魔法少女リリカルなのは~嘘つきが世界を救う~   作:融点

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それではプロローグ、始まります。


プロローグ

子供の頃っていうのは、まだ現実とか見えてないから色々な夢を見る。

 

『大きくなったら消防士になるっ!』とか

『警察官になって悪い人たちを捕まえるんだっ!』とか。

 

でも実際「社会」という世界に一歩足を踏み入れると、そういう夢は結局夢のまま終わってしまうんだと嫌でも思い知らされる。

 

かという『私』もその1人。

 

 

昔から親の背中を見て育ってきたから、親が勤めていた病院の仕事に憧れていた。そして理科系が好きで、あまり人とのコミュニケーションが苦手な『私』は偶然にも「臨床検査」の仕事に惹かれた。

あまり人と関わることがない分、医師の判断を委ねる材料を正確に渡す役割を持つ仕事だ。責任が大きい分、やりがいもあるかもな……。そんな思いで、専門学校に通わせてもらって、見事資格も持つことが出来た。

 

 

しかし、いざ就職して待っていたのは厳しい現実だった。

 

 

責任が大きい分、小さなミスも許されない。

そんな世界で『私』は凡ミスだらけでなかなか仕事が上手くいかなかった。

その「仕事が上手くいかない」現実は、夢を追い求めて走ってきた『私』の決意をポッキリ折るのには十分すぎた。

 

 

やむなく検査の仕事を辞め、工場に勤めることにした。

検査の仕事をしていた頃よりもしっかりと勤めることが出来て、色々なことを任されるようになった。

とてもやりがいを感じる……。別に検査の仕事じゃなくたって楽しく仕事できるじゃないか。

そう、自分に言い聞かせるようにして、自分の今までの頑張りを否定し、無意識に自分自身を追い込んでいた。

 

********************

 

「……ふう、やっぱり繁忙期は帰るの遅くなっちまうなぁ。」

 

 

この日は珍しく、歩きで仕事に通っていた。

車でも来れるしこっちの方が断然早いのだが、たまに気分で歩いて通う時がある。こういう時は大体、心が擦り切れてる時だ。何となく感傷に浸りたい気分。

プシュッと持っていた缶コーヒーを開け、クイッと飲み干す。今回はカフェオレだったため、コーヒーとミルクの甘さが体に染み渡る……気がした。

 

 

「……なーんでこんなことしてんだろうなぁ…。」

 

 

後悔後先たたずとはよく言ったもの。結構検査の仕事を辞めたことを、数年経った今でも後悔してる。

あの時しっかりやっていれば……なんて、頭に過ぎることもあるけど……、今の仕事が成り立ってしまってる分あまり強くは言えない。

 

検査の仕事を目指した本当の理由……それは「人を病気から助ける仕事がしたかったから」。

父親が医師、母親が看護師をしていた。患者を救うために忙しなく動いている両親が子供の『私』にらすごく格好よく見えた。でも、医師になるほど頭良くなかったし、看護師になるほど人とコミュニケーションとれるわけじゃないから……臨床検査の仕事をしようとおもったんだ。

 

(きちんと医療の仕事を出来てる両親が……本当にすごく眩しく見えちまうよ。)

 

 

そう思い耽りながら、缶をゴミ箱に捨てて薄暗くなった街並みを歩く。……と、そんな時だった。

 

 

「ねぇねぇ!コレ見てよ!チョー良くない?」

「わぁ、可愛い〜!」

「えー?わたしはこっちの方がいい気がするけどなぁ〜。」

 

 

目の前から、部活帰りの女子高生達が歩いてきた。

……自慢じゃないけど、コミュニケーションの中で1番女の子とのコミュニケーションが苦手な『私』は若干女の子、女性に対して苦手意識があったりする(だからといって女の子や女性が嫌いな訳では無い。普通の健全な男性です。)。

と、言うわけで何かと勘違いされないように目線を上にずらして見たら……。

 

 

(……うわー、あの看板強い風吹いたら落ちてきそうだなぁ…。)

 

 

整備の行き届いてないビルの上に立てられた看板が、ガタガタと音を立てて揺れていた。年季の入ったビルだから劣化してるんだと思うけど……。

そして、何があったのかその看板の落下地点の真下に先程の女の子達が立ち止まっていた。

 

…ま、まさかね……?落ちてきたりしないよね?

 

 

と、そんな時だった。いきなり突風が吹き荒れ、ぶっ壊れそうだった看板が……音を立てて落ちてきた。

このままじゃ……女の子達が……!!

 

 

(あの様子じゃ、気づいてないんじゃないかあの子達!?)

 

 

そう思ったらいても経っても居られなかった。

『私』は唐突に走り出し、1番危険そうな女の子を突き飛ばした。

 

 

「痛っ……!!」

「綾乃!?……おい、あんた!何……して……」

「きゃぁぁ!!」

 

 

突き飛ばした女の子を追いかけてくれたのが幸いしたのか、全員無事逃げ出せたみたいだ。

『私』は突き飛ばした状態でうつ伏せに倒れてしまったから逃げるに逃げられない。

 

ま、未来ある子供を守れたと思えば……上々じゃないかな?

 

そう思ったと同時に、体に看板が当たった衝撃と激痛に、『私』の意識は遠ざかっていった。





あまり文才はないですが、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
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