朝、火野の自室。
起きると、早速パソコンを点け、レシラムとの会話を始めていた。
火野>おはよう、レシラム。
レシラム>…ううっ…
火野>どうしたの?
レシラム>火野の馬鹿ぁぁっ!うわぁぁん!うわぁぁん…
火野>えっ!?
レシラム>死んだかと思ったよ!本当に、心配したんだよ!?連絡一切よこさないから…ううっ…
火野>心配かけた?ごめん…
レシラム>…今日はどこにも行かないでね…君の予定では外出予定あったみたいだけど。
火野>!?なんで知ってるの?
レシラム>僕は君の事なんかお見通しだよって前に言ったよ?行くんでしょ、光田君の所に。
火野>あっ、そうだけど…
レシラム>…いいよ。但し、連れてってね?
火野>うーん…いいけど、ついて行って何するの?
レシラム>一度キーエレメンターかどうか確かめたいんだ。
火野>そうなんだ…てっきり僕の事が心配なのかと。
レシラム>も、もちろん君の事が心配だからってのが一番の理由だからね!勘違いしないでよ?
火野>じゃ、そろそろ行こう!
レシラム>うん!
火野が光田兄の所を訪ねようと思ったのには、訳があった。
火野「僕は、誰かを守る為の力を持っているにも関わらず、上手く使えていない…だから、強くなりたい…強くなりたいんだ!」
決意を胸に秘め、火野は自室を後にした。
自室棟。火野は羽剣と出会う。
羽剣「おはよっ!疲れはとれたか?」
火野「はい!でも、休んで良いんでしょうか…」
羽剣「君は頑張り過ぎなんだ。休まないと、大事な…あっ、そうだったな。ま、とりあえず今日は休め。どうせ、休み返上でトレーニングだろう?」
火野「いや、そこまでストイックじゃありませんから…」
羽剣「まあ、なんでもいいや。只、無理すんなよ?一番それが心配なんだからな。」
火野「はい!」
ホウエン地方・海底洞窟。
火野「あれ?感応波通信が正しければ此処で合っているんだけどな…」
実は昨日、永留の感応波(キーエレメンターが発する波動のようなもの、但しエレメンター状態でなければ計測出来ない)を専用の機械でキャッチしており、それを拾って海底洞窟まで来ていた。
永留「おっ、火野君か、わざわざ此処まで来て何するんだ?」
火野「昨日はありがとうございました!それと、一つお願いが…」
永留は能力を使用し、火野の言いたい事を察する。
永留「…鍛えてほしいんだろ?」
火野「はい!」
永留「うーん、一回紗奈に頼んだらどうだ?俺は今のあんたの実力で戦うにはキツすぎる。」
火野「で、でも!」
永留「急ぐな。俺は無茶ばかりするあんたのためを思って言っているんだ。」
火野「う、うぅ…」
永留「じゃ、俺の所に案内するぜ。此処でやるのは海と陸、そして空の神に失礼だからな。」
火野「う、うん…」
人工島・RTー22。上の島は見せかけで、上の島の階段を下りた所に永留達の拠点がある。
火野「アーマー解除、っと。それで、海底洞窟で何をしていたんですか?」
永留「何って、エレメンター遺跡の調査だ。一件見つけたんだがな。俺もアーマー解除しよ…」
火野「どんな遺跡なんですか?」
永留「地面と水…それらのキーエレメンターの遺跡だ。どうやら2人で行かないと駄目らしいが…。」
火野「グラードンとカイオーガが対になっているから、こっちも対なんですか…」
永留「そう言えば、君のキーエレメンターはどうやって入手したんだ?あれは確か雷のキーエレメンターと一緒の遺跡だった筈だが…」
火野「い、遺伝なんです。母さんからの…」
永留「なるほど、それだと説明がつく…さて、着いたぞ。」
永留は扉の前のカメラを見つめる。
網膜認証が完了し、扉が解錠される。
永留「入るぞ。」
火野「はい、お邪魔します…」
人工島・地下。
ホウエン支部から援護依頼が来るようになっており、それに応じて出撃している。
紗奈「おかえりー!」
永留「ただいま。今日は珍しく客がいるぞ、失礼のないように。」
火野「…火野真琴です。先日はありがとうございました。」
紗奈「あっ、昨日の助けた童顔の子!かわいい〜!」
火野「えっ、あっ…」
永留「はぁ…だから困らせるなって言ったのに。」
火野「いや、いいんです…それより僕、強くなりたいんです。だから…」
紗奈「鍛えてって?無論よ!但し、強いけどね?」
火野「構いませんよ!」
紗奈「おっ、童顔の癖にかっこいい事言うのね…嫌いじゃないよ!」
