ようこそ実力至上主義の教室へ~もしも坂柳有栖に幼馴染がいたら? 作:ソラたん
今回はオリジナルのお話が多くなっておりますので楽しんでいただけると嬉しいです
「うぁ……」
「……これは流石に無理そうだな」
二人で学食に来たのはいいが、その混雑ぶりに二人して引いてしまった。
「どうする?」
「コンビニで何か買って教室で食べるか」
「そうだね」
同意して僕たちは学食を後にした。
それからコンビニまで来て、綾小路くんが僕に話しかけてきた。
「なぁ葉桜」
「何かな?」
「お前とオレはどこかで会ったことあるか?」
突然そんなことを言い出した。
正直なことを言いうと僕は知っている。けど、それは遠くで見ていただけ。綾小路くん本人とは話すのは、初めてだった。
「うん? 綾小路くんと話すのは初めてだよ?」
「そうか……悪いな変なことを聞いて」
「気にしなくてもいいよ。でも、どうしてそんなことを聞いたの?」
もしかして何か勘づいたのかもしれない。
「いや……よくわからないんだが、葉桜からは同じにおい? っていうのかそんな感じがしてな」
「え!? 僕綾小路くんと同じ匂いする!?」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「あはは。わかってるよ。でも、そうだね僕も同じこと思ってたよ!」
笑顔を作り明るく言い放つ。
「そうなのか?」
「うん。綾小路くんとはどこか似ているところがあるなって。そして仲良くできそうだなっとも思った」
これは嘘ではない。綾小路くんとは仲良くできそうだと思ったのだ。
しかし、まさか綾小路くんがそんなことを思っていたとは意外だった。何か本能的に感じ取ったのかもしれない。
となると、『あの』場所――ホワイトルームにいた彼ならちょっとしたことで何かを勘づいてしまうな。
僕自身はバレても問題はないが、綾小路くんがどうなのか今の段階ではわからないのだ。
もし、彼が自分を知る人がいるだけでも邪魔だと思うなら。僕と敵対してしまう。それだけは避けたい。
「そうか。オレもお前とは仲良くできると思う」
「うん。とりあえず、まずは食料確保だね」
「あぁ」
そして僕たちはコンビニの中へ入っていって、適当にパンを買って教室へ帰る。
教室の中には10人ほどクラスメイトが残っていた。机をくっつけて友達同士で食べる人や一人で食べている者と様々だ。
僕たちは二人で食事をしようとしていると、綾小路くんの隣の席の人物が戻ってきていた。
その手にはとても美味しそうなサンドイッチを持っていて、それを口に運んでいっている。
そして、相変わらずの話しかけるなというオーラを醸し出しているな堀北さんは。
あんなオーラを出されては無理に話しかけるわけにはいかないので、僕たちは他の人たちにならって、机をくっつけて買ってきた菓子パンを食べる。
食べている間、無言というのも寂しいので「これ美味しいね」など言って舌鼓をうって会話をしている。すると学校のスピーカーから音楽が流れる。
「本日、午後5時より、第一体育館にて部活動の説明会を開催いたします。部活動に興味のある生徒は、第一体育館の方に集合してください。繰り返します、本日――」
ふーん。部活動か。ちょっとは興味があるけど……やめておこうかな。
「ねえ堀北さん――」
「なあ堀北――」
僕と綾小路くんが同時に発言する。
「私は部活動に興味ないから」
まだ何も言っていないのに、何故かそんなことを言われる。
「まだ何も言ってないよ?」
「じゃあ何かしら? 葉桜くん」
「部活に入らないの?」
うっ……なんか冷たい目で見られた。
まぁ言いたいことはわかるよ。
「はぁ……綾小路くんは?」
「オレも葉桜と同じことを言おうとしていた」
「あなた達ねぇ……」
呆れたような声を出す堀北さん。
「私最初に興味ないって答えたはずだけど? あなた達は痴呆なの? それともバカなの?」
「僕はただのバカかな?」
「……」
またも冷たい目で見られた。そして小さく溜息を吐いた。
呆れられたかな?
