ようこそ実力至上主義の教室へ~もしも坂柳有栖に幼馴染がいたら?   作:ソラたん

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大変お待たせしてしまいました。


またまた2人との待ち合わせ

 いつもの場所に向かうと。有栖と神室さんがいた。二人は僕が来たことに気が付きこちらを向く。

 僕は手を上げて、小走りで二人に近づく。

 

「ごめん、待たせたかな?」

「いいえ、そんな事はありません。私も今来たところですから」

「そうなんだ良かったよ」

 

 そんな会話をしていると、神室さんが鼻を鳴らし口を開いた。

 

「何言ってるの? 結構前から待ってたじゃない」

「……神室さん? 嘘をついてはいけませんよ?」

「私は本当のことをいったけど?」

 

 

 有栖は不敵な笑みを浮かべている。

 

「ま、まぁまぁ。それより今回はなんで僕を呼んだの?」

 

 二人は同時に僕の方をみた。

 

「そうでした。今度のテストどうですか?」

「テスト? まぁ……ぼちぼち」

「そうですか。流石に赤点はないですよね?」

「それはない。赤点を取らないように頑張って勉強するよ」

「そうですか、安心しました。もしここで赤点を取るようなら拍子抜けでしたので」

「何言ってるのよ……葉桜なら絶対に赤点取るはずないって言ってたくせに」

「何か言いました?」

「何も言ってないわ」

 

 あの有栖に、ここまで言い返せる人材はなかなかいないな。

 

「まぁ、それより聞きたかったのはそれだけ? それならもう帰っても良いかな? 色々忙しくて」

「あら? 今日は随分とつれないことを仰るんですね?」

 

 有栖が目を細めた。

 不味い……。この目はこっちに探りを入れてこようとしている目だ。

 別に他クラスに教えてはならないとか言われてはいないが、かと言って教える義理とない。そもそも、うちのクラスにAクラスは関係ないからな。

 

「色々とあるんだよ。僕にも人付き合いってやつが」

「晶くんなら、のらりくらりと躱せると思いますけどね……?」

「そんなに僕は器用じゃないよ」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべてはいるが、心はドキドキとしている。

 有栖のやつ一体何を考えているのか……ほんの些細なことも彼女は見逃さないからな……。流石天才だよ君は。

 

「そうですか、仲良しの女子達と遊びに行くわけですね」

「いや、別に仲良しってほどでもないけど……遊びでもないし」

 

 そういった瞬間しまったと思ってしまった。

 

「女子達は否定しませんでしたね?」

「……女子でもないよ?」

「いま、変な間があったわね」

 

 神室さん? 余計なこと言わないでほしいなーなんて心の中で思ってみたり。

 

「わかった降参、女子との用事ではあることは認める」

「そうですか」

 

 ニコニコといつもの笑顔……のように見える。だけど、何故だろうか? 黒いオーラのようなものも見えているような気がする。

 

「それは、あんたの彼女か何か?」

「いいや? さっきも言ったけど仲良しってほどでもない女子。ちょっと色々あってお願いされたことがあったから、手伝っているだけ」

「ふーん」

 

 口調は興味が無いように思えるが、彼女の目はこちら見極めよとしている目をしていた。

 前は無かった目だ。一体何があった。

 

「ふーんって。自分で聞いておいて、素っ気ないなぁ」

「まぁ実際に興味はないからね」

「なら、なんで聞いたんだ……」

「なんとなくよ」

 

 そう言われてしまえば、こちらから深く踏み込むことはできない。

 

「ところで、晶くんのクラスには赤点候補はいらっしゃるんですか?」

「まぁ……落ちこぼれのクラスだしな。何人かいるよ」

「そうですか……。では、もう一つ、もし仮に赤点が出たらどうしますか?」

 

 もし赤点がでたら? そんなものはどうしようもないとは思うが……。

 

「その時はその時だと思うよ。僕ではどうにもできない」

「そうですよね……でも、その人が仮にあと1点だけ、足りないって状況になってしまったら、可哀想ですよね」

「まぁ……確かに可哀想だね」

 

 有栖は一体何が言いたいんだろう?

 あと1点足りないからといっても赤点は赤点。覆すことなんてできない。

 それとも覆せる何かがこの学校にはあるのだろうか? だとしたら、少し調べてみると必要がありそうだけど。

 

「まぁ仮の話ですし、何より助ける方法はないですからね。赤点……取る人がいないと良いですね」

「そうだね」

 

 口ではそんなことを言っているが、有栖の目は赤点が出て欲しいと思っているようにしか見えなかった。

 須藤くんたちには赤点はとって欲しくないな。有栖が何を考えて言っているのか意図が読めないが、有栖の思い通りに運ばされるのは悔しい。

 

 

「もう行ってもいいかな?」

 

 これ以上彼女と話していると誘導尋問されそうだ。

 もうされてる気がするけど。

 

「最後に一つだけ」

「何?」

「今夜、神室さんの部屋で勉強会を開きますので来てください」

「は!?」

「え?」

 

 神室さんが驚いているんですが……。もしかして勝手に決めてない? 有栖……。

 

「まぁ……僕は良いけど、でも……」

 

 ちらりと神室さんの方へ見る。すると彼女と目が合い、神室さんは目を逸らす。

 僕は深く息を吐く。

 

「やめたほうが良いみたいだね」

「そんなことないですよ。ね? 神室さん?」

「別に嫌とは言ってないでしょ? いいわよ。私の部屋で」

「と、言ってますよ?」

 

 これは有栖に逆らえないから、言っているだけなのでは……。まぁいいか。有栖と勉強するのも久々だし。

 と言っても、彼女に教えるべき科目があるとは思えないけど。

 

「了解。じゃあ、どこで待ち合わせする?」

「そうでね……後ほどメッセージを送るということでよろしいですか?」

「いいよ。じゃあ楽しみにしておくね」

「はい。私も楽しみにしています」

 

 いつもの優雅な微笑みを見せる。

 本当に有栖は可愛いよな。腹のなかは真っ黒で怖いけど。

 そんなことを思いながら。2人と別れた。

 そして、先ほどの会話を思い返す。

 赤点を取ったら、回避する手段があるような感じに有栖は語っていた。

 本当にそんな手段があるのか、又は有栖のフェイクなのか……その辺はわからないが頭の端には置いておいてもいいかもしれない。




はい。改めまして大変お待たせして申し訳ありません。
それとアンケートですけど、見事に3つに分かれてしまいました。なので、今後はようしょようしょで長くしたり、短くしたりします。
これからもこの作品をよろしくお願いします。

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