拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読書様

こんにちは、約三週間ぶりですね。


今すぐ帰りてぇ、助けてください。

「動くなよ、動くとこいつを攻撃するぞ!」

 

偽狼男は雷鳴の首筋に爪を当てて、此方を脅してくる。

この状況を作った元凶(海楽)は地面を転がりまくっている。

 

「卑怯だよ!」

 

「そんなこと、知らないわよ」

 

空良の言葉に偽雪女が突っかかる。

あぁ、卑怯だ。卑怯すぎるぞ……

 

「か、海楽は大丈夫なの?」

 

「痛みが気持ちぃー!」

 

俺を精神的に追い詰めているこの状況がなぁ!

帰りてぇ、今すぐにこの状況から逃げてぇよ。

そんな俺を尻目に、ミサは地面を転がりまくっている海楽を心配している。

お前らはそのまま(常識人)で居てくれよ……。

あの二人の行動だけでも頭を押さえたくなる。でも、そんなことしても状況は変わらないな。

 

「……空良、雪女の相手を頼む」

 

「魔王くんはどうするの?」

 

「……雷鳴ごと燃やす。アイツは丈夫だから大丈夫だ」

 

「えぇ!?」

 

空良が驚いてるが気にしない。

雷鳴はどうせギャグ補正で無敵に近いんだ、幽霊になろうとなんだろうと生きてるだろうし。

俺はそのまま偽狼男と雷鳴に向かって手をかざし……

 

「『焼却』」

 

手のひらから火炎放射機の如く炎だした。

その炎は全てを焼き払うかのように、偽狼男と雷鳴に向かって行った。

 

「待て待てマティーニ! 話せば分かりんご!」

 

「お前には情がねぇのか!」

 

敵から怒られてるが知らん。

それに雷鳴はふざけてるから大丈夫だろ、それにどうせ「髪がアフロになってる!」とかですむ。

 

「『オートガード』」

 

「……は?」

 

先程まで地面を転がっていた海楽が二人の前に立ち、庇うように『焼却』を受けた。

攻撃が終わり煙が晴れて三人の姿が確認出来る頃には、海楽も人質として捕らえられていた。

……お前、お前なぁ!

 

「今ね!」

 

海楽の行動に目がポカンとなっていた俺に向かって、偽雪女は胸の前に手を伸ばしそこからひし形の氷を出現させ飛ばしてきた。

 

「貴方の相手は私だよ」

 

しかし空良が刀で氷を真っ二つにして攻撃を防いだ。

攻撃を防がれた偽雪女はもう一度攻撃しようとするが、それよりも速く空良が動いた。

 

「気絶してもらうよ!」

 

空良は偽雪女の足元まで姿勢を低くしながら近づき、偽雪女の顎をジャンプしながらアッパーし、半時計回りに半回転しながら刀の柄を腹に突き刺し気絶させた。

流石、異世界の勇者だな。

 

「ちぃ! せめてお前だけでも倒してやる!」

 

偽狼男は人質にしていた海楽を空中に投げ、雷鳴の腹を爪で切り裂いた。

海楽(ドM)には攻撃が効かないと思ったのか、雷鳴に攻撃したのか。

良い作戦だと思うが、雷鳴がそんな攻撃でやられるわけがないだろう。

 

「ぐわぁ!」

 

雷鳴は攻撃を受けて地面に仰向けの状態で倒れ、そのまま動かなくなった。

ギャグ補正があるから……大丈夫だよな?過信し過ぎてるけど、元・魔王の記憶から考えると大丈夫の筈だが。

 

「キャアアァァアー!」

 

ミサは雷鳴が動かなくなったことに恐怖し、悲鳴をあげた……いや、違ったな。

 

「あれ、痛くない? なんだよ、ただの見かけ倒しじゃねーかよ!」

 

雷鳴は何事も無かったのごとく起き上がった。

体だけ地面に倒れたままの状態で、魂……つまりは、幽霊として起き上がった。

なんだよ、お前は幽体離脱でも出来るのかよ!

 

「「……ガタガタガタ」」

 

女性陣は幽霊と言った非科学的物が苦手なのだろうか。

悲鳴をあげながら、体を縮めていた。

空良、お前もか。流石に勇者と言えど普通の女性か。

 

「なんなんだよ、お前は!」

 

偽狼男は焦ったように雷鳴に問いただした。

 

「いや、普通の人間なんだが」

 

「普通の人間は幽霊になっても喋らねぇよ!」

 

「は、幽霊?」

 

雷鳴は自分の体を見た。

ようやく自分の体が半透明になっていることに気づき、体だけが倒れてることに気づいた。

 

「俺、幽霊になってる!?」

 

「おせぇよ!」

 

「……なにこれ」

 

カオスな状況から逃げたいです、助けてください。




……あれですよ、あれ。
私の『ギャグ挟まないと死んじゃう病』が再発してしまったんですよ。

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

  • 両方いる
  • 両方いらない
  • キャラ設定のみいる
  • 裏話のみいる
  • 作者に任せる

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