拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 作:のろとり
今回はシリアス100%です。
それと、今月には完結すると……思います。
「オわったナァ」
新・魔王の前には倒れて、動かなくなった元・魔王がいた。
元・魔王は目は閉じているが意識はある。
だが、体を動かすどころか目を開ける力さえ残っていない。
そして視界は真っ暗のままだ。
「オばヨォ」
そうして、新・魔王が拳を降り下ろそうとした時……
「させるかぁ!」
廊下から狼男が飛び出してきた。
そのまま新・魔王を引っ掻こうとするが、腕を掴まれて投げ飛ばされる。
「ザこに用はないゾォ」
「あんたねぇ、もう少し粘りなさい!」
「そうだよ! 回復させてあげるから、さっさと戦って!」
雪女が狼男に苛立ちながら、そう声をかける。
コーランは狼男に向かって両手を出し『回復』と言うと、狼男の傷が少し治った。
これは決してコーランの技が弱いわけではない。
新・魔王から受けたダメージが大きすぎるため、あまり回復出来ていないのだ。
また、コーランは自らを回復しているため、殆ど完治している。
「喰らいなさい! 『
雪女は氷で龍の形を作った。
龍は口を開け、息を吸うとそこに小さな氷の球が一つ出来ていた。
その球の回りには目に見える程の冷気が集まってきている。
そして、球は時間がたつにつれて少しずつ、大きくなってきてる。
龍は球がある程度大きくなると、新・魔王に近づき両手で掴み動けないようにした。
一度は白雲に破られた技だが、多少改良したようだ。
相手を動けなくして、確実に仕留められるようにしている。
そのまま新・魔王は攻撃を喰らい、龍の手ごと凍った。
「イしころにしては中々強いナァ……ダガァ」
新・魔王は氷の中に入ったまま喋った。
そう言うと、新・魔王右腕がパーカー越しからでも見えるほど強く光り始めた。
そうして体全体に力が入り右腕のパーカー部分が破れた。
その中身は鉄で出来ており所々に緑色に光る線が入っている、大砲に似た何かが姿を現した。
光っている理由は、大砲の中にエネルギーが集まっているからだ。
そして、エネルギーが放出された。
「させない! 『
廊下から飛び出してきた白雲は、目の前の空間に向かって鎌を振った。
その振った空間に切れ目が発生した。
その切れ目は少しずつ開き始め、エネルギーをその切れ目へ吸い込まれた。
「ナんダァ、オまえは裏切り者カァ。ダげどお前は結局下位互換ダァ」
吸い込まれた筈のエネルギーが、白雲の真上に切れ目を作り放出された。
元々、白雲が使った技は新・魔王が使っている技を元に作られた物なので技が上書きされたのだ。
コピーは本物には敵わない。
最も、コピー以前に力の差が大きすぎるため、結局はこうなっていたが。
「『テレポート』」
白雲はテレポートを使い、元・魔王の側まで移動した。
白雲に向かって放出されたエネルギーは、床に当たり白雲達が立っていられない程の揺れを起こした。
なんとか攻撃はかわせたが、あの攻撃がそれほどの威力を持っていたことに冷や汗が出る四人。
その上、新・魔王は肩で息をするどころか、汗一つかいていない。
あの威力の攻撃が普通に出来ることを知り、改めて新・魔王の脅威を知った四人。
だが、そうだからと言って退くわけには行かない。
逃げれば元・魔王は消えてしまう。
そして、新・魔王の野望は知らないが直感で『新・魔王が勝つと大変なことになる』と理解していた。
「イいネェ、ナかまとの友情はヨォ。ダガァ、ソういう奴に限ってコうするトォ……」
新・魔王は右腕……大砲を倒れている元・魔王に向けた。
大砲は光り始めており、エネルギーを集めているようだ。
そしてそんな新・魔王の周りには、多くの刀が浮いている。
近づけばその刀達で串刺しにされるだろう。
そうなると、とるべき行動は一つに絞られる。
「「「「魔王(様)!」」」」
魔王を自らの体を使って守る事だ。
狼男はエネルギーに向かって拳を。
雪女はエネルギーに向かって氷を放ち、少しでも凍らして被害を減らそうと。
コーランは雪女や自分自身を回復させて、エネルギーを受け止めようと。
