拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読者様

サブタイ書いて思いました。
お前は助けを呼ばなくても大丈夫じゃね?
だけど出番が少ないのはごめんなさい。


お久しぶりです、お助けください。 by商人

「……で、お前の名前は?」

 

勢いよく壁にぶつかって出来た、大きめのタンコブを撫でながら雷鳴は怪しい奴に話しかけた。

ちょっとその痛みくれない?

 

「商人、と呼んでください」

 

「分かった、怪しいMAXマン」

 

ちゃんと呼んでやれよ。

確かにコイツは怪しいけどさ、名前で呼ぶくらい別にいいだろ。

 

「それで、何かお悩みなのでしょう? お困りであれば、その願いを叶えますよ」

 

「無視しやがった…目に入らなかったとでも言うのか……!?」

 

お前の相手をするのが面倒くさいだけだろ。

コイツに「ここから出れないから出してくれ」と言えばここから出れるだろう、いつの間にか雷鳴の後ろにいたから、瞬間移動かなんかは使えるのだろう。

 

「あ~ちょっと待ってくれ」

 

俺は雷鳴の腕を掴み、商人から離れた。

格好が変だからそう見えるだけならいいんだが、やっぱりコイツは怪しいな。

 

「どうした海楽、このタンコブ欲しいのか?」

 

雷鳴は何がなんだか分からない顔をしながら、頭に付いてるタンコブを取って俺に渡してきた。

 

「サンキューな」

 

そのタンコブを頭に付けると、痛みがだんだんと頭に広がってきたが、一瞬で終わってしまった。

あぁ、痛みが終わっちまった……

 

「で、こっちに連れてきてどうした? あの不審者にここから出してもらおうぜ」

 

さっきから名前が原型を留めてないんだけど?

いや、それはどうでもいいか。それよりも商人の方だ。

 

「アイツ怪しくないか?」

 

「そりゃあそうだが……」

 

なんでも叶えるなんて、神かなんかじゃないと出来ないはずだ。

それにああいうのは、大抵「お前の命と引き換えになぁ!」と言われるのがオチだ。

アイツは無視するのが一番だ、だけど命を取られる瞬間に痛みがあったら嬉しいな、出来れば今まで感じたことの無いような強い痛みを。

 

「商人、ちょっと俺の愚痴を聞いてくれよ~」

 

そんな痛みを食らったら、とても気持ち良さそうだな。

もしかしたら毒みたいにジワジワと広がっていくものかもしれないし、体中が一瞬で骨折したような痛みが走るのかもしれないな……

 

「なんか魔王同士の戦いに巻き込まれて、なんとか勝ったんだけど、なんかもう一人の魔王、そいつがさ~」

 

いや、まてよ……もしかしたら即死で痛みをまったく感じない可能性があるかもしれない!

これは商人に確認を取る必要があるな。

 

「ちょっと俺は商人と話をするから、雷鳴はここで……あれ、雷鳴?」

 

俺が雷鳴を見ると、そこにいたはずの雷鳴が消えていた。

まさかと思い、商人の方を見てみた。すると、

 

「……でさ~あの、もう一人の魔王が喧嘩売ってくるわけよ、俺が何かしたかよ、まったく」

 

アイツ、何やってんだ……!?

見返りとして痛い思いが出来るかまだ分からないのに!

 

「それは大変でしたねぇ」

 

「だからさ、アイツに罰を与えることって出来ないか?」

 

「罰ですか?」

 

「おい雷鳴、その話はそれぐらいにな」

 

「地獄に送って、針地獄に刺されて痛い思いをするとかな」

 

「針地獄!? 俺行きたい!」

 

よし、商人の話に乗ろう。

怪しい?不審者?そんなのは知らない、痛みをくれるならなんでもいいや。

そうえば最初からコイツに、痛みを感じるような場所に送ってくれ!と言えば良かったな。

 

「お前なぁ……まぁいいや、俺はアイツがボコボコにされるのを見れれば十分だ

 

今のいままで俺を攻撃してきた痛みを思いしれ!」

 

「了解致しました、お客様」

 

「ふは、ふはは、ふーはっはっはっ! あの魔王め、痛い目をみやがれー!」

 

台詞と笑いかたが完全に悪役のそれなんだけど。

俺が雷鳴の行動にため息を付いた瞬間、景色が変わった。

 

「「……え?」」

 

俺と雷鳴の言葉が被る。

周りを見ると、さっきまで俺達が居た穴なんか何処にもなくて、そこには地獄絵図が広がっていた。

針山に刺さり悲鳴をあげる人、赤い池で溺れそうな人……様々なことが起こっていたが、一つだけある共通点があった。

それは痛みが、快感がそこにあることだ。

 

「痛みだー!」

 

俺は嬉しさのあまり、そこへ行こうとしたがあることに気付いた。

あれ、そうえばさっきからこの光景って上から(・・・・)見てるよな。

俺は地面を踏もうとするが、何も踏めない。

さっきまでは景色しか見てなかったが、足元を見てみる。

なんとなく分かってはいたが、地面も何もなく空中に浮かんでいた。

 

「「うおぉおー!?」」

 

俺達は重力に従い、真っ逆さまに落ちていく。

雷鳴は下に落ちずに、空中に浮いている商人の足を掴もうと、空中をクロールするが数秒も経たない内に俺と同じように落ちていった。

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 願いは叶えましたよ、お客様ぁ!」

 

商人の言葉と共に、下にあった赤い池へと俺達二人はダイブした。

 

騙されました、助けて!




描写はないですけど「雷鳴と海楽が戦った新・魔王」は地獄に居ます。
元・魔王に押し付けた奴はそのまま残ってます。


《今回の戦犯》
雷鳴

《理由》
商人にベラベラと喋った
海楽が乗っかるような話をした
地獄に送ってと言った

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

  • 両方いる
  • 両方いらない
  • キャラ設定のみいる
  • 裏話のみいる
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