ポケットモンスターセイバーズ   作:宙の空、響く声

18 / 32
17.夢幻の瞳

木の上にいた青年は地面に降り、ザティメトの前に立つ。

?「さて、名乗るのを忘れていたな。俺は光田永留(える)、只のキーエレメンターだ。」

その発言に周囲は騒然とする。

羽剣「二人目の…キーエレメンター……」

永留「ふう、ネガビーストと思ってたら人造ポケかよ!ったく、創った奴は自分が神だとでも言うのか?まあいい、どうせ俺の獲物だからな…ん?」

ザナティメトに大量の光弾が命中する。撃ったのは、木の後ろに隠れていた女子だった。

?「もぉ~、お兄ちゃんで独り占めしないでよ~!」

永留「はいはい、全く紗奈ちゃんは…」

紗奈「さぁて、フルバーストで行くわよ!」

永留「確かに、奴は骨が有りそうだ…行くか!」

紗奈「勿論!」

2人の目は濃いピンク色に光り、妖しいオーラを纏う。

対馬「な、なんだこれは…」

永留「分からんだろうな、生命倫理を乱す貴方にはな!」

2人は目にも止まらぬスピードでザナティメトを切り刻んでいく。30秒もかからず、触手が全て裂かれていた。

対馬「チッ…はははっ、流石キーエレメンターだ!良いデータが手に入った事は感謝しよう、ではこれにて!」

対馬は手に持ったスイッチを押す。すると、対馬とザナティメトの背後に空間の穴が生まれ、両方を飲み込むと塞がった。

紗奈「もぉ~、逃げちゃったよ…」

永留「いや、まず救助だろ…」

永留は、大怪我を負って瀕死の火野に近付く。

羽剣「火野…ごめんな、俺がこんなに弱いせいで。」

永留「羽剣くん…でしたっけ?よけて頂けないでしょうか?」

羽剣「お、おう…」

羽剣が避けると、永留は火野の胸に手を当てる。永留の目はやはり濃いピンク色に変わっていた。

永留「再生促進命令実行、必要エネルギーの譲渡を開始。」

永留の手はオーラに包まれ、火野にオーラが伝わっていく。

東「何それ…」

しばらくすると、永留はオーラを消し、そっと手を離す。その途端、火野は目を覚ました。

火野「…?」

永留「起きたか、元気そうで何よりだ。俺は光田永留、エスパータイプのキーエレメンター。君は確か炎だったよな?よろしく!」

火野「あ、はい…宜しくお願いします。」

永留「さて、同胞助けも終わったし帰るぞ、紗奈。」

紗奈「はーい。」

永留「んじゃ、またa…」

火野「待ってください!」

永留「…何だ?所属の事か?」

火野「…はい。」

永留「じゃ、話が早い。実は俺と紗奈、所属してねぇんだ。ボランティアでやってるだけ。」

紗奈「特殊能力者は狙われるの。だから、普段は隠れてやっている訳。」

永留「じゃ、帰るぞ。」

紗奈「じゃあね~。」

そう言うと、強い光を発し2人は消えた。茫然とする火野の肩を羽剣が叩く。

羽剣「じゃ、戻ろう。」

火野「はい…」

黒曜「そう落ち込むなよ、命あったんだから…」

火野「でも…」

東「火野君、最近疲れているよね?一回休んだら?」

火野「う、うん…」

 

