ようこそ実力至上主義の教室へ~もしも坂柳有栖に幼馴染がいたら? 作:ソラたん
昼休みが終わると、次は水泳の授業が始まる。一部の男子がやたら盛り上がっている。
綾小路くんも結構興味あったりするのだろうか? と思い目線を向けてみるが全くそんな気配はなかった。表情だけで、内心もしかしたらワクワクしているかもしれないが……流石にそれは無いな。
「一緒に行こうぜ、綾小路」
「え? そ、そうだな」
池くんが綾小路くんを誘って更衣室へ、そのあとを綾小路くんも早足気味でついていく。
池くんは女子の水着が見れるということで盛り上がっていた一人だけど、あのコミュ力は素晴らしいと思う。
あの辺は堀北さんや綾小路くんも見習った方がいいね。と、そんなことを考えながら更衣室に入る。
中に入ると目に入ったのは須藤くんのバスケで鍛え抜かれた肉体だった。流石と言うべきか、他の生徒達と比べてもよく鍛えられて良い体格をしている。
というか、堂々とパンツ一丁になっているな。綾小路くんがそのことについて聞いていた。
まぁ確かにコソコソとしていた方が逆に目立つのは同感だ。
「うひゃあ、やっぱこの学校はすげぇな! 街のプールより凄いんじゃね?」
プールに来るとそんな声が聞こえてきた。どうやら池くんの声のようだ。確かに普通のプールよりは凄いかもしれない。結構水も綺麗だからしっかり管理されている証だ。しかも室内にあるため天候には左右されることがないため、雨で中止ということは起こらないだろう。だけど、それは嬉しい人は嬉しいが、嬉しくない人は嬉しくないだろうね。
水着とはいえ自分の体を他人に見せるのは苦手な人はいるだろう。特に女子はね。
しかし、先ほどから池くんと綾小路くんが会話しているね。会話の内容はちょっと酷い物だけど盛り上がっている。
しばらくして、「うわ~。凄い広さ」という声がプールに響き渡る。その声に男子達が落ち着きがなくなる。そう――女子が着替え終わり出てきたのだ。
池くんが身構えている。流石にそれは露骨すぎるよ? あと、嫌われるからもう少し冷静になった方が……。
まぁ僕も全く興味ないわけじゃないけどね。櫛田さんや長谷部さんとかね。特に長谷部さんはクラスで一番大きいとか言われているらしい。教室に戻った時、胸の大きさで賭けているということで参加させられた時に聞いた。
賭け自体に興味はなかったが、胸が大きい子には僕も男なので興味はある。だけど、男子達の期待は裏切られてしまった。
何故なら――長谷部さんが見学組に居たのだ。
なんだか少し周りが騒がしいがそれは無視して、ざっと見渡す。長谷部さんの他に何人か見学者がいるね。
長谷部さんの他に佐倉さんもいるね。
んー、なんか佐倉さんどこかで見たことある気がするんだよね。一体どこだったかな?