白雲は技を使ったところで新・魔王に破られる事を知っているので、両手で受け止めようと。
一本の矢で折れるなら、何本も重ねると言うが……
「「「「ッ!」」」」
矢を何十本も重ねて、ロードローラーで引いても折れないだろうか。
否、そんなことをしても無意味だ。
大きなエネルギーを消すことは出来ない。
「「「「あああああ!!」」」」
そう、
しかし、少しでも反らすことは出来る。
四人は自らの体を犠牲にエネルギーを少しだけズラすことに成功した。
そのズラされたエネルギーは、元・魔王にギリギリ当たることなく、壁を貫通して行った。
四人はエネルギーに吹き飛ばされ、壁にぶつかりそのまま倒れた。
元・魔王がなんとかして新・魔王を倒してくることを信じて。
「オもしろくないナァ……」
新・魔王はつまらなかった。
今までにもこのような光景を何回も見ており、結末は全て同じ。
結局は何処も同じ。飽きた新・魔王は元・魔王ではなく、白雲達を一欠片も残さず消すことにした。
「……待てよ」
新・魔王はその声の主の方へ振り向く。
立っていたのは、元・魔王だった。
だが、生まれたての小鹿のように震えている。
立っているのも不思議なほどおかしい程の怪我だ。
しかし目はしっかりと、新・魔王を捉えている。
「オォ、コいつは面白くなってきたナァ」
新・魔王は今にも倒れそうな、元・魔王に拳を振るおうとするが……
何かを思い出したかのように、動きが止まる。
「ソうえば聞き忘れる所だったナァ……ギん色の果物を知らないカァ」
新・魔王が言っている銀色の果物と言うのは、かつて元・魔王が口にした果物である。
また、本拠地の書物庫にあった本の一冊に記されていた物である。
元・魔王は数ヶ月探したが見つからなかった事があるので、恐らくはその果物はとても希少なのだろう。
「……知らん」
本当は知っているが、頭が回らないので何を話しているか上手く頭に入ってこない。
「チィ、アれがあればもっと力を付けること出来るのにナァ
……マァ、オまえにはもう関係ない話カァ」
元・魔王は一矢報おうと、新・魔王拳を振るおうとするが吹っ飛ばされて動かなくなった。
蟻が象に勝てないように、天と地がひっくり返っても勝てない事がある。
【……よくやったな】
しかし、それは中身がそのままの場合。
もしも、体の持ち主が戻ってきたならその時は―――
誰でもいい、助けてください。
なんやかんやで初めて戦う筆写をしたコーラン。
【今回のキーワード】
・銀色の果物
・謎の声
【ただのオマケ】
「雪女、お前また俺の飯を食ったな!」
「あんたが食べないから、てっきり残すのかと思ってね」
ここはとあるパラレルワールドの世界。
この世界では、幹部達を倒して新・魔王の居場所が分からない時期である。
現在この二人は喧嘩をしている。
この
「お前とはここで決着を付ける必要があるようだな……」
「望むところよ!」
そうして二人は城の中なのに戦い始めた。
この城は言わば仮のような物。
そんな所で暴れたら……
「「あ……」」
壊れる。
この二人はその事に漸く気づいたが、それは壊れた後。
なんとかして二人は誤魔化そうとするが……
「……お前ら、何やってんだ?」
魔王が帰ってきていた。
二人は蛇に睨まれた蛙のように動かなくなった。
「……正座」
「「はい」」
そうして魔王の説教を受けるのであった。
この魔王が関与した建物が毎回壊れてる?
それは作者のせいである。
オマケ、終わり。
完結後にキャラ設定と裏話の投稿
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両方いる
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両方いらない
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キャラ設定のみいる
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裏話のみいる
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作者に任せる