双烈   作:文月りんと

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???


06.再会する鬼 / 07.回想する野生児

― 6 ―

『いててて……』

 

意識を取り戻した響鬼は、改めて今の状況を確認する。響鬼はガッチリと絡んだ蜘蛛の糸に固められ、大木に磔にさせられていた。

 

『捕まっているままか。まぁ、そうだよな…。あそこで意識を失うとか、俺もまだまだ鍛えたりない証拠ってヤツだな』

 

そうつぶやきながらも、状況を打破すべく動こうと試みる。幸いにも周囲に敵の気配はないようだ。

 

『この状況で明日夢を呼べそうにもないしな。…あれ? そもそも此処はどこだ?』

 

改めて確認すると先ほどまでいた山の中ではなく、不思議な植物や実のなる木が生い茂っている森の中だった。

蒸し暑さも重なって、熱帯地域にいるような気分にさせられる。

 

(鬼爪、もう一回試してみるか?)

 

そんな事を考えていた響鬼の耳に聞き慣れないバイク音が聞こえてきた。

 

『今度はなんだよ! こんなことなら轟鬼や本部に行った威吹鬼にも声をかけるべきだったかな!』

 

念の為、いつでも戦闘に移行出来るよう再び口を開き、鬼火の発射態勢へと切り替えていく。

しかし、茂みから出てきたのは【ジュウメングモ】ではなかった。

 

大きなバイク音と共にジャングラーに乗った仮面ライダーアマゾンが現れた。

 

『あ………』

 

絶句する響鬼。

アマゾンライダーはジャングラーを降りると響鬼のいる大木まで近づいてきた。

 

『……オマエ、どうしてそんな所で捕まってる?』

 

このタイミングでこの人が、この場所に現れたのか理解が出来なかったが、昔の出来事が響鬼の脳内をフラッシュバックしていく。

 

『あーーーーーー!!!』

 

急に叫びはじめた響鬼に驚いたアマゾンライダーはバックステップでその場を離れた。

 

『ウゥゥゥゥ…』

『あのー、もしかしなくても彼方はアマゾンさんですよね?』

 

警戒していたアマゾンライダーに向かって、響鬼は声をかける。

 

『……誰だ。どうして、アマゾンを知ってる?』

『あぁ、すみません! ちょっとだけ待って下さい。今、顔だけ変身解きますから!』

 

顔の変身を解いたヒビキを確認するとアマゾンは攻撃態勢をやめ、近づいてきた。

 

『オマエは………』

「はい、お久しぶりです! いつぞやはお世話になりました。日高仁志です!!」

 

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― 7 ―

アマゾンは変身を解除し、ジャングラーの後部にヒビキを乗せて森の中を進んでいた。

 

「いやぁ、何十年ぶりですかね! アマゾンさんとまさかこんな形で再会するなんて思いもよりませんでしたよ!」

「あぁ、アマゾンも嬉しい」

 

アマゾンとヒビキの出会いは、二十五年程前にさかのぼる。

当時、ヒビキこと日高仁志は鬼になるための修行として山ごもりの真っ最中だった。

あまりにも修行に没頭しすぎた為、その日は山の中で夜営する事となった。

次の日、下山中に思いも寄らぬ相手と遭遇してしまう。

それは自分が見知った魔化魍ではなく、怪人が現れたのだ。まだ鬼になることが出来なかった日高は他の登山客を守る為、自らが囮となって一定の距離を保ちながらも山の中を走った。

 

だが、走った先にあったのは崖だった。崖を背にし反転すると、怪人は目の前にいた。日高がこの場所から逃げおおせるには崖から飛び降りるしか逃げ場がない。

そんな状況の中でも、日高は生きることを諦めなかった。

 

それまで修行してきた自分の音撃を一心不乱に怪人にたたき込んだが、まだ気の練り込みが甘い為か、はたまた音撃によるダメージが怪人には効果がないのか、怪人はびくともしなかった。次は自分のターンだと言わんばかりの怪人の反撃が繰りだされようとしたその時である。

 

今度は森から正に獣人と呼ぶに相応しい

モノが自分と怪人の間に乱入してきた。

獣人は瞬く間に怪人を倒し、日高は九死に一生を得た。

日高を助けたその獣人こそ、仮面ライダーアマゾンだったのだ。

 

一緒に下山をした日高はアマゾンとの別れ際、こんな約束をした。

 

「アマゾンさん、次にお会いする時までに体をしっかりと鍛えておきます! その時には俺、必ず鬼になってますから! 次は貴方を助けますから!」

「あぁ、その時を楽しみにしてる。

アマゾン、ヒダカの事忘れない」

 

それ以来アマゾンとは再会する事は無かったが、この約束をヒビキは忘れなかった。

 

「その節は本当に助かりました。結局、また助けられちゃいましたね…」

「さっき、懐かしい匂いがした。だから、アマゾン見つけられた」

「そうでしたか…。あ、そうだ。アマゾンさん、俺あれからずっと鍛えてるんですよ? シュッ」

 

ヒビキは右手をあげ、いつものポーズをした。

 

「見ればわかる」

 

たくましくなったヒビキの身体を見て、アマゾンは笑みを浮かべた。

 

「アマゾンさん。そういえば、どうしてこんな所に?」

「それは……」

 

アマゾンはこれまで自分がペルーにいた事。現地で【影】が画策していた計画のせいで、近くの村にいた住民達が行方不明となっている事。

そして、この森が日本のとある街で発見された【ヘルへイムの森】だという事をヒビキに伝えた。

 

「ヘルへイム? 聞き慣れない森の名前ですね。ちなみに俺の方はですね……」

 

ヒビキも自分が日本で魔化魍の調査をしていた際に、見たことのない魔化魍との戦闘になった事。そして、その魔化魍の中に人間が取り込まれたままな事。

そして先ほどの【クラック】に巻き込まれてこの森に来てしまった事を伝えた。

 

「そのマカモウ、アマゾン知ってるかもしれない。多分、ヤツが作った【十面鬼】」

「じゅうめんき? それって確かアマゾンさんが昔、戦っていた組織のボスですよね?」

「そう。とても強かった。でも、今は負けない。マカモウに捕まってる人間、アマゾン助け出す」

「ええ。元より俺もやりますよー。さっき寝てる間に突破口も思いつきましたからね」

 

「!!」

「おおおっと! アマゾンさん、急にバイク止めてどーしたんですか…」

 

ジャングラーを急停車させ周囲を見回すアマゾン。その表情は先ほどとは違い、何かを感じ取ったものとなっていた。

アマゾンの顔を確認したヒビキにも緊張感が伝わってくる。

 

「ヒビキが言ってた【ジュウメングモ】距離が近い。……もうすぐこっちに来る!」

 

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