拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 作:のろとり
どんな状況であろうと、この二人だけでシリアスって無理じゃありませんか?
この目の前に広がる光景を表すとしたらなんだろうか。
赤い池を飲み干す奴に、針山に自分から刺さり気持ちいいと言ってる奴……
どうしてこうなったのだろうか、少しばかり時を遡ろう。
「おぼぼぼ、おぼぼぼぼぼぉ!」
オッス、俺らいめぼぼぼ!
溺れる、なんかよく分からない赤い池に溺れる!
商人に騙されて地獄に転送された、池に落ちた、このままだと俺は溺れてピンチ!以上、前回のあらすじ!
「ぼがぁかぁあ!」
ちょっとシャレにならないレベルで沈んじゃうな。
あぁ、せめて一緒に来た魔王が苦しんでるところを見たかったなぁ……
「雷鳴、何やってんだ」
海楽が池から上半身を出して、呆れた顔で話しかけてきた。
なんで呆れた顔で俺を見るんだよ、俺は今溺れそうなんだよ。普通に体を上に出せるくらいの余裕があるなら助けてくれない?ボロクソに言ったこと謝るから。
「溺れ、溺れる!」
「足着くぞ」
「…………」
俺はスッと立ちあがり、海楽を置いて無言でバシャバシャと陸に上がった。
そうえば喉が乾いたな、今まで騒ぎまくったからか……この池の水って、飲めるのか?
よくある設定だと「血の池」だけど、これが本当にそうだとは限らないし、そもそもここは地獄もどきかもしれないな。地獄もどきってなんだよ。
しょうがない、海楽に毒味してもらうか……あれ、居ないな。
「気・持・ち・い・いー!」
海楽が居ないので辺りを見渡すと、針山に自分から刺さりに行っていた。
その針山の近くにいた、他の人?死人?が海楽から離れるように何処か行き、頭から角が生えてる奴が海楽を退かそうと、金棒で叩くが喜んでいるだけである。
よし、他人のふりをしよう。
「ペロ」
俺は池の水を指で取り、舐めてみた。
!?こ、これは……トマト!!!
なんか異様にトマト臭がすると思ったら、まさか本当にトマトジュースだったなんて……全部飲むか。
「旨すぎるッ!」
「お前何やってんだ!」
俺がゴクゴクと池の底が見える位までトマトジュースを飲んでると、後ろから固い物で叩かれた。
後ろを振り向くと、さっき海楽を金棒で叩いてた奴と似てる、角が生えた人……いや、鬼か。鬼が俺の後ろで立っていた。
なんだよ、美味しいトマトジュースを飲んでるんだから邪魔するんじゃねーよ!
「それは地獄の名所「血の池」だろ、何飲んでんだ!」
何言ってんだコイツ……これはトマトだろ、トマト以外の何物でもないだろ。
お前もしかして、トマトを逆さまに読んだら別の物になると思ってるだろ。トマトは反対から読んでもトマトなんだよ、分かったか!
…………自分でも何言ってるか分からなくなってきた。
「どう考えてもトマトだろこれ」
俺は鬼の顔を池に沈ませ、無理矢理飲ませた。
鬼は絶対に飲みたくないようで、抵抗していたが少しずつゴクゴクと飲む音が聞こえ始めた。
「トマトじゃねーか!」
さっき言っただろ。
「さっきまでこれは血だったはずだ、お前何かしただろ!」
「知らんよ」
もしかしたら俺の能力が勝手にトマトジュースにしたかもしれないけど、確かめようがないから知らない。
鬼は俺が惚けてると思ったのか、怒った顔で俺を投げ飛ばした。
「てめぇは釜で焼けやがれぇ!」
ねぇ、待って。
俺が悪かったから、さ。だからその釜に投げるの止めようね。
あんたが言ってる釜ってあれだろ、丁度俺の着地地点にあるような、お湯がグツグツしてて釜が火で覆われてるあれだろ。
「いやあのちょっと待ってくださあああっちぃ!」
俺は空中で体制を整えるなんて、そんな器用なことなんか出来ずに、そのまま釜へと入った。
煮込まれてます、助けてください。
いつから今回がシリアスだと錯覚していた……?
この二人なら地獄でも楽しく暮らせるでしょう、まだ二人のターンは終わりませんが。
多くても後三話くらいで、次のキャラに行く予定です。
完結後にキャラ設定と裏話の投稿
-
両方いる
-
両方いらない
-
キャラ設定のみいる
-
裏話のみいる
-
作者に任せる