木の上にいた青年は地面に降り、ザティメトの前に立つ。
?「さて、名乗るのを忘れていたな。俺は光田永留(える)、只のキーエレメンターだ。」
その発言に周囲は騒然とする。
羽剣「二人目の…キーエレメンター……」
永留「ふう、ネガビーストと思ってたら人造ポケかよ!ったく、創った奴は自分が神だとでも言うのか?まあいい、どうせ俺の獲物だからな…ん?」
ザナティメトに大量の光弾が命中する。撃ったのは、木の後ろに隠れていた女子だった。
?「もぉ~、お兄ちゃんで独り占めしないでよ~!」
永留「はいはい、全く紗奈ちゃんは…」
紗奈「さぁて、フルバーストで行くわよ!」
永留「確かに、奴は骨が有りそうだ…行くか!」
紗奈「勿論!」
2人の目は濃いピンク色に光り、妖しいオーラを纏う。
対馬「な、なんだこれは…」
永留「分からんだろうな、生命倫理を乱す貴方にはな!」
2人は目にも止まらぬスピードでザナティメトを切り刻んでいく。30秒もかからず、触手が全て裂かれていた。
対馬「チッ…はははっ、流石キーエレメンターだ!良いデータが手に入った事は感謝しよう、ではこれにて!」
対馬は手に持ったスイッチを押す。すると、対馬とザナティメトの背後に空間の穴が生まれ、両方を飲み込むと塞がった。
紗奈「もぉ~、逃げちゃったよ…」
永留「いや、まず救助だろ…」
永留は、大怪我を負って瀕死の火野に近付く。
羽剣「火野…ごめんな、俺がこんなに弱いせいで。」
永留「羽剣くん…でしたっけ?よけて頂けないでしょうか?」
羽剣「お、おう…」
羽剣が避けると、永留は火野の胸に手を当てる。永留の目はやはり濃いピンク色に変わっていた。
永留「再生促進命令実行、必要エネルギーの譲渡を開始。」
永留の手はオーラに包まれ、火野にオーラが伝わっていく。
東「何それ…」
しばらくすると、永留はオーラを消し、そっと手を離す。その途端、火野は目を覚ました。
火野「…?」
永留「起きたか、元気そうで何よりだ。俺は光田永留、エスパータイプのキーエレメンター。君は確か炎だったよな?よろしく!」
火野「あ、はい…宜しくお願いします。」
永留「さて、同胞助けも終わったし帰るぞ、紗奈。」
紗奈「はーい。」
永留「んじゃ、またa…」
火野「待ってください!」
永留「…何だ?所属の事か?」
火野「…はい。」
永留「じゃ、話が早い。実は俺と紗奈、所属してねぇんだ。ボランティアでやってるだけ。」
紗奈「特殊能力者は狙われるの。だから、普段は隠れてやっている訳。」
永留「じゃ、帰るぞ。」
紗奈「じゃあね~。」
そう言うと、強い光を発し2人は消えた。茫然とする火野の肩を羽剣が叩く。
羽剣「じゃ、戻ろう。」
火野「はい…」
黒曜「そう落ち込むなよ、命あったんだから…」
火野「でも…」
東「火野君、最近疲れているよね?一回休んだら?」
火野「う、うん…」
ポート。戻った先で、月読が待っていた。
月読「火野、無茶させてすまなかった。」
火野「ち、違うんです…僕が弱かっただけなんです。」
月読「そうか…君は真面目すぎる。抱え込むのは良くない。」
火野「はい…」
月読「しかし、とんだ復讐を受けた…まさか昼頃に交渉を持ちかけた相手が攻撃してくるとは…」
火野「…!?」
月読「確か対馬とか言うネオクリエーターだった。」
火野「と言う事は…?」
月読「君が戦ったのは、彼らの手で創られた存在だ。早急に抹消しなければ…」
火野「違う!それは違うんだ!!」
火野の強い一言に場は騒然とする。
