拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読者様

久し振りにあの人が登場します。
今回の話は要らなかった気がしますが……書いたので、投稿します。


助かりたいです、助けてください。

「…………」

 

俺は、どうするべきなんだ。

部屋のベッドで寝そべりながら、俺は新・魔王との戦いについて考えていた。

考えて、考えて……しかし、何十日とあいつを倒す方法が思い付かない。

いくら考えようが答えは出ない。そんな事を考えるよりも別の事をした方が良いのではないか。

 

「……あいつ」

 

新・魔王を今の状態で倒せるのだろうか。

最初の時もこの前も運よく倒せただけで、三度も奇跡が続くことは無いだろう。

仮に今回も運よく倒せたとしても、復活する謎を解かないと完全には終わらない。

なんであいつは復活したんだ?不死身なのか、双子とかなのか……不死身はさすがに無いな、そしたら最初に倒したときにすぐに復活してるだろうからな。

 

「……賭けるしかないのか?」

 

新・魔王の仲間では無いだろうが、怪しい商人に頼むか?

胡散臭いが商人は「願いを叶える」と言ってた、あれに賭けるか?だけど怪しい、全身黒ずくめの奴以上に怪しい。

仮に商人が本当に願いを叶えることが出来たとしたら、俺は新・魔王を倒せるほど強くなれるのか?

いや、新・魔王が復活したのは商人の仕業なのか……分からねぇ、情報が無さすぎる。

 

「…………」

 

俺にもっと力があれば、力があればこの状況をどうにか出来るのにな……

 

 

 

 

 

【……おい】

 

ん、なんだ?

俺はいつの間にか閉じていた目をゆっくりと開いて、周りを見渡す。

うわ、なんか見覚えがある真っ白な空間だ。

久し振りに来た感覚を感じながら、声がした方を振り向くと俺が、元・魔王が居た。

 

【……ようやく起きたか】

 

【……会話する魔力が少ないから手短に話すぞ】

 

「……あのときの恨みィ!」

 

なんかブツブツと言ってるが、そんなことは知らない。

俺は最後にこいつにあった時の事を思い出し殴りかかった。

元・魔王は俺の不意討ちパンチを喰らい、尻餅を着く。

ふ、ふはは……さすがに消滅するような事態じゃないから、消えて逃げることは出来ないようだな。

あの時の事忘れてねぇからな、体が腐ってないか匂いを嗅いだら殴られたことと、最後に悪口言ってきたこと覚えてるからなこの野郎!

 

【……貴様】

 

元・魔王は尻餅を着いたときに服に付いた汚れを手で払い、俺を睨み付けながらも殴ってくることはなかった。

 

【……新・魔王に勝てそうか】

 

その代わりに、俺を心配するように新・魔王の事を聞いてきた。

まったく、この体はお前のなんだから聞かなくても分かるだろ、てか聞くな。

 

「……無理だな」

 

新・魔王に単純に勝てないのもあるが、商人と言う怪しい奴も居る。魔王同士の戦いには興味は無いようには見えるが……本当に興味無いのか、新・魔王の味方なのか、第三者なのか。

 

【……フッ】

 

殴っていい?

分かってるなら聞いて鼻で笑うんじゃねぇよ。

 

【……時間が無いから手短に話すぞ】

 

「……分かった」

 

俺は元・魔王の言葉に頷き、次の言葉を待った。

ここから元・魔王は話すのは少なくとも、雷鳴が言ってた【マジン】とか言う話では無いのは分かっている。

俺は元・魔王の記憶を持っているが、その【マジン】については何も知らなかったから、何かも分からない話はしないだろう。

 

【……商人の話に乗れ】

 

「……え?」

 

元・魔王の言葉に少し放心状態になった。

商人の話に乗れだって?どう考えてもバットエンド一直線しかないんだが、それにアイツからは嫌な予感がしてくるから、近づきたくない。

 

【……何もせず全滅するよりはマシだ】

 

それは、そうだが。

俺はアイツの話に乗ることはしたくない。

 

「……断る」

 

【……怪しいのは分かってる】

 

「……なら!」

 

【……新・魔王を倒して死ぬか、新・魔王を倒せずに死ぬか】

 

【……お前はどっちを選ぶ】

 

…………俺は、俺はッ!

そう決断を悩んでいると突如、元・魔王の姿がぶれた。

 

【……時間か】

 

お前にはまだ相談したい事があるのに!

しかしそんな思いを無視するかのように、元・魔王の体は段々と崩れていき、この空間から離れるような感覚がした。

 

【……後は頼んだぞ】

 

その声と共に、意識が何処かへ飛んだ。

 

 

 

 

 

「……ッ!」

 

次に目を覚ますとベッドの上だった。

あの空間に入る前と部屋の様子は変わっておらず、唯一全体として変わってる事といえば、窓に雷鳴と海楽が張り付いていることぐらいだろう。

変態ブラザーズ(雷鳴と海楽)が何かしたんだろうが、どうでもいいか。

 

「…………」

 

俺は一言も喋らずに外に出る。

そして目的の場所もなく歩き続けて、適当な場所で止まる。

この場所に用事があるわけではないが、誰にも見つからない場所に行きたかった。

 

「……商人、居るか」

 

「ここに居ますよ」

 

木の影から出てきた商人が此方に歩み寄ってくる。

やはりこいつからは嫌な予感しか感じないが、今はどうでもいい。

 

「……頼みがある、俺を───」

 

 

 

彼らは願う。

誰も犠牲にならずに新・魔王を倒すせるように。

彼らは願う。

無事に自分(彼ら)の世界に帰れる(帰せる)ように。

彼は願う。

なんかうどんが食べたいと。

彼は願う。

痛みがもっと欲しいと。

彼は思う。

何もせずに死ぬか、悪魔に魂を売って低い確率で助かるなら、魂を売ると。

 

全ての願いが叶うことは決してありえない。

これからどうなるか、誰が犠牲になるのか……それは誰にも分からない。

何故ならそれを決めるのは彼ら自身であって、これから始まるのは死闘であるからだ。

 

この世界ってうどん無いのかよ、助けてください。 by雷鳴




こっから元・魔王(持ち主)の出番が殆ど無くなります。

そしてそして、次回からとうとう最後の戦いが始まります。
つまりは終わりが近付いてきてます。
(後……20話くらいかな)

あぁ、それともう一つ。
今までは「死ぬ」とか「殺す」とか避けて使ってましたが、次回からは普通に使っていく予定です。

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

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