おっと、目があったな。流石にこれ以上見るのは失礼だ。
視線を戻すと、櫛田さんが山内くんと池くんに話しかけていた。あの妖艶な身体に見惚れている男子達はすぐに目線を逸らした。どうやら自らの男の象徴がそそり立つのを避けるために逸らしたようだ。
まぁ……確かに櫛田さんのあのDかEくらいの胸に程よくついているふとももやお尻の肉……あれで反応しない男はそうそういないだろうね。僕は別に何とも思わなけどね。女性の肉体は見慣れているし。
と、そろそろ。僕も混ざろうかな。
「やあ、堀北さん」
「あら、葉桜くん……」
何故か僕の体を凝視してくる。そして次に綾小路くんの体も見ている。
なんだかよくわからず首を傾げる。
「綾小路くん、何か運動していた?」
「え? いや、別に。自慢じゃないが中学では帰宅部だったぞ」
「そう。じゃあ葉桜くんは?」
「え? 僕は運動部とかには入っていなかったよ。まぁたまに体動かしたくなるから、少しランニングはするけど」
「そう。でもなんか二人とも、帰宅部だったり、ランニングする人間の体じゃあないわよ?」
堀北さんのその言葉に僕と綾小路くんは顔を見合わせる。そしてお互いに自分の体と相手の体を交互に見る。
確かにね、腕の発達とか背中の筋肉とか帰宅部ではありえない筋肉の付き方しているな。
「確かにな葉桜の体はランニングだけしている人の筋肉の付き方じゃないな」
「それはこっちの台詞だよ。綾小路くんの腕の発達とか背中の筋肉とな普通じゃないよ?」
「両親から恵まれた身体貰っただけじゃないか?」
「うーんとてもそうには見えないけどな。ね、堀北さん」
「え? えぇ、私も同感だわ」
「お前たちは筋肉フェチか? 言い切れるか? 命賭けるか?」
そこまで否定するのか……随分と必死みたいだね。
堀北さんも少し不満そうだ。自分の目には自信があったのかな? 多分その目は間違いないけど、綾小路くんからそのことを聞き出すのは無理だろうね。
「堀北さんは泳ぎは得意なの?」
櫛田さんからの質問に少し怪訝な表情になるが、質問に答える堀北さん。
「得意でも不得意でもないわね」
なんとなく堀北さんの体に目線を向ける。服の上からでも何となく予想はついていたけどやっぱり結構良い身体しているよね。変な意味じゃなくて。
無駄な肉が無いと言うか、健康的だ。
「私は中学の時、水泳が苦手だったんだ。でも一生懸命に練習して泳げるようになったの」
「そう」
興味なさげに返事を返すと、櫛田さんから距離を少し取った。これ以上は会話をしたくないのだろう。櫛田さんも可哀想に。
「振られちゃったね」
「あはは。だね。でも私諦めないよ!」
そう言って両手に拳を作り胸まで持っていく。その時少し胸が揺れ、辺りの男子の視線を集める。
「よーしお前ら集合しろー」
体育会系の細マッチョが集合をかける。おそらく体育の先生なのだろう。
ちょっと暑苦しい雰囲気があるな。少し近づきたくはない。
「早速だが準備体操をしたらお前らの実力が見たい。泳いでもらうぞ」
うーん。さてどうするか。少し力をセーブした方がいいよね。そんなことを考えていると。一人の生徒が先生に泳げない事を伝えていた。しかし、先生は何故かその言葉に夏までには泳げるようにしてやるっと言っている。
やっぱり見た目通りの熱い先生のようだ。
「別に無理して泳げるようにならなくていいですよ。どうせ海なんていかないし」
「そうはいかん。今はどれだけ苦手でも構わんが、克服はさせる。泳げるようになっておけば、必ず後で役に立つ。必ず、な」
必ず、ね。随分とその部分を押すんだね。これはやっぱり何かあると考えべきかな? この学校はどうもおかしな点が多すぎる。
まぁただ教師としてカナヅチを直してあげたい気持ちがあっての言葉なのかもしれないけど。
準備体操をして、プールにつかる。冷たいと感じる事はなかった。しっかり温度が適切に調整されているのだろう。泳げない人は歩いてもいいということらしく、歩いている生徒もいる。僕は泳げるので体がプールに馴染んで来たあたりで泳ぎ始める。
50m泳いだ後は全員が終わるのを待つ。
皆が泳ぎ終わると、先生が競争をしてもらうと言い放った。そして一位になった者には5000ポイントを支給するとか。一番遅かった者は補習らしい。
ポイント云々は置いておいて、流石に最下位にはなりたくないな。補習は面倒だよ。
そして競争が開始したわけだが、女子が最初のため男子が興奮気味だ。正直ちょっと気持ち悪い。いやまぁ同じ男子だから品定めする気持ちはわかるんだけど……あからさま過ぎて引く。だけど、平田くんはやっぱり他の男子と違うみたいだ。そんな目で見ている気配もない。
皆モテたいならあのくらいはできるようにならないとね。
そして開始の合図とともに女子たちがプールに飛び込む。ふむ。堀北さん結構早いなー。流石に水泳部の人には劣ると思うけど。まぁ流石にそれは仕方のないよね。
タイムは28秒ほどか。やっぱり早い。
そして次々と女子が泳いでいく。が、試合は一方的だった。水泳部の小野寺さんが26秒を出したため、圧勝だ。
ちなみに櫛田さんは31秒といい結果を残している。
さて、と次は男子の番だ。僕の相手は……須藤くんに綾小路くんか。
笛が鳴り全員が一斉に飛び込む。そして50mを泳ぎ切った。結果は26秒05。
「ふう」
「おい」
「ん? 何?」
泳ぎ終わり休憩していると須藤くんが話しかけてきた。
「お前意外と泳げるんだな」
「本気で泳いだからね! でも流石須藤くんだよ。25秒切っちゃうなんて」
「ふん。当たり前だろ!」
少し誇らしげに笑っていた。
その時、女子の黄色い声が聞こえる。一瞬何事かと思ったけど、そこには平田くんが居たため、納得する。
平田くんのタイムは26秒13だった。サッカー部だったと言っていたが水泳もできるんだね。これは尚更女子からの人気が高まりそう。というかもう既に人気は上がるところまで上がっているな。
さっきから歓声が女子のものばかりだ。
その後高円寺くんが泳ぎ始めるが、それがすごい早かった。プロ顔負けのフォームと速さだ。そして、タイムを計っていた先生も思わず二度見してしまうほどのタイム――23秒22だ。
そして決勝戦が始まる。あ。そうか僕も出ないといけないのか。
その後、高円寺くんがぶっちぎりの一位で終了した。僕? 僕は流石にほぼ同じタイムでゴールして終わった。
☆☆☆
プールの授業があった日から一日が経過した放課後。僕は図書室に来ていた。本を読むことは自己紹介で話した通り趣味なので、この学校の図書室にどんな本が置いてあるのか気になったのだ。
んー、やっぱり図書室を使う人はほとんどいないようだ。一応利用している人は何人かいるけど、どの生徒も見たことがない。他のクラスの人か上級生しか利用していないのだろう。うちのクラスの人もできれば利用して欲しいものだけどな。
そんなことを思いながら本棚を見ていく。結構品揃えよさそうだ。ミステリー小説からSF小説、恋愛小説と多数のジャンルが揃っている。
「これなら本で困ることもなさそうだ」
そんな独り言をつぶやいていると、一人の女子生徒が背伸びをして本を取ろうとしているのが見えた。
とりあえず、彼女の手に沿って目線を上にあげ取ろうとしている本を確認する。
そして彼女の隣まで行くと、その本を取る。その時「あ」という声が聞こえたが、すぐに女子生徒に向きその本を渡す。
「はい。これが取りたかったんだよね?」
「はい……ありがとうございます」
僕の手から本を受け取ると頭を下げてお礼を言って来た。そして顔を上げるとジッと僕の顔を見てくる。
「どうしたの?」
「いえ、知らない顔だと思いまして」
「なるほど。そうだね僕も君の顔知らないね。自己紹介する?」
「はい」
「じゃあ言い出しっぺの僕から。僕はDクラスの葉桜晶だよ、よろしく」
「私はCクラスの椎名ひよりと言います。よろしくお願いします」
なるほどCクラスの人だったのか。
お互いに自己紹介が終わると少しの無言が訪れる。
「椎名さんはミステリー小説好きなの? それとも、その著作者が好きなのかな?」
僕は椎名さんが手に抱えている本を指さして言う。そしてそれに釣られるように椎名さんは視線を本に移し、再びこちらに顔を向けてくる。
「そうですね。著作者も好きですが、本全般が好きです」
「そうなんだ。いいよねドロシー・L・セイヤーズの本」
僕がそう言うと椎名さんの目がキラキラと輝きだした。
「葉桜くんはドロシー・L・セイヤーズの本を読んだことがあるのですか?」
「え? う、うん。読んだことあるよ。全部は流石にないけど、『誰の死体?』とか、『不自然な死』とか。あとは……『毒を食らわば』とかも読んだよ」
読んだ本を次々言うと、彼女は笑顔になっていった。
「もしかしてですけど。葉桜くんは読書家なのでしょうか?」
とても言い方はほんわかしているが、何故か力強い物を感じた。
「読書家って程でもないけど、本を読むのは好きだよ」
「是非、お友達になってください!」
ずいっと椎名が一歩近づいてきた。その時の甘い香りが鼻腔をくすぐる。しかしそれを堪能する余裕はない。
今の彼女の態度に僕は困惑しているのだから。
「と、友達?」
「はい。私実はまだまともに本の話ができる人が居なくてですね」
なるほどね。それで僕と友達になりたいのか。まぁその気持ちは僕にもわかるな。自分の好きな物を話せる友達が居ないのは寂しいものだ。
丁度僕も本の話をできる知り合いが欲しかったし、椎名さんと連絡先交換しておこうかな。
「そうなんだね。良いよ。友達になろう。じゃあ、まずは連絡先の交換からだね」
「はい。よろしくおねがいします」
そう言って椎名さんはポケットから携帯を出した。僕も同じ様にポケットから出して連絡先を交換した。
その時一件のメッセージを受信する。送り主は……有栖だ。
「……」
「あの……どうかしました?」
連絡先を交換して直ぐに無言になったため、椎名さんが心配そうな顔を僕に向けてきた。
「ごめん。知り合いにちょっと呼ばれちゃった。また今度本の話ゆっくりしよう」
「そうなんですね……ちょっと残念ですが、お友達に呼ばれたのなら仕方ないです」
「うん。本当にごめんね。あ、まだこの図書室で本を読んだりする?」
「え? はい、もうしばらくはここにいようかと思ってます」
「なら、何か面白い本あったら教えて。僕もそれ読むから」
「はい! わかりました。葉桜くんの為にピックアップしておきます」
「ありがとう。じゃあまたね」
「はい。また」
お互いに手を軽く振って僕は図書室を後にした。
椎名ひより、か。まさかこんな所で同じ読書好きに会えるとは。ちょっと学校生活楽しくなるかも。
☆☆☆
有栖に呼ばれて、コンビニの前へと来た。
するとそこには昨日の昼間と同じくベレー帽を被り、銀髪を揺らしながら優雅に立っている有栖の姿があった。
「有栖。一体今度はなんの用なんだい?」
「良いじゃないですか。さて、では行きましょうか」
そう言い有栖は杖を突きながら歩き出そうとする。
「待て待て、一体どこに行くの?」
「あぁそういえば言ってませんでしたね」
いや、その顔ワザと言わなかったよね?
有栖はいつもこうだ。人を振り回しておもちゃみたいに扱う。困った姫様だよ本当に。
「一緒にお茶をしませんか?」
「ここまで来て断ることも出来ないとわかってたよね? まぁいいよ。行こうか」
「はい。では行きましょう」
歩き出した有栖の隣に並びゆっくりとカフェへと向かう。
というよりも、何故校舎の一階にあるカフェ、パレットに向かうのにここで待ち合わせなんだろうか? そんな疑問を残しつつ僕は有栖と一緒にパレットに向かう。
そしてしばらくしてカフェに着いたわけだが……すごい人数だ。
「なんか、すごい人数だね」
「そうですね」
僕と有栖は周りを見渡す。どうも人が多すぎる気がする。しかもよく見るとDクラスの生徒ばかりだ。
「どうかなさいました?」
「いいや。なんでもないよ」
そう言って注文を終わらす。頼んだドリンクを持って、再び周りを見渡した。
やっぱり多いなDクラス……。
ん? あれって綾小路くんと堀北さん? 二人ともこんなところに来るような人ではないと思ったけど、あれ? 櫛田さんが二人に挨拶している。
あーなるほどそういう事か。元々パレットは人気のあるカフェだったけど、流石に満員になるには早すぎる。ということは、これは櫛田さんが仕組んだことだねきっと。そうまでして堀北さんと仲良くなりたいのか、昨日釘を刺されていたはずなんだけどな。
「何を見てらっしゃるのですか?」
「知り合いがいただけだよ、ほら席を探そう」
「……そうですね」
怪訝な顔をこちらに向けてきていたがスルーする。
そしてこれが櫛田さんのが仕組んだのなら、たぶん一言声を掛ければ。
「ごめん。良かったら相席してもいいかな?」
「え? 葉桜くん。いいよ。私たちもう出るところだけ」
そう言ってクラスメイト二人が立ち上がり席を譲ってくれた。
「本当? ありがとう」
「ううん。いいよ、じゃあまた明日学校でね」
「うん。また明日学校で、あとこのお礼はさせてもらうから」
「わかった。楽しみにしておくね」
クラスメイト二人は僕に手を振って去っていった。
「人気者なんですね」
「何が?」
「先程のお二人は同じクラスの人ですよね?」
「そうだよ」
「仲良さそうですね、少し妬けてしまいます」
「へー、本当にそうなら嬉しいことだけど。実際はどうなの?」
「さあ?」
首を軽く傾げて笑顔を向けてはぐらかす。
「まぁいいけどね」
「それより、なんだか懐かしいですね」
「何が?」
「こうやって晶くんとお茶するのが、ですよ」
「あぁ、確かにそうだね。前は結構お茶しに一緒に出掛けていたっけ?」
「はい。本当に懐かしいです。あの頃はお互いまだ12でしたね」
「あの頃はまだ有栖の騎士だったね」
「はい。あの時はとても頼もしかったですよ?」
「嬉しい事言ってくれるね」
そうあの頃はまだ少しだけ自由だった。しかし小学校の卒業まじかで自由は無くなった。
「……は」
「晶さん」
僕が昔を思い出して苦笑していると。有栖が手を握って来た。
何事かと思い有栖を見る。
「今は自由ではないですか? なら、今を楽しむべきですよ?」
「有栖……」
有栖のその言葉がとても嬉しかった。
「そうだね。存分に楽しませてもらうよ。君のお父さんのこの学校でね」
「はい。存分に楽しんでください。しかし――」
少しだけ間を置き有栖は喉を鳴らす。
「いずれ、今は隠している『牙』を見せてくれると嬉しいです」
「それはもう見る事は無いと思うけど……」
「いいえ。きっと晶くんはもう一度見せてくれます。私はそう確信しているのです」
その自信はどこから来るのかわからないが、有栖が何も確証無しにそうい事をいうはずがない。ということは、やっぱりこの学校は何かあるんだろうな。
「牙……ね」
ちらりと綾小路くんの方をみる。どうやら堀北さんに作戦を看破されてしまったようで、堀北さんが居なくなっていた。
そんな光景をみて息を一つ吐き、まだ温かいコーヒーを口に一口含む。
「そうだな。あの坂柳有栖が言うんだ、期待しているよ。ぜひ僕に本気を出させてみせてよ」
そんな僕の言葉に有栖は嬉しそうに微笑む。紅茶を一口飲むと口を動かす。
「ええ、保証しますよ。きっと貴方は本気になります。いいえ、私が本気にさせます。楽しみにしていてください。
「その呼び方やめてくれない? あまり好きじゃない。」
「そうですか? 私はぴったりだと思いますが」
「勘弁してくれないかぁ……僕の苗字は『はざくら』なんだけど。間違っても『はおう』なんて物騒な苗字じゃない」
そんな会話をしながらも、有栖とのお茶を楽しんだ。
はい。今回は椎名ひよりの初登場と有栖た葉桜くんの絡みでした。