がズレているのだ。精神世界では1時間かと思えば、外では10秒しかたってなかったり、1日が終わっていたり。
体の所有権をマライアはあげており、いつも精神世界に居るため感覚がおかしくなっているのだ。
「ムッー」
そうとは知らないコーランはマトロアが今日と言う日を忘れてしまったのだ勘違いし、さらに顔を近づける。
「【……なんだ】」
「今日は、マトロア君の誕生日でしょ!」
「【……そう、だったな】」
魔王が居た世界では今日はバレンタインと言うチョコを配る日ではあるが、この世界にそんなものは存在しない。
しかし、誕生日は存在しており長い間封印されていたマトロアは自分の誕生日を忘れていた。が、コーランに言われてようやく思い出したのだ。
「【……懐かしい。コーランが俺にプレゼントを投げてきたこともあったな】」
「ちょ、そんな昔の話止めてってば!」
コーランはマライアにプレゼントを渡そうとしたら、転んで顔面に投げ飛ばしてしまった黒歴史を話され、恥ずかしさのあまりマライアの胸に顔を埋めてポカポカと殴る。
「【……ほんとうに、懐かしい】」
つい数日前に会った出来事に感じることを思い出しながら、マライアは頭をソッと撫でてコーランを落ち着かせる。
こうしてコーランの頭を撫でたのは何千年ぶりだろうか……自身が魔物不審になってからは撫でるどころか、喋ることすらしなかった相手はずっと近くにいたのに、何処か遠く感じた。
いや、遠く感じたのではない、実際は自分が距離をとってのだと。
「【……ありがとう、コーラン】」
マライアは今までの分を込めてお礼を言った。
距離をとっていたこと、自分の誕生日を覚えていたこと、プレゼントを用意してくれたこと、そして……ずっと待っていてくれたこと。
「どういたしまして」
二人は互いに抱き合い、ゆっくりと話を始めた。
魔王とその仲間ではなく、マライアとコーランと言う幼馴染みとして。
あれ、おかしいな……最初はギャグ風にしようと思ったのに、なんでラブコメしてんだこいつら。
本編内で魔王が変わってほしいと頼んだ理由は、コーランに渡したいものがあるからマライアに変わってくれと頼まれたからです。
元のプランは幾つかありましたよ。
・雪女とコーランが主役で、マライアにチョコを渡す話
・マライアがチョコを渡そうとしてくる奴らから逃げる話
・もし〇〇がチョコを渡したら
結局はこの幼馴染み達の話になりましたが。