アンクルソウルの冒険者   作:UKIWA

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 アニメからきたので、うまく書けるかどうかわからないですがよろしくお願いします!


1話

 

 

 この世界には多くの魔物が存在する。そしてそれと同じように多くの人間種も存在する。エルフ、ドワーフ、リザードマンそして人間。どれも、その種族に応じた特徴をもっている。その中で俺たちの種族は、イーターと呼ばれている。俺たちの最大の特徴は、全員が偏食者であること。人間でいうベジタリアンなどがいい例だろう。ただし、間違ってほしくないのは、俺たちはそれを食べるのが好きでではなく、それしか食べられないのである。イーターが食べられるものは遺伝的に違い、偏食の遺伝は四世代周期で変わっていく。その他の特徴として、俺たちは他の奴らより消化器官が発達し、食べた物をすぐに溶かす作用がある。また、俺たちはどの偏食にも共通して、口が発達しており、人間と比較すると、噛む力が異常に発達していることと、大きいものを飲みこめるよう口が裂けていることである。まあ、大方のイーターについての説明以上だ。最後に、俺のことを名乗っておこう。俺は、アンクルソウル(穢れた魂)だ。

 

_______________________________________________

 

 「ふぅ、やっと終わったか。すいませんありがとうございます。冒険者さん」

 

 「いや、丁度町を移動しようと思っていたのでな」

 

 「そうですか。いやあ、あなたみたいな銀等級の冒険者が護衛で本当によかった。最近は魔物の動きが活発化しているのでね。それでは、あなたに神の慈悲があらんことを」

 

 俺は、依頼人と握手を交わすと、その場で別れた。

 

 (さて、時間もまだある。ここの冒険者ギルドにも行くとするか)

 

 

 ~冒険者ギルド~

 

 ギルド内に入ると、多くの冒険者がパーティーごとに集まっていた。

 

 「受付の方は、あっちか」

 

 俺は受付の方へと足を向けた。

 

 「おいおい、あれ見てみろよ。あのぼろぼろのマントの冒険者」

 

 「金を惜しんだか?服も毛皮だけでできているぜ?」

 

 「ありゃ、どっかの田舎から来た奴だろ。あんな装備じゃ死ぬのオチだぜ」

 

 (ひそひそと声が聞こえているが、どこの町にも同じような奴がいたか)

 

 俺はその声を聞き流し、受付へと向かった。

 

 「お次のお客様どうぞ」

 

 「すまないが何か依頼を頼めるか?なるべく近場で」

 

 「はい。えっと、ここの受け付けは初めてですか?」

 

 「ああ、他の町から来たからな」

 

 「すみませんが身分証をお願いできますか?」

 

 「これでいいか?」

 

 俺はポケットから冒険者の証を取り出した。すると、それを見た瞬間、女は驚いた顔をした。 

 

 「ぎ、銀等級!?」

 

 そこまで驚くかと思ったが、大抵どこの町でもそんなものだ。女の言葉を耳にした途端、他の冒険者がざわつき始めた。

 

 「あ、すいません!!」

 

 「いや、いいんだ。どの町でもそんな反応だ」

 

 「本当に申し訳ありません。えっと、近場の依頼ですと、フォレストクラブの討伐がありますが」

 

 「それでいい」

 

 「お一人様で?」

 

 「ああ」

 

 すると、女は何か言いたそうな顔をした。

 

 「あの、誠に失礼なのですが、もしかしてイーターの方でいらっしゃいますでしょうか?」

 

 これは、俺も驚いた。イーターはほとんどの場合見分けけがつかないのだが、つくとしたら口ぐらいだろうが、あいにく俺は、布で覆っている。

 

 「ああ、そうだがどうしてわかった?」

 

 「いえ、男の人で口を大きい布で覆っていて、服装が毛皮を中心に着るのはイーターの狩人だと書物で読んだことがありまして」

 