羽剣「落ち着け、火野!立場を弁えろ!」
火野「羽剣さんごめんなさい…僕に言わせてくれませんか…」
羽剣「あ、あぁ…」
火野「創られた存在だって、命はあるんです。創った人間が悪いだけなのに、害があるから殺すっておかしいですよ!!」
月読「では、どうやって生かす?」
火野「そ、それは…」
慌てる火野の肩に月読は手を乗せる。
月読「君が言いたい事も分かる。しかし、この世界は綺麗事ばかりでは無いのだよ。諦めも肝心だ。」
火野「それでも、それ…ううっ、あっ…くうっ……」
火野は俯き、泣き始めた。
月読「できるかも知れないが、我々がもっと強くならなければな。」
火野はもう返事をする気力がなかった。そんな火野に、東が囁く。
東「火野君、休もうよ。1人で抱え込まないで…」
火野「でも…」
羽剣「一息つけ。考えるの一端止めた方が良いぞ。」
火野「…はい。」
月読「さて、話は終わりだ。各自休んでくれ、特に火野。」
火野「…はい。分かりました…」
自室棟。鮫島が火野に近付いてきた。
鮫島「火野、とても疲れてんな。」
火野「い、いや僕は…」
鮫島「可愛いよなぁ、火野は。何事も一生懸命、そしてめげない。でも疲れてんなら休みなよ、俺が代わりに戦うから!」
火野「あ、ありがとう…」
羽剣「じゃ、鮫島宜しく!」
鮫島「おうよ!」
火野の自室。火野はベッドに倒れ込む。
火野「これじゃ…僕は誰も守れない…もっと、強くなりたい…!」
そう言うと火野は手を伸ばし、照明の光を掴むように手を握る。
火野「絶対…自分だけにはっ!」
強くなると誓った火野であった。
羽剣の部屋。
羽剣は戻ると、レックウザとの会話を始めていた。
レックウザ>よっ!お疲れさん。
羽剣>そちらも。連絡出来ずすまなかった。
レックウザ>いいんだよ。俺なんて此処で待っているだけなんだから。それより、
羽剣>それより?
レックウザ>お前の友だち、今どうしてんの?あっ、レシラムの旦那のな。
羽剣>火野の事か?どうやらとても悩んでいるらしいんだよな。
レックウザ>やっぱりな。あいつはとても繊細な奴だとは思ってたら、本当らしいな…。顔は可愛いんだがな…
羽剣>顔は関係ないだろ…
レックウザ>へへっ、だよなぁ…まあ奴のことだから大丈夫だろ!
羽剣>大丈夫か…?
レックウザ>俺分かるんだ、奴はへこたれる奴じゃねぇ、守るものがある限りな。
羽剣>そうか、火野には…だからこんなに無茶を…
レックウザ>確かにあれは無茶だ。休ませるのは正解だな。
羽剣>そっか、じゃ俺は寝るわ。
レックウザ>おやすみ~。
羽剣はパソコンの電源を切り、ベッドに飛び込む。
羽剣「火野がいないのか…俺も頑張らないと!」
鮫島の自室。強くなっていく火野を羨ましく思いつつ、音楽を聴いていた。
鮫島「しっかし、火野でも勝てねぇのに…俺は強くなれるのか?」
そんな中、鮫島は机に置いていた手紙を取る。それは、以前の任務中に救助したプロメテウス財団の研究者、辻田朔矢からの手紙だった。
内容は、
「先日は救助して頂き、有り難う御座いました。お礼がしたいので、以下の場所へ来て下さい。時間がある時でよいので、来ていただければ幸いです。」
その下には所定の場所の地図が貼ってあった。
続く。
次回予告
次回、ポケットモンスターセイバーズ!
仲間の提案で休養を与えられた火野。しかし、火野は休養をせず…
一方、礼をすると誘われた鮫島だったが、その条件は裏切り前提だった…
次回、第18話「それぞれ、求める強さ」
以上、次回予告でした。
次回もお楽しみに!