「興味が無くても、部活に入らないとは限らないだろ?」
「それを屁理屈と言うのよ。あなたの辞書に追加しておきなさい」
「そうします……」
苦笑いを浮かべる僕。
しかし、堀北さんはやっぱり友達とかは作る気はないみたいだね。
進学か就職が目的だったとしても、そのままだといずれ社会で孤立する。
社会で孤立は……事実上の死を意味する。
僕はそれを良く知っている。だからこそ、コミュニケーションは最低限必要なんだ。
「よっぽど友達がいないのね」
「悪かったな。未だに満足に話せるのは葉桜とお前だけだ」
「やった! なら、綾小路くんと堀北さんは僕の友達だね」
「私を入れないでもらえるかしら?」
「え? なんで?」
「私はあなたの友達じゃないからよ」
「そうなの? 残念」
「それと、綾小路くんも私を友達にカウントしないでね」
「お、おう……」
別にカウントしてもいいと思うんだけどな。
とりあえず、これ以上は突っ込むと痛い目にあいそうだし、話題を変えようかな。
「それで、綾小路くんは部活は何を見に行く予定なの?」
「実はまだ考えていない。というか、入らないと思う」
「そうなんだ」
なんで説明会に行くんだろうか?
今までの綾小路くんの行動を考えると、それこそ友達作りのためだったりしそうだな。
「入部するつもりもないのに、説明会には行きたいなんて。変わっているわね。それとも部活を口実に、友達を作ろうと画策しようとしている、とか?」
どうやら、堀北さんも同じことを思っていたようだ。
綾小路くんがわかりやすいのもあるけど、結構、堀北さん頭の回転がいいな。
「初日失敗したオレにとって、残された最後のチャンスは部活しかないと思うんだよな」
「私以外を誘えばいいじゃない。というより、葉桜くんを誘いなさいよ」
「それもそうだな。なぁ葉桜――」
「ちょっと待った!」
僕は綾小路くんをが次に紡ごうとした言葉を止めて。
先程からずっとポケットの中でなっている携帯を取り出す。
番号は知らない。だけど、これを誰かなんとなく予想はできた。
だから、「ごめんちょっと電話出てくる」と言って。二人から離れる。
そして呆れながら息を吐くと。電話に出る。
「もしもし」
「やっと出てくれましたね」
その声は間違いなく、僕の幼馴染、坂柳有栖の声だった。
「何の用かな? というか、どうして僕の番号を知っているの?」
「フフフ。まず後者の質問からお答えしますね。それは調べたからですよ。そして次ですが、これから説明会が始まりますがそれには参加せず、私と会ってはくれませんか?」
僕が聞きたいのはその調べた方法なんだけどな。
まぁこれに関しては、理事長が僕の番号を知っているから聞いたんだろうな。
理由は適当に作ってね。
「うーん。これから友達と一緒に参加しようと思っていたんだけど?」
「あなたならそうすると思いまして、先手を打たせて貰いました」
僕が友達と約束を付けることを予想して、ずっと鳴らしてきていたのか。
もう少し綾小路くんと話したいが、彼とはいつでも話せるし、何より有栖の誘いを断ると後々怖いんだよね。
ここは有栖の誘いに乗っておこうかな。彼女も理由もなく僕を呼んだりしないだろうし。
「わかった。どこで待ち合わせする?」
「そうですね……では、コンビニの前でどうでしょう?」
「じゃあそこで、すぐ向かって来るの待ってるよ」
「いいえ、待っている必要は無いですよ?」
ん? それはどういう事だろうか? あ。まさか……。
「もしかして……コンビニの前にいる?」
「はい。流石ですね」
有栖のやつ初めからコンビニの前で待ち合わせするつもりだったな。
小さく溜息を吐き。「すぐ行くよ」と言って電話を切った。
そして、教室にいる綾小路くんに一緒にいけない事を伝えた。少し残念そうな顔をしていたのがとても申し訳なかった。
そして、急いでコンビニの元へ向かう。そして目的地が見えてくるとそこには杖を持っている女子が一人いた。
そしてその人物は僕が良く知る人物――坂柳有栖だ。
「お待たせ」
「電話を切ってから約10分ですか。少し走りました?」
確かに少し走った。全速力じゃないため特に息は切れてはいないが、時間で走ったことを言い当てられるとは思わなかった。というかなんで時間計っていたんだ?