光田兄「…ったく気が早いぞ、お前ら!」
一方、鮫島は手紙にあった場所にいた。
鮫島「ふぅ…ここか、噂には聞いていたがやっぱりか…」
プロメテウス財団・メインラボ。このラボの80%はネオクリエイター、新生物創生の研究に使われている。
入り口から1人、研究者が出て来た。
鮫島「貴様…どういうつもりで…」
出て来た研究者は、火野を意識不明に追い込んだ仇敵・対馬始だった。
対馬「お久しぶり、いや初めましてかな。私は対馬始。」
鮫島「一体何の用だ!何故貴様が出て来た!」
対馬「落ち着きたまえ。私は君に礼をしたいだけなのでね。」
鮫島「へぇ、俺の仲間傷つけておいてよく平然と言えるな。」
対馬「んで、礼の件ですが…」
鮫島「スルーかよ…早く言え、俺は忙しいんでね。」
対馬「あなた、力が欲しいのだろう?…キーエレメンターになれる力が。」
鮫島「!?」
思っていた事を出汁にされ、驚く鮫島。
対馬「エレメンター関係は我々も注目している。我々が力を貸してやろう。」
鮫島「マジか…」
対馬「但し、我々の仲間になるのなら。」
鮫島「しかし…」
対馬「力の保証がこちらは出来ている。強くなる保証の無いセイバーズよりいいだろ?」
鮫島「…分かった。本当に手に入るんだな?」
対馬「えぇ、勿論です。」
鮫島「ならば、貴様の下に入る。」
対馬「ふっ、喜んで。」
鮫島(と言っても、形だけだ…力だけ貰っておけば…!)
しかし、これが最悪の結果をもたらす事を彼は知る由も無かった…
永留と紗奈の拠点。
火野「うわぁぁっ!?」
攻撃に吹っ飛ばされ、床に転がり込む。
紗奈「はぁ…弱いよぉ〜。」
紗奈は退屈そうに溜め息をする。
一方、上では永留が戦いの様子を覗いていた。
永留「おいおい、この程度か?」
しかし、すぐに理由を察する。
永留「…待てよ?火野、聞こえるか?」
火野「は、はい…痛っ!」
永留「装備アーマーは?」
火野「これですか?ウルガモスですけど…」
永留「そっか、なら性能の問題だな…動きはちゃんとしているのにと思ったらそういう事か…」
永留の一言は、諦めを提案するものだったが、対する火野の反応は意外なものだった。
火野「性能…上等だよ!性能が勝敗を分かつ絶対条件じゃない、誰かを守りたいと言う思いがあれば関係ないんだ!うおぉぉっ!!」
瞳が赤くなり、身体が熱を帯びる。
いつもはこれだけなのだが、この時はアーマーの腕部装甲が展開し、その中から赤熱した皮膚が露出していた。
永留「!?何だ?」
紗奈「待って、暑い!」
何かを察したのか、レシラムがボールから飛び出し永留の隣で浮いていた。
永留「一体、なんだこれは…」
レシラム「エクストラバースト…思いが更に強くなった事で…身体の色を変える程の熱を発している…火野君が危ない!」
永留「マジかよ…ってレシラムが人の言葉を!?」
見られているのも一切気にせず、レシラムは火野に向かって飛んでいく。
レシラム「紗奈さん、邪魔です!」
紗奈「レシラムが!?何でしゃべんのコイツ!?」
レシラム「そんな事気にしないで!速く!!」
紗奈「あ、あぁ…」
驚きつつも紗奈は避ける。
レシラムは一直線に火野に飛び込む。火野は倒れ、仰向けになり、レシラムに両腕を掴まれる。
火野「…レシラム?」
レシラム「手荒で済まないけど…ヒートドレイン!」
レシラムの尾が赤熱すると、火野の体温を吸い始める。
火野「うわぁぁぁ!ううぅぅぅっ…」
火野は苦しみ、もがき喘ぐ。レシラムは涙を浮かべながらも、熱を吸っていた。
レシラム「こんな熱、人に扱える訳ないよ…なんで、こんな力があるの…うぅっ…」
漸く火野を平熱に戻すと、レシラムは手を離す。
アーマーの装甲は閉じ、瞳は元の色に戻る。ふらついているが、火野に意識はあるようだ。
火野「レ、レシラム…?」
レシラムはその一言に安心し、勢い良く火野に抱きつく。
レシラム「良かった…!」
火野「レシラム…止めなくても良かったのに。」
レシラム「だめだよ!火野君、君はキーエレメンターとしての能力を引き出し過ぎて、死にかけていたんだよ!意識あったから良かったけど…」
火野「ぼ、僕が…死ぬ?」
レシラム「そうだよ!僕、怖かったんだからね…うわぁぁん!」
レシラムは火野に泣きつく。
火野「ごめんね…僕が悪かったよ…」
レシラム「謝らなくていいよ…今生きている、それだけで嬉しいