ドラフ島列伝 ~The last page of baseball legends chronicle~   作:マリリンマンション

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※タイトルがわかりにくいようなので変更しました。

今回は実況と解説のみです。描写なしの問題作と思われすw
今後もいろいろ試行錯誤していくと思いますがご容赦ください。


Counter Rockets

「――ECBの制作でお伝えしております。東地区リーグ予選のエキシビジョンマッチ、フロッグス×フットレイクスの試合は4回の表、フロッグスの攻撃へと突入してまいります。打順は上位打線、この回先頭の永瀬大河が右のバッターボックスに入りました。3回までの序盤が終わりまして1-4という得点状況です。ここで、解説の奈加乃さんにお尋ねしましょう。フットレイクスが3点をリードして、これから中盤の攻防に突入していきます。追いかけるフロッグスとしてはどのような展開を期待したいですか?」

「そうですねぇ。ルコフスク選手からの大量得点は難しいでしょうから、今のうちになるべく点差を縮めておきたいですね」

「緑色のヘルメットから肩のあたりまで伸びる銀色の髪が、風にさらさらと揺れております。この永瀬は、ここ数年ケガで戦列を離れていたそうですが、どのような選手でしょうか?」

「とても器用な選手だと聞いています。内野はどこでも出来るようですし、外野手としての出場経験もあったと記憶しています。打撃もバントなどの小技から、状況によっては長打でチャンスメイクしたりと多彩ですね」

「データを見てみますと、得点圏打率が.195と極めて低いようですね……」

「メンタルが弱いというよりは、ここ一番の場面で打球が野手の正面だったりする事の方が多い印象がありますね。運がないと言いますか、これは彼の魔道術の影響もあると思いますが……」

「ルコフスクの初球はほぼど真ん中。ストライク。カウントはノーボール1ストライクです。そういえば、永瀬は魔道術を使いましたっけ?」

「派手さがないので、あまり知られていないようですが、故意に幸運を呼び込む非常に珍しい能力の使い手です。本人はハードラックと名付けているみたいですが……」

「幸運を呼び込むのにハードラックですか?」

「呼び込んだ分のラッキーは、後で清算しなくてはいけないらしいんです。ですから、一度魔道術を使うと、暫くは不運が続いてしまうみたいですね」

「それで、ハードラックですか……。ルコフスクが第2球を投げました。高めの球、空振り。カウントはノーボール2ストライクです。追い込まれました。しかし、運を操作するというのは、傍目には分かりにくい能力ですね」

「能力に関係なくラッキーだったりアンラッキーだったりという事もありますからね。ですが、あまり目立たない能力だからこそ東地区でも使い易かったという側面があると思います。それに、この能力で永瀬選手は選手生命を一度絶たれていますからね」

「一昨年の肘の負傷のことですか? これは、モンキースの走者と激しく接触した際に負ったものと記憶していますが……」

「走者と接触する直前の打席で、彼はチームを同点に導く2ラン本塁打を打っていますよね」

「言われてみれば、そうですね。ですが、永瀬は試合後のインタビューでは、能力に関しては一切触れていませんね」

「これが能力によるものなのかどうか証拠がないと言われればそれまでですが、可能性を否定する事も出来ません」

「同点2ランの代償が選手生命というのは、ちょっと釣り合いが取れないような気もしますが……ルコフスクが第3球を投げました。高めの球ファール。バックネット方向に打球が転がります。腕に伝わる衝撃に表情を歪めております永瀬。かなり痛そうです。それにしても、グラヴィティーボールは重そうですね」

「前に飛ばすだけでも難しいはずですよ。永瀬選手には長打もあると申し上げましたが、本質的には中距離打者ですからね」

「ボールカウントはノーボール2ストライクと変わりません。追い込まれています永瀬。対しますルコフスクが第4球目のモーションを起こします。波水出のミットは外、ルコフスクが第4球目を……投げました。打ちました。しかし、これもまたファール。カウント変わらずノーボール2ストライク。追い込まれてから2球続けてファールで粘りました。球数を稼ごうというよりは、力負けしている感じでしょうか」

「そのように見えますね。それに少し粘ったところで、このピッチャーの魔力や体力を削ったりというのは難しいでしょう」

「3倍のグラヴィティーボールは10球まで、5倍は2球まで、そして10倍は最終回限定で1球までという公式の発表がありますが、ルコフスクは球威が2倍のグラヴィティーボールには球数制限を設けていません」

「試合展開によっては多少前後していますから、この数字はあくまでも目安ですね。3倍を15球投げて5倍を1球という試合もあります」

「魔力が尽きなければ、という事ですか?」

「そういう事でしょうね」

「何とか、ランナーを溜めてクリンナップまで繋ぎたい永瀬。さぁ、ルコフスクが振りかぶります、足が上がって、投げました。インコース、ファール。今度は足に当たりました」

「うわぁ、これは痛そうですね……」

「丁度くるぶしの辺りでしょうか。自打球が当たりまして蹲ります。これはツイてないですねぇ。一塁コーチボックスから龍ヶ崎がコールドスプレーを手に持ちまして駆け寄ります。ただでさえ球威のあるグラヴィティーボールですから、痛いでしょうねぇ」

「相当痛いと思いますよ」

「足へのダメージが、心配される所ですが……今、永瀬が立ち上がりました」

「大丈夫なようですね」

「龍ヶ崎もコーチボックスへと下がります。プレイ再開です。茅野球審がコールしました。波水出のミットはほぼど真ん中に構える。ルコフスクが第6球を投げました。今度は大きなスウィング、ファール! 打球はバックネット方向です。カウントは変わらずノーボール2ストライク。奈加乃さん、追い込まれていますが強振してきましたね」

「中途半端なスウィングでは前に飛ばないという判断でしょうね。タイミングは合っていますので、ひょっとすると一本出るかも知れませんよ」

「フットレイクスの内野はほぼ定位置ですが、外野はかなり浅い守りの守備陣形です。これは、外野まで飛ぶことはまずないだろうという判断と見てよろしいですか?」

「そうですね」

「さて、ノーボール2ストライクと追い込んではいますが、粘られています、マウンド上のルコフスク。大きなモーションから、第7球を、投げました。おぉっと、セーフティーバントだ! 三塁線面白い所に転がる! ライン際だが、打球の勢いが少し強い。しかし、ボールに不規則な回転が掛かっている。ピッチャーもサードも見送りますが、打球は切れま……っ!?」

「フェアだ!」

「切れません! フェアーです! 永瀬は一塁にヘッドスライディング。意表を突いた、素晴らしいセーフティーバントが出ました! ノーアウト! ノーアウトランナー一塁です! 良い所に転がりました!」

「お見事! ツイてますね」

「これは、運を味方につけるハードラックが発動したという事になりますでしょうか?」

「う~ん、こればっかりは本人に聞いてみないとわかりませんが……まあ、そうでしょう! でなければスリーバントはないですよ!」

「いささか地味な能力ではありますが、それはともかく、ノーアウトでのランナーが出塁しました。打順は3番の大坂が左のバッターボックス。初回の打席は金属バットがバックネットに突き刺さるハプニングがありました。非常に球質の重いグラヴィティーボールですが、あそこまで持って行かれるものでしょうか?」

「5倍、10倍となれば無い話ではないと思いますが、2倍であそこまでというのは不自然ですね。ですが、黒魔術には相性というものもあります。例えば同じ刺激を受けても、痛いと感じる人と気持ちいいと感じる人がいるように、黒魔術にも効きやすい人と効きにくい人という個人差は存在します。彼の場合は、アレルギーとも言えるくらい過敏に反応してしまうタイプなのかもしれません」

「ルコフスクの初球はど真ん中ストライク。じっくりと見送ります大坂」

「もし、そういう体質だとしたら、無理に手を出して、腕を折ったりという怪我も心配ですね」

「そう言えば、午前中のモンキース戦でも漁火のファイヤースターターであわや火達磨というシーンがありました」

「漁火選手のファイヤースターターの火力はせいぜいグローブのポケットを焼き切る程度です。人を一人火達磨にするとなれば、さらに大きな火力が必要となるでしょう。この場合は、上級魔法の申請を運営本部にしなければなりません」

「大坂は、黒魔術に極端に弱い……という事になりますか?」

「えぇ、弱いという表現が適切かどうかはわかりませんが、今の段階では、そう考える妥当ではないでしょうか」

「ルコフスクが第2球を……投げました。低めに決まってストライク。追い込みました。微動だにせずに見送ります大坂。黒魔術に弱いという話がありましたが、ここで何もしないと言うわけにはいきませんよね?」

「その辺は大坂選手も分かっていると思いますがね。最低でも、永瀬選手を得点圏に送りたいですね」

「しかし、カウントは既にノーツーです。ノーアウトランナー一塁。一塁ランナーは永瀬。あまり、大きなリードは取っていません。打席の大坂は2球続けて見送りました。どうでしょうか? 初回の打席のイメージが残っていますか?」

「金属バットが2つに折れてしまう程ですからね。その感触やイメージが残っているのは間違いないと思います。ですが、ルコフスクとの対戦はこの後も中盤、終盤とあるわけですから。何もしないというのは、得策ではないと思いますよ?」

「ルコフスクが第3球を……投げました。ストライクッ! 見逃がし三振! 3球三振!」

「ちょっと勿体ないですね」

「……おや? 大坂が何か茅野球審に抗議していますねぇ。納得いかない表情。今の投球は、明らかにストライクに見えましたが……」

「カウントを勘違いしていましたかね?」

「はぁ……?」

「2球目なんですが、少しぼんやりしていた様にも見えましたから、もしかすると、ですが」

「だとしますと、あまりにもイージーミスです」

「集中してもらいたいですね」

「渋々といった表情で、ベンチへと下がります大坂です。さあ、1アウトですが、一塁にランナーを置きまして打席にはこの男。ガッテムが右の打席に入ります。ややオープンスタンスの構えです」

「先程のホームランもありましたから、警戒されていると思いますけど、一本期待したいですね」

「外野は、定位置よりもやや後ろ……いや、キャッチャーの波水出が前に出るように指示を出しています。これは、3倍や5倍のグラヴィティーボールがあるという事でしょうか?」

「これだけ早い回から使って来るのは珍しいですね」

「それだけ本気という事でしょうか。勝負事には妥協を許さない性格でもルコフスクは知られております。この人は風貌や言動から、直情的な熱血漢だと思われがちなのですが、至る所に策を巡らす智将派でもあるんですよね」

「とてもそうには見えないんですけどね~」

「ここは勝負どころと踏みましたフットレイクスのバッテリーです。さて、足が上がって第1球を、投げました。外、外れてボール。1ボールナッシング。…今のは意図的に外しましたか?」

「えぇ。ガッテム選手も様子を伺いましたね。お互いに様子見といったところではないでしょうか」

「さて……奈加乃さんは、ガッテムについてはどのような印象ですか?」

「何と言っても、初見でグラヴィティーボールをスタンドまで運ぶ打撃センスの高さですよね。あの太い腕からのパンチ力は勿論ですけど、魔道術への対応力も申し分ありません。多かれ少なかれ修羅場を経験している選手だと思います。彼が今まで島のタイトルランキングに登場していないのが不思議なくらいですね」

「このガッテムついてなのですが、弊社の調べによりますと、昨年は本土のプロ野球チームに所属していたのではないかという情報があります」

「では、第8次招待選手ということですか?」

「第8次招待選手の名簿データは水曜日の北地区リーグ戦開幕と同時に公表されることになっておりますので、まだ確認が取れないのですが、可能性はありますね」

「だとしたら、なんでこんな田舎のチームに?」

「ルコフスクの第2球はストライク。高めの球。これで1ボール1ストライク。……それが全く分からないんですよね」

「そういえば、大坂選手・矢部選手・橘選手もデータがないですね」

「あくまでも推測なのですが、彼らも第8次招待選手なのではないかということですね。午前中の解説には日野さんにお越し頂いていたのですが、激戦区の北地区を勝ち上がるよりも、比較的勝ち抜きやすいであろう東地区で登録した方が得策だという判断があったのかもしれません。いずれにしましても、フロッグスは今日の試合で解散を免れました」

