『ふぅ…』
見事、【ジュウメングモ】を倒し、響鬼紅は安堵した。
『…って、ひと息ついている場合じゃない! 捕まってた人達は!?』
爆散した【ジュウメングモ】がいた場所を探す。
『大丈夫だ。捕まってた人達、全員無事』
アマゾンライダーの声が真上から聞こえ、響鬼紅がいる場所に飛んできた。
瞬く間に移動させたのか、助け出された人々は木陰に寝ているようだった。
『流石、アマゾンさん。今回は俺一人じゃ【ジュウメングモ】は倒せませんでしたね…。修行が足りない証拠です』
『そんなことない。ヒビキが手伝ってくれたおかげであの人達助けられた。あの人達、日本人じゃなく、ペルーにいる村の人達だった』
『それは良かった! 見つかってよかったですね!』
『あぁ、それより大丈夫か? なんだか辛そうに見える』
『あはは…見抜かれてましたか。すみません、また顔だけ変身を解きます』
通常の変身時に比べても、響鬼紅の状態は体力の消耗が激しいのは事実だった。
アマゾンは響鬼紅の様子を見ただけで疲れを見抜いた。
『まだまだかないませんね、ホント』
『どうした?』
『いえ、なんでもないんです』
顔だけ変身を解き、アマゾンを見つめるヒビキ。
『何かの拍子に【クラック】が開くといいが、こればかりはアマゾンでもわからない』
アマゾンは周囲を警戒していると、見慣れたジッパーが出現した。
「あっ、アレって!」
『あぁ、【クラック】だ。出口の向こう側はペルーみたいだ。アマゾン、村のみんなを連れて、ここから出る』
「一人でですか? それなら俺も手伝います!」
『いや、いい。それにオマエの後ろにも【クラック】が出てきた』
アマゾンから指摘され、背後を振り向くと本当に【クラック】が見えた。
出口の向こうは筑波の山中のように見えた。
「ホントだ。……アマゾンさん、またお会いする事って出来ますかね?」
『それはわからない。でも、今度は近いうちに会える。そんな気がする』
「わかりました。その時までに、俺もまた鍛え直しておきます」
『あぁ、アマゾン、ヒダカ……いや、ヒビキの事を忘れない。オマエとオレ、トモダチ』
アマゾンはヒビキに向かって、両手を合わせると不思議なポーズをした。
「ソレって! そうですね。トモダチですね!」
ヒビキが不思議なポーズに応えたのを見て、アマゾンは無言で頷くと寝ている人々の方へ歩いていった。
『ヒビキ、この森に長居するな。【クラック】からすぐ出ろ。そこら辺に生えてる果実は食べるな。食べたらよくない事、起きる』
アマゾンは背中越しに忠告をした。美味しそうに見えた果実だが、もしかして禁断の果実という事なのだろうか。
誘惑する匂いには何かしらの意味があるようだったが、ヒビキはあえて考えないことにした。
「……わかりました。絶対に食べません」
『それでいい』
なんとなくアマゾンが笑っているようなそんな声で返答したのを確認すると、ヒビキも【クラック】に向けて歩いて行く。
「それじゃアマゾンさん、また」
『あぁ、またな』
二人は会話を終わらせると、各々の元の世界に帰っていった。