ぐだアナなお話   作:Luxuria

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アナスタシアの絆ボイスを題材に書きました深夜投稿です(てへ
Switchでスマブラとかしててさぼってましたごめんなさい

それはそうと皆様アナスタシアのバレンタイン聞きました!? やばいかわいい今年は年始からぐだアナ供給が多すぎて泣いちゃいそう
去年のクリスマス礼装のも良かったですね! もちろんゲットしましたよ!

次は何を書こうかな、日本に帰国する話とかも書いて見たいんですよね。うーん、迷う


stay by my side

「近づかないでください」

 

そう言われて彼、藤丸立香は苦笑いを浮かべながら頬を指で掻いた。

今彼がいる場所はカルデアのサーヴァントたちが住まう部屋の一室。つい先日召喚された少女、名をアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。ロマノフ帝国における皇女がこのカルデアに召喚されいざコミュニケーションを取ろうとしたらこの始末だ。ドア越しに言われたその言葉には流石に彼とて苦笑いをしてしまった。

 

「いやあの、アナスタシア?」

 

「近づかないでください」

 

「おうふ」

 

さらなる追撃に今度は精神的ダメージに彼はついには膝をつき、胸にくる痛みを抑えつつ目標が奥にいるであろう部屋に視線を送る。

今きっと、彼女は凍てついた氷のような表情で俺のことを見ているのだろうな、と立香は思う。けれど彼は引かずに、また改めて来ようと思い「また来るね」と言い残す

 

立香における最初の彼女のイメージは『難敵』

アナスタシアにおける彼の最初のイメージは「おせっかいな人」

彼と彼女の始まりはここからだったのだ。

 

 

あくる日の昼ごろ、俺は再び彼女の部屋に来た。

が、肝心の彼女はいつもと同じように部屋から外に出て来ようとはしない。サーヴァントゆえ魔力供給さえあれば食事も何もいらないため外に出る理由はないのは知っているが少し暗い顔を見せてくれてもいいのにな、なんて思いながら俺は部屋の扉に背中を預け座った。

 

「……アナスタシアはさ、雪合戦とかしたことある?」

 

なんて聞いてみる。

彼女の国、ロシアは北に位置する大国だ。それ故に常に雪があって当たり前のような環境、他の人から聞くに彼女は遊び好きだったようだからやったことくらいはあるのでは、と思った次第だ。

返事を期待してはいるものの、やはりと言うべきか彼女の声は聞こえない。それがわかった俺は少しばかり笑ってから口を開く。

 

「俺がいたところさ、雪あんまり積もらなかったから積もった日は友達と雪合戦やったり雪だるまとか雪うさぎ作ったりして一日中手の感触がなくなりそうってくらいまで遊んだんだ。すごい楽しかったよ」

 

もう誰もいないであろう故郷での思い出。

二、三人でチームを組んで雪でガードを作ってそれに隠れつつ、少し見えた敵に手頃な大きさで作った雪玉を放って、それを避けて投げられた雪玉が顔面に直撃したときはそれなりに痛かった記憶がある。

いや案外硬いんだよね、おかげで顔は真っ赤でヒリヒリするのに冷たいなんて変な感覚を味わった。

 

「……ただの雪玉でですか?」

 

「……え?」

 

「ただの雪玉でやったのですか?」

 

「そう、だけど」

 

扉の奥から聞こえたその声に俺はつい硬くなった。

応えてくれたのが嬉しい反面、むしろ普通の雪玉以外に何があるのだろうかと言う疑問が湧いて来る。雪玉に何か細工でもしていたのだろうか、だとしたら一体何を?

 

「それではつまらないでしょう。石を混ぜるべきです。宝石だとより良いと思います」

 

「痛い痛いそれすごい痛いと言うかまさかそれを!?」

 

「容赦なく姉にぶつけました」

 

「痛い! 考えるだけでも痛い!」

 

容易に雪の上を顔を手で押さえながらもがく人間の姿が想像できる。

俺の体験よりひとまわりどころかふたまわりも違う雪合戦はさぞ壮絶だったんだろう、アナスタシアの姉さん、苦労したんだろうなあ。

 

「ただの雪合戦などつまらないでしょう?」

 

「いやいやいやそれ病院案件だから! 普通に!」

 

「大丈夫です。回転をかけた私特製雪玉でもがいている姉の姿で私が少し涙してしまうぐらいで」

 

「ならやめよ! ね!?」

 

 

またあくる日も彼女と会話を続けた。

扉越しに聞こえる彼女の声、最初は淡々としていたが次第に感情がちゃんとこもり始めた。それが素直に嬉しくてまた会話をしに来ようと思えるくらいには俺は彼女との会話を楽しんでいる。

今日も今日とていつも通りに彼女の部屋のドアに背中を預ける。これが俺が来たというサイン……

 

「うぇ!?」

 

だったのだが唐突に背もたれにしているドアが開かれ倒れてしまった。

そしてその視線上にはいたずらに成功して嬉しいのかニコニコしながらこちらを見るアナスタシアの姿。

 

「部屋で、喋りたいわ」

 

「へ?」

 

「同じ部屋にいるくらいなら、いいです。ちゃんと顔を見て話がしたいから」

 

久しぶりに見る彼女の顔はどことなく赤く感じる。

初めて会った時の無表情は消えてただ一人の少女として映る彼女はとても愛らしく思える。

 

「……君がいいなら、喜んで」

 

「ええ、今日は何を話しましょうか」

 

彼女は俺の手を取って部屋の中に招き入れる。

俺の部屋と刺して変わらない光景、その中に置かれているテーブルの上で鎮座する人形、彼女の契約精霊であるヴィイが俺を見ているような気がして少し気まずく感じてしまうけれど。

 

「さあマスター」

 

彼女の声を聞いて、また一つ彼女との間にできた感情に、彼女との距離が縮まったことへの嬉しさを示すように。

 

「この前、ダヴィンチちゃんがさーー」

 

 

そして、時間は進み、今現在。

 

「酷いやられようだ、早く医療魔術を使えるサーヴァントを!」

 

俺は怪我を負った。しかもそれなりにシャレにならないくらいの。

理由は単純だ、ただ単に油断していた。小さな歪みを持った特異点にレイシフトしていた俺は後ろにいるそれに気づけずに気づけば龍牙兵

に背中を切りつけられ、そして吹き飛ばされた。

あまりにも一瞬すぎて頭が追いつけなかった。その龍牙兵は一緒に来たサーヴァントたちが一瞬で灰にしたが、俺の傷はどうしようもなく一旦レイシフトを中断しカルデアに戻り医療室にて応急処置を受け、現在に至る。

 

鮮烈な痛みが、身体中に巻きつかれた包帯に染み付いた自分の血が痛々しい。つい顔を歪めてしまいそうになる。

それを必死に抑えて、俺は口を開いた。

 

「アナス、タシアには」

 

「どうしたんだい? マスター君」

 

「彼女だけ……には、どうか」

 

彼女の最後、家族とともに迎えた残酷な最後。

その彼女が今の俺を見たらどうなる。

俺が彼女の家族と同じくらい彼女に大切にされているとは思わない、けれど家族を、大切なペットを、使用人達が目の前で死んで最後には自分が残酷な最後を迎えた彼女がこんな俺を見たらきっと崩れてしまう。ここまで積み上げた彼女との間にあったものが崩れてしまう。

それだけは嫌だ、それだけは。

 

そう、思っていたのに。

 

「もう遅いよマスター君」

 

ダヴィンチちゃんがそう告げた後、この部屋の扉が開いた。

その先には、青ざめた表情のアナスタシアが、ヴィィを抱いて立っていて。

 

「リツカ……?」

 

ああ、遅かった。

きっとダヴィンチちゃんのことだ、誰よりも先に彼女に連絡したのだろう。現に医療のために呼ばれるサーヴァントより先に彼女が来ているのが何よりの証拠。

 

「後は任せたよ、アナスタシア」

 

ダヴィンチちゃんは自分が邪魔者だと言わんばかりにアナスタシアと入れ替えで部屋を出て行ってそれとすれ違いのように彼女が入ってくる。

 

彼女の瞳に、涙が見えた。

目尻に溜まっていたものが彼女の白い肌を伝って落ちていくには見えた。

悲しみが、痛みが、激情が、その粒となって地面に落ちていく。

俺のそばに駆け寄った彼女の表情はただただ悲痛に満ちていて。

俺の力がこもらない手を拾い上げた小さな手は震えていて。

 

ああ、彼女を、アナスタシアを泣かせてしまった。悲しませてしまった。恐怖させてしまった。

 

「ごめん、ね」

 

ただ俺に言えることはこれだけだった。

 

背中の傷よりも、腹に残る痛みよりも、ただただ胸にくる痛みが強く響いてくる。

 

「もう、嫌なの」

 

弱々しい彼女の声。震えながらも強く俺の手を握る彼女の手。

彼女の感情を読み取るには十分なそれらに俺はできる全てを、といっても彼女の手を握り返すことしかできないけれど。

 

「掴んだ手を、離さないで」

 

「ああ」

 

「私の目の届くところにいて」

 

「ああ」

 

「私の声を聞いたら、いつでも返事をして」

 

「ああ」

 

「私はもう」

 

失いたくないの。

 

 

次の日、さすがは世界に名高い魔術師が揃いも揃っているおかげで俺はだいたい回復していた。

痛みはもう引いてはいるし、背中の傷跡もまるでなかったかのようにすっかり消えてしまい少し身体が重いこと以外はさしていつもと変わらないくらいには、回復しているのだが……

 

「あのー、アナスタシア?」

 

「何かしら」

 

「いやあの、そろそろ離れてもらえると嬉しいんだけど……?」

 

「貴方が悪いのだから、もう少しだけ我慢して」

 

アナスタシアが昨日からずっと隣にいるのだ、しかもすごい距離近い。健全な男の子にはとても悪いと思うのだが彼女はそんなの知らないとばかりにずっとこのままだ。

 

「ね?」

 

彼女が昨日の苦痛に満ちた表情ではなく柔らかな笑みで俺に声をかける。

 

「……負けました」

 

これから先、俺は彼女に勝つことはないんだろうなと複雑な感情を抱いて俺は両手を上げて降参するのであった。

 

 

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