 (なるほど、確かに故郷の狩りの服にこの格好は似ていたな)

 

 「ふっ、見事だな。俺たちを布越しで見分けるものは中々いない」

 

 「ありがとうございます。それでは依頼を受諾と言うことでお願いいたします。それでは、お気をつけて」

 

 俺は依頼を受け取ると、討伐の魔物がいる場所へと足を進めた。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 ~森中~

 

 「いないな。確かここらへんだったはずだが……」

 

 (おかしいな、魔物の気配やにおいも感じられない。フォレストクラブは甘いにおいを出すのが特徴なのだが)

 

 フォレストクラブの特徴は、かたい甲羅と牛4頭分の大きさそして初心者冒険者にもわかるぐらいの甘いにおいだ。これは、人間には無害なものの、魔物を集めてしまうものである。俺は歩きながら考えていると、小さな洞窟にたどり着いた。そして、俺はその近くでフォレストクラブの脚らしいものを見つけた。俺はこれを見て確信した。

 

 (フォレストクラブがいない要因。間違いない、ゴブリンだ)

 

 俺はそのまま、洞窟内へと足を踏み入れた。

 

 (奴ら食いやがったな。せっかくの飯をだいなしにしやがって。変更だ、今日はゴブリンだ)

 

 

 ~洞窟~

 

 (匂いはこっちからするか。この匂いはフォレストクラブの匂い。まだ食べられて数日ぐらいしかたっていないのか?)

 

 俺は匂いのする方へと歩くと、行き止まりに出た。自身の背後から人間が発することのない奇声と殺気が感じられた。振り返ると、軍隊のゴブリンがにやついた顔でこちらを見ていた。

 

 「やはり罠だったか」

 

 ゴブリン達は一斉に襲いかかってきた。普段の冒険者だった場合、この光景は絶望に見えるだろう。だが俺は違う。俺は、口元の布を外し、ニヤリと笑った。

 

 「食事の開始だ」

 

 俺は舌舐めづりをすると、向かってくるゴブリンに向かって口を開いた。 

 

 バグン!!

 

 ゴブリン達は、知らなかっただろう。目の前にいる生物が、冒険者ではなく、捕食者だということに。

 

 その瞬間、先頭を走っていた5匹のゴブリンは一瞬にして消え去った。最初ゴブリンたちは何が起きたのかわからなかった。よく見ると先ほどゴブリンのいた場所に足が一本落ちていた。人間の方を見ると、喉元がいように膨らみ、口元で何かをすりつぶす音が聞こえた。その音を聞いたゴブリンたちは震え上がった。

 

 イーターには、大きく3つのグループがある。一つは、消化能力が高い植物食、顎が強靭な石食、そして身体能力に特化した肉食が存在する。彼は、肉食だが、イーターの中で最強の食を持つ。彼の食は魔物食、魔物を喰らうために生まれたイーターなのである。彼の特徴は他にもあり、長く、大きく獲物を捕食できるようになっているガマと呼ばれるハエトリグサに似た器官である。これは、魔物食だけに現れる背中に生える捕食器官で伸縮自在、かつ、4mの射程を持つ。また、この器官には強力な圧縮力と急速な消化酵素を持ち、口にいれたものなら、ゴブリン程度なら10秒ほどで骨を砕き、養分とかしていく。

 

 バギボギィ!!

 

 「低級の魔物は柔らかくて食べやすいな」

 

 俺は口元を拭うと、次の餌に向かって足を向けた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 時を同じく、男の入った洞窟に入ろうとする男女二人の冒険者がいた。男は軽い鎧を全身にまとい、片方に盾を持ち、腰に片手剣を装備していた。女は杖を持ち、神官という職業を勤める者だった。

 

「ここか…入るぞ」

 

 「は、はい」

 

 洞窟内に入ると、いつもながら静かで、寒気を感じる空気が広がっていた。しばらく洞窟内を歩くと、奇妙な

ものを見つけた。

 