ポート。戻った先で、月読が待っていた。

月読「火野、無茶させてすまなかった。」

火野「ち、違うんです…僕が弱かっただけなんです。」

月読「そうか…君は真面目すぎる。抱え込むのは良くない。」

火野「はい…」

月読「しかし、とんだ復讐を受けた…まさか昼頃に交渉を持ちかけた相手が攻撃してくるとは…」

火野「…!?」

月読「確か対馬とか言うネオクリエーターだった。」

火野「と言う事は…?」

月読「君が戦ったのは、彼らの手で創られた存在だ。早急に抹消しなければ…」

火野「違う!それは違うんだ!!」

火野の強い一言に場は騒然とする。

羽剣「落ち着け、火野!立場を弁えろ!」

火野「羽剣さんごめんなさい…僕に言わせてくれませんか…」

羽剣「あ、あぁ…」

火野「創られた存在だって、命はあるんです。創った人間が悪いだけなのに、害があるから殺すっておかしいですよ!!」

月読「では、どうやって生かす?」

火野「そ、それは…」

慌てる火野の肩に月読は手を乗せる。

月読「君が言いたい事も分かる。しかし、この世界は綺麗事ばかりでは無いのだよ。諦めも肝心だ。」

火野「それでも、それ…ううっ、あっ…くうっ……」

火野は俯き、泣き始めた。

月読「できるかも知れないが、我々がもっと強くならなければな。」

火野はもう返事をする気力がなかった。そんな火野に、東が囁く。

東「火野君、休もうよ。1人で抱え込まないで…」

火野「でも…」

羽剣「一息つけ。考えるの一端止めた方が良いぞ。」

火野「…はい。」

月読「さて、話は終わりだ。各自休んでくれ、特に火野。」

火野「…はい。分かりました…」

 

自室棟。鮫島が火野に近付いてきた。

鮫島「火野、とても疲れてんな。」

火野「い、いや僕は…」

鮫島「可愛いよなぁ、火野は。何事も一生懸命、そしてめげない。でも疲れてんなら休みなよ、俺が代わりに戦うから!」

火野「あ、ありがとう…」

羽剣「じゃ、鮫島宜しく!」

鮫島「おうよ!」

 

火野の自室。火野はベッドに倒れ込む。

火野「これじゃ…僕は誰も守れない…もっと、強くなりたい…!」

そう言うと火野は手を伸ばし、照明の光を掴むように手を握る。

火野「絶対…自分だけにはっ!」

強くなると誓った火野であった。

 

羽剣の部屋。

羽剣は戻ると、レックウザとの会話を始めていた。

 

レックウザ>よっ!お疲れさん。

羽剣>そちらも。連絡出来ずすまなかった。

レックウザ>いいんだよ。俺なんて此処で待っているだけなんだから。それより、

羽剣>それより?

レックウザ>お前の友だち、今どうしてんの?あっ、レシラムの旦那のな。

羽剣>火野の事か?どうやらとても悩んでいるらしいんだよな。

レックウザ>やっぱりな。あいつはとても繊細な奴だとは思ってたら、本当らしいな…。顔は可愛いんだがな…

羽剣>顔は関係ないだろ…

レックウザ>へへっ、だよなぁ…まあ奴のことだから大丈夫だろ!

羽剣>大丈夫か…?

レックウザ>俺分かるんだ、奴はへこたれる奴じゃねぇ、守るものがある限りな。

羽剣>そうか、火野には…だからこんなに無茶を…

レックウザ>確かにあれは無茶だ。休ませるのは正解だな。

羽剣>そっか、じゃ俺は寝るわ。

レックウザ>おやすみ~。

 

羽剣はパソコンの電源を切り、ベッドに飛び込む。

羽剣「火野がいないのか…俺も頑張らないと!」

 

鮫島の自室。強くなっていく火野を羨ましく思いつつ、音楽を聴いていた。

鮫島「しっかし、火野でも勝てねぇのに…俺は強くなれるのか?」

そんな中、鮫島は机に置いていた手紙を取る。それは、以前の任務中に救助したプロメテウス財団の研究者、辻田朔矢からの手紙だった。

内容は、

「先日は救助して頂き、有り難う御座いました。お礼がしたいので、以下の場所へ来て下さい。時間がある時でよいので、来ていただければ幸いです。」

その下には所定の場所の地図が貼ってあった。

 

続く。

 




次回予告


次回、ポケットモンスターセイバーズ!

仲間の提案で休養を与えられた火野。しかし、火野は休養をせず…
一方、礼をすると誘われた鮫島だったが、その条件は裏切り前提だった…

次回、第18話「それぞれ、求める強さ」

以上、次回予告でした。
次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。