「まぁ少しね。それで僕に何の用?」
「ちょっとしたお遊びに付き合ってくれませんか?」
「お遊び?」
「はい。あちらです」
有栖はコンビニの方へ顔を向ける。僕もそれに釣られるように見ると、そこには何人かの生徒がいた。やっぱり全員が全員、説明会に行くわけではないようだ。
しかし、なんだろう? 何も不自然なところはないけど何か違和感がある。特にあの女子。
「何かわかりましたか?」
「うーん。なんかあの長髪の女子少し気になるかな」
「今飲み物を見ている方ですか?」
「そうそう」
なんだろう。別に怪しい素振りはないのだが何かが変だ。まるで視察しているようなそんな感じがする。
「有栖」
「何でしょう?」
「お遊びって言ってたけど、何をするの?」
「あそこの方が万引きを成功させるかどうか、賭けませんか?」
やっぱりそういう類のお遊びか。もっと別の遊びが良かったな。
「はぁ……」
「何故そこで溜息をなさるのですか?」
「いや、それわかって言ってるよね?」
「フフフ。さぁ? どうでしょう」
とりあえず、こっちに来た以上、有栖の遊びに付き合うしかないか。
とりあえず、あの女子が万引き成功させるか、失敗するかのどっちかに賭ければいいんだよね?
だとしたら、あの子は成功すると思う。動きがとても自然でまるで今から万引きするように見えないのもあるし、監視カメラの位置もしっかり確認している。
「決めましたか?」
「うん。で、どっちから言う?」
「私から誘ったのですから、お先にどうぞ」
手を前に少しだけ出してそう言う。
「……失敗する方に賭けるよ」
「そうですか。では私は成功する方へ賭けますね」
「というか、何を賭けるんだこれ?」
「お遊びですから、何も賭けなくてもいいのですが、そうですね。せっかくですから100のプライベートポイントを賭けましょうか」
「了解」
ジッと有栖と僕はコンビニの中にいる女子を見る。そして、彼女は何事も無かったかのようにコンビニから出てきた。
そして結果は――何も盗まなかった。
「あら残念ですね」
「この場合どうなるの?」
「引き分けですね」
まさか何も盗まないとは思わなかった。あの感じだともうコンビニの中を把握していると思っていたんだが、まだ視察するつもりなのかそれとも次にこのコンビニに来た時に何かを盗むのか。僕にはわからないけど。
ちょっとあの子は可哀想に思える。完全に有栖に目を付けられているからね。彼女が有栖の前で万引きすれば、きっと有栖のおもちゃにされるだろう。
「さて、お遊びも終わりましたし。行きましょうか」
「え? どこに?」
「その辺を散歩するんですよ。最初に晶くんがしていたじゃないですか。だから、私もしようかと。是非、エスコートしてくださいませんか?」
元々このために呼んだね有栖。
まぁいいか。なんだか昔を思い出すし。
小さいころは僕は有栖を守る騎士だった。彼女の後ろに付いていき彼女に危険が迫ればその危険分子を排除した。そして彼女が命令すればその命令通りに行動した。
今思うと良いように使われていたな。
でも、ある日――有栖は僕と戦いたいと言った。僕はいつも通り命令に従い全力で有栖の相手をした。結果勝利した。
そこから、有栖は他の人には目もくれず僕だけを追いかけるようになり、そしてその度に勝負を挑んできた。
最初の数回は有栖が楽しそうだったからいいかなとも思っていたのだが、流石に10回もするとうんざりして来たので、手を抜いた。
懐かしいな。本当に。まぁここでも勝負はすることになるだろうけど、どうせ試験の点数の結果くらいしか勝負することはないだろうし、ちょっと安心。
「……どうかしました?」
「あぁ、なんでもないよ。それじゃあ行きましょうか。姫様」
「ええ、お願いします。私の
その後は有栖と雑談を交え(杖で僕の足を狙いながら)、学校の敷地を見て回った。