ツンデツンデの討伐から一週間、ネガビーストの出現が無く、PMSの面々はいつ来るか分からない脅威に警戒しながらも至って普通の生活を送っていた。
しかし、そんな面々の中に至って特殊な生活を送っているメンバーがいた…火野である。
火野の自室。
火野「う〜ん、上手く行かないなぁ…もう理論上は完成している筈なんだけど。」
机上には、正方形の頂面に円筒が付いた装置が置いてあった。
火野「う〜ん、配線は何度も確認したんだけどな…プログラム確認しようかな…」
プログラム用ソフトウェアを開いてすぐに気付く。
火野「あっ、文末符号ない行が…」
C言語で言う「;」である。直ぐに修正し、起動テストを行う。案の定、無事作動して火野は小さくガッツポーズをする。
火野「やった!でもケアレスミスだと笑えないな。」
複雑な心境になる火野だが、物思いに耽る暇はなかった。先ほどの発言から間もなく、来訪者を知らせるアナウンスが鳴ったのである。
火野「どれどれ…羽剣さん、どうぞ。」
羽剣「失礼する。」
羽剣は扉を開けて中に入り、火野のPCルームに来た。
羽剣「最近、音沙汰も無いから心配したぞ。何をしていた。」
火野「ちょっと開発してた…これを。」
羽剣「そ、それは?」
火野「パルレルーム発生装置。市販の高いし、置き場所に困るから自作してみた。」
羽剣「え、こんな小さいのがパルレルーム?マジか!」
火野「はい、こうすれば!」装置の側面のスイッチを押す。すると頂面の円筒から光の粒が溢れ、しばらくすると広いパルレルームが出来上がった。
羽剣「えっ!どうなってんの!?何これぇッ!?」
火野「簡単に言うと、僕達をデータ化してテレポートした、って所かな。」
羽剣「大丈夫かそれ…」
火野「大丈夫!装置もデータ化されるし、装置の側面のスイッチ押せばまた出られるから。」
羽剣「そうじゃなくて、時間とか…」
火野「そっちも大丈夫!設定出来るし、経過したら自動的に出してくれるから。それに、万が一エラーがあったら、即出してくれるから、そこも心配ない!」
羽剣「因みに、何分設定なんだ?」
火野「三分だから、そろそろかな。」
そう言った瞬間、ルームは光に満ち、火野の自室に戻っていた。
火野「ふう…成功だ!」
羽剣「これを作っていたなら、音沙汰無いのも納得だな。」
火野「そう言えば、羽剣さんのレックウザを見たことがないな…」
羽剣「そ、そうだな。」
火野「ところで、僕はポフレ買いに行こうと思っていたんだけど、一緒に行く?」
羽剣「ってかポフレ買って何すんの?」
火野「決まっているよ、パルレルームにてレシラムにプレゼントする!」
羽剣「お前は女子か!?」
火野「どっちも男子ですが何か?それに、相手を愛しているという点では変わらないし、別に良いんじゃないかな、って思ってたんだ。」
羽剣「へぇ…で、売ってんの?」
火野「今日と明日の2日間、ヒウンのリバティ船の近くで売るんだって。早く行こうよ!」
羽剣「おいおい、そういう事じゃなくて、手持ちポケモンを持っている人がただでさえ僅かな現在、本当に売るのか、って話だ。」
火野「頭固いなぁ…あれ普通に食べられるよ〜。マニアもいるし、僕も食べたことあるから。」
羽剣「ま、マジで!?」
火野「というか知らなかったの?」
羽剣「俺、ポケマメ派だからな…」
火野「そっちか。じゃ、行こう。」
羽剣「そうだな!」
ヒウンシティ、港前。どういう訳か、鮫島もいた。
鮫島「来たか…」
火野「鮫島さ〜ん、久しぶりで〜す!」
羽剣「呼んでたのかよ!?」
火野「はい、鮫島さんもボーr」
鮫島「こら、言うな。」火野「す、すみません。」
羽剣「じゃ、行くか。」
鮫島「おう!」
ポフレの店は屋台。期間限定の為だろうか。
羽剣「う〜ん、どれにしようか。」
火野「も〜早く選んで下さいよ。」
羽剣「え!?もう終わったの!?」
火野「はい!支払いも終わりました。」
羽剣「え〜悩むのも分かってくれよ。な、鮫島…ん?」
火野「鮫島さんは、もう買い終えて帰りました。あなただけですよ。」
羽剣「マジか…じゃ、これで。」
自室棟前。
火野「では、解散って事で。」
羽剣「じゃ、またな。」
火野「はい!」
翌日、火野の自室。
火野「10分、っと。よし、羽剣さんが来るのを待つだけ!」
1時間後。来訪者を告げるアナウンスが鳴る。
火野「おっ、来た?」
予想通り、羽剣が来たのである。やはり、鮫島も一緒だ。
鮫島「じゃ、例のものを!」
火野「はい!では。」
パルレルーム。
羽剣「じゃ、互いの愛情を確かめるか…」
火野「行きますよ!」
鮫島「せ〜のっ!」
3人は同時に手持ちのボールを投げる。
すると、当然の様にボール内から各々のポケモンが現れた。
火野「よし、パルレ開始!」
9分間のパルレが始まった。
火野サイド。
もはや一人と一匹でイチャイチャしていた。しかも互いに楽しそうである。
火野「おっ、そういえば!」
そう言うと、火野はインカムをレシラムに付ける。これにより、言語による意思疎通を可能にすると、余計楽しそうになった。
羽剣サイド。
羽剣「ハ、ハイレベル過ぎる…。」
火野の方を見て、唖然としていた。
しかし、パルレ相手は「どこ見てんの?」と言っているかのように頬をつねる。
羽剣「痛い痛い!分かったよ!もう…うちの黒レックウザは、どんだけ寂しがりだよ…」
そう言いながらも、仲は良いようである。
続く。
セイバーズ第10話、いかがでしたか?
諸事情あって、前後編スタイルになりました。
次回は、第11話「愛すること 後編」となります。
今後も、セイバーズをよろしくお願いします。