拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 作:のろとり
今回から中盤へと入ります!
助けられました、助けてください。
「……ここは?」
俺は目を覚ますと、ベッドに転がっていた。
これはあれだな。知らない天井だ……ってやつだな。
で……本当にここはどこだろ。
確か新・魔王を倒して雷鳴達と合流して、その後新・魔王が復活してて……
「……新・魔王は! 何処へ行った!」
「あ、魔王様。目が覚めたんだ」
俺がキョロキョロと周りを見ていると、ベッドの下から白雲が出てきた。
お前なんでそこに居んの?
「……白雲か」
なんだか白雲に会うのが久しぶりな気がする。
まるで半年ぶりのような……いや、気のせいだろう。
白雲に会ったのは数時間前だし、新・魔王が俺を狙って来ているので、半年も何もなく過ごせることはない。
そもそも、俺はどうして生き残ってるんだ?運よく逃げられたってことは無いだろうし。
「魔王様、体調は?」
「……問題ない」
「……ところで白雲、新・魔王はどうした?」
「それは……」
白雲はこれまでに合ったことを話してくれた。
まずは俺が三日間寝ていたこと。
次に雷鳴が
その結果、二十日……いや、十七日後にもう一度合うことになったという。
「…………」
十七日後か。
正直な話、日にちとしては長いとは思う。
が、戦うための準備としてはとても短すぎる。
白雲の話を聞く限りだと、嘘を付いて延ばした結果なので、これ以上の期間を作ることを難しいだろうし、アイツとの決着も早く付けておきたい。
「魔王様?」
「……っ、悪い」
少しばかり風に当たるか。
頭で考えても今はどうにもならないし、風に当たればリラックス出来るだろう。
「……少し外に出る」
俺は部屋の窓から外に飛び出した。
窓の外を見たとき、地面が見えなかったので今居るのは二階、もしくは三階だろう。
それ位なら飛び降りても問題ないし、その程度で怪我をすることもない。
なお、実際は10階だった。おい、誰だこんな高く作った奴は。怒らないから出てこい。
「……ふぅ」
俺は座れそうな切り株に腰をかけると、ため息をひとつする。
新・魔王に勝つためにはあの林檎は必要だろう。
魔王の力も借りておきたい……だが、まだ気がかりがある。
新・魔王はどうやって復活したんだ?肉体は燃やしたのだが……どういうことだ?
そもそもあれを食ったところで本当に勝てるのか?
「……いや、止めておこう」
リラックスするために外に出たのだ。
それなのに、ずっと考えていては外に出た意味がない。
俺は部屋に戻ろうと、切り株から立とうとした瞬間だった。
「おや、どうしました?」
後ろから聞いたことのない声がした。
「……ッ!」
俺はその瞬間、飛びあがりその声の主を見た。
その主は白いスーツで、顔は目玉の書かれた黒い布で隠されており、どういった人物かは分からない。
ただ言えることは、その人物が長身細身であることと、何か不気味な感じがすることであった。
「……誰だ、お前は」
何故だろうか。
目の前の人物を見ていると、胸騒ぎが止まらない。
こいつとは関わってはいけない、今すぐ逃げろ。
そう言っているような気がする。
「おっとと、驚かせるつもりはなかったんですよ」
どの口が言うのだろうか。
そう思いながらも、目の前の人物から視線を切らないようにする。
新・魔王の仲間だろうか、それとも第三勢力か……なんにせよ、戦いになるのなら容赦はしない。
「戦うつもりはありませんから、大丈夫ですよ」
その人物は両手を挙げて降参のポーズをとる。
……攻撃してくるつもりは無いようだな。
俺は警戒をとき、その人物に近づく。
「……自己紹介がまだだったな、俺は魔王だ」
「私は只の商人です。まぁ商人とでも呼んでください」
この人物との出会いが、まさかあんなことになるだなんて……今の俺は知らなかった。
不気味な人物です、助けてください。
今回から数話ほどは少しばかり平和なのを書く予定です。
え、そんなの書かずにさっさと行けって?
……伏線って大事なんですよ。
それに私自身も少しばかりハメを外して、休憩が欲しいですし。
完結後にキャラ設定と裏話の投稿
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両方いる
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両方いらない
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キャラ設定のみいる
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裏話のみいる
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作者に任せる