「でも待って下さい。東地区の代表はフナシーズですよね?」

「そう……ですね。首位のモンキースが解散してしまいましたから、勝率の一番高いフナシーズが自動的に東地区の代表という事になります。そうなりますと、フロッグスの本戦出場は早くても来年からという事になりますねぇ」

「招待選手が最初の1年を棒に振るというのは、解せないですねぇ……」

「ルコフスクが第3球を投げました。低めいっぱい。ストライク。1ボール2ストライクと追い込みました。選手のモチベーションと言いますか、勝ち進んで本土に帰ろうという意識は、年を追うごとに薄らいでしまうらしいですからね」

「島で生まれ育った私たちには、わかりにくい感情ですね」

「さて、奈加乃さん。ここまで、ボール、ストライク、ストライクという配球ですが、4番のガッテムに対しまして、ルコフスクの投球内容に変化はありますでしょうか?」

「コースを意識してると思いますよ。ストライクゾーンに3倍のグラヴィティーボールを投げ込んでカウントを整えました。3倍は球数は節約したいでしょうから、この後は2倍のボール球を打たせて、あわよくばダブルプレイという配球になると思います」

「その、ルコフスクがリストバンドで額の汗を拭います。上半身は裸です。逆三角のボディーが唸りを上げる。第4球を、投げました! 低めに外れてボール。ツーエンドツー。並行カウント。今のは2倍でしたか?」

「2倍ですね」

「2倍のグラヴィティーボールを、スタンドまで運んでおりますガッテムの第2打席。2倍の非常に重たいボール球を見極めた上で、3倍の更に重いストライクに的を絞らなければなりません。これはもう今日のターニングポイントと言っても良いでしょう。1アウト一塁です、チャンスを広げることが出来るか、あるいは一発長打あるのでしょうか」

「外野がかなり前進していますからね。ガッテム選手の打力を侮っていないか心配ですね」

「さぁ、ルコフスクがセットポジションから、第5球を、投げました! 低めの球を、打ちました! バットが折れていますが、セカンド金のグラブを掠めて、鋭い打球が浅い外野の間を抜けていく! 永瀬のスタートが若干遅れていますが、サードコーチャーの矢部が大きなモーションでGOサインを送ります! ガッテムも一塁を回って二塁へ向かう。ようやくセンターが打球に追い付きますが、永瀬は三塁も蹴った! ボールは中継に帰ってきただけ! 永瀬は悠々ホームイン! ガッテムは二塁でストップします」

「ボール球……でしたねぇ」

「低めのボール球を、上手く掬いあげました」

「ボール球ならば2倍と読んで、ガッテム選手はそれを狙ってましたねぇ」

「バットは折れましたが、またしても技ありの一打。バッテリーの配球を逆手にとっての貴重なタイムリーツーベースで2-4! 反撃の狼煙が上がります!」

「この1点は大きいですよ」

「非常に大きな1点が入りました。しかし、まだ2点差あります。打席には、先程はレフト、一番深いところまで飛ばしています。佐賀が右のバッターボックスに入りました――」




◆◇◆ 登場人物紹介 その14 ◆◇◆

名前:菅野/年齢:24歳/身長:188cm/体重:細身/血液型B型
投打:左投左打/守備位置:投手/基本データ(コス|球速|魔):GB|156㎞/h|G
変化球:Hスライダー(3)、SFF(3)
特殊能力:なし

元ネタは冥球島編に登場する鬼が島分校のエース。
当時のパワプロはコントロールGでもそんなに失投とかないから、
球速に慣れるまでは攻略が難しかった。慣れたら雑魚なのですが……

本編でも佐賀の相棒として登場しますが、佐賀と同様に借りたのは選手の名前と能力のみです。
外見的特徴やエピソードはオリジナルですので、ご了承ください。
5年前の事件の戒めとして、両腕に刺青を彫っています。
寡黙な佐賀と対照的に社交的に書きたいのですが、それは展開次第でしょうか。

尊敬する選手:杉内俊哉(巨人)
好きな曲:黄金魂(湘南乃風)
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