 「これは?」

 

 「原型はほとんど無いが、おそらくゴブリンの足の一部だろう。それに、下を見ろ」

 

 足元を見ると、赤い液体が溝に溜まり、地面に広がっていた。

 

 「何かあったのでしょうか?」

 

 「この争い方は、ゴブリン同士の争いではない。ゴブリン以上の魔物が、俺たちが来るすぐ前にこの洞窟内を襲ったのだろう」

 

 そう言っていると、洞窟の奥から複数の足音らしき音がかすかに聞こえた。

 

 「ゴブリンだ。プロテクションの準備をしておけ」

 

 「は、はい!!」

 

 武器を構えると、数分後、ゴブリン数匹がこちらの方向へと走ってきた。ゴブリン達の表情は何かに怯えるかのような顔をしていた。

 

 「今だ」

 

 「いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らを、どうか大地の御力でお守りください」

 

 女神官は、杖を正面に構え、呪文の詠唱をした。

 

 「プロテクション!!」

 

 不可視の障壁が発生し、ゴブリン達のゆくてを阻んだ。

 

 「₡₤₡₤₦₤¢₤₠!!」

 

 ゴブリン達は障壁にぶつかると、障壁を必死に破ろうと叫び声を上げ、その拳を叩きつけた。

 

 「何でしょういつもと様子が…」

 

 女神官がそう言った瞬間だった。先頭のゴブリンを残し、後方のゴブリンが突然消え去った。

 

 「₠₡₦¢₤!バギボギィ─!!

 

 洞窟の奥から断末魔と、何かが砕ける音が聞こえた。その時、

 

 「さがっていろ。来るぞ!!」

 

 断末魔が消えると、ヒタヒタと人間のような足音が近づき、最後に残ったゴブリンが一層死に物狂いの形相で、障壁を破ろうとした。女神官は、その表情に今までとは違う雰囲気を感じ、背筋に寒気を感じた。

 

 「¢₤₱฿¤!!」

 

 グシャッ!!

 

 最後のゴブリンにのしかかるように、何者かがそこに現れた。そして─

 

 ガシュッ─ブチブチブチ!!

 

 そのものは、ゴブリンの腕をちぎり落とすと、まるで人間が、骨のついた肉を食べるようにちぎれた腕を食べ始めたのである。ゴブリンは、今までに聞いたことがない断末魔を上げていた。

 

 女神官は、その光景に足元が震え、以前に自分が体験したあの恐怖を彷彿とさせるもので、吐き気が込み上げてきた。

 

 そのものは、味わうようにゴブリンの腕を食べ、食べ終わると、また次の腕、足を引きちぎり食べ始めた。それは、人が食事を楽しんでるように見えた。

 

 (まずい、障壁が乱れ始めている。あれがもし魔物なら、無事では帰れない)

 

 鎧の男は、女神官に向かって逃げる態勢を作るように指で合図をした。しかし、彼女は完全に逃げられるような状態の顔をしておらず、正気な顔をしていなかった。

 

 (時間は稼げるか?いや、もし今見えているあいつが、この洞窟のゴブリンを全て殺したのなら、勝ち筋は低い)

 

 万事休す、今の状況はそう言わざるをえなかった。

 

 そのものはやがてゴブリンの首を噛みちぎり絶命させた。そしてむくりと立ちこちらを視界にとらえた。その風貌は人型で、見た目は返り血を浴びておりわからなかったが、高さは自分達と同じくらいのものだと分かった。

 

 (プロテクションも精神の乱れで脆くなっている。それに加え、やつとの視線ももう合っている)

 

 鎧の男は神経を集中させ、相手の動きに備えた。

 

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 (最後の奴はゆっくりと食べたいが、あまりこいつは旨くなく肉もない。最後で外れを引いてしまったのは仕方がないか。まあいい、以前に食べたファイヤービーの焦げしかないものよりかはましか)

 

 黙々とゴブリンを食べ、食事を終え立ち上がると、目の前に女と鎧を装備したもの、恐らくがたいからして男であろう二人の冒険者がそこにはいた。鎧の方は警戒している態勢をとり、女は俺の方を見て恐怖していた。

 

 (まさか他の冒険者がいるとはな、警戒を怠った自分が悪いか。さて、話せたものか)

 

 俺は布を顔の後ろで結び、口元を隠した。

 

 すると、自分が言葉を口にする前に鎧のものが先に口を開いた。

 

 「お前は何だ?」

 

 まるで上級のモンスターにでもいうように武器を強く構えながらそう言われた。

 

 「何と言われてもな。これを見せればその武器をおさめてもらえるか?」

 

 俺はポケットの中から銀色の冒険者の証を取り出した。

 

 「冒険者の証…!!」

 

 「俺は依頼でフォレストクラブの討伐をしに来たが、どうやらここのゴブリン達に食われたらしい」

 

 鎧のものはどうやら理解したらしく。剣をまだ構えながらもどこか先ほどより話せる状態になった。

 

 「それで、なぜお前はゴブリンを喰っていた?」

 

 (大概の冒険者は、説明が長くなるのだが)

 

 「それは、俺達の種族が一定のものしか食べられないという性質でな。今の質問だが、俺はその中で魔物食という魔物しか食べられない。だから、今までこの中のゴブリンを喰っていた。それだけだ」

 

 「なるほど、十分だ。すまないな」

 

 その鎧のものが理解したのかそう言い、武器をしまった。

 

 「いやいい、俺も他の町でもこの光景を何度か見られたが、同じように敵対意識を持たれたよ。それに冒険者がこの状況で構えないのなら逆におかしいはずだ」

 

 「そうか」

 

 「俺の方が悪かったな。お前らはここのゴブリンの討伐が依頼だったんだろ?」

 

 「ああ、そうだ」

 

 「詫びではないがゴブリン消滅の証拠としてここのゴブリンリーダーの首飾りをとっておいた。持っていけ」

 

 俺はポケットから爪や歯で形成された首飾りを取り出すと、鎧のものに投げた。いつしか透明な壁もなくなっており、首飾りは鎧のものの手元に渡った。

 

 「すまない。お前はもうでるのか?」

 

 「お前たちが先に行くなら行ってくれ。そこの女が俺のことを怖がっているようだからな」

 

 女は、先ほどよりか震えは出ていないが、まだどこか怯えが見える顔をしていた。

 

 「わかった。俺達が先に出る。今の状態だと探索も不可能なのは目に見えている。」 

 

 鎧の男はそう言うと、女と共に来た道を戻っていった。しばらくの時間洞窟内を探索し、残っているゴブリンがいないか確かめ、完全にいないことを確認すると、俺は洞窟を出て、洞窟の穴を潰した。そして俺は町へと戻った。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 ~冒険者ギルド~

 

 「こちらが依頼の報酬となります」

 

 「ああ」

 

 ギルドで報酬を受け取り、俺は宿へと戻ろうと思ったが、ふと先ほどあった冒険者が気がかりになった。

 

 「そういえば、依頼の途中で顔まで覆った鎧の男と神官の女に会ったが、戻ってきているか?」

 

 「もしかしてゴブリンスレイヤーさんのことですか?」

 

 (ゴブリンスレイヤー?)

 

 「二人なら先ほど報酬を受け取りに来ましたけど。何か御用でしたか?」

 

 「いや、少し話をしてみたいと思っていただけだ」

 

 俺は受付にそう言うと、ギルド内から出た。

 

 (ゴブリンスレイヤーか、名持ちとはまた面白い巡り合わせか。どんな生き方をしてきたのか聞いてみたいものだ)

 

 俺はそう思うと、鎧のものとの次の出会いを楽しみになっていった。

 

 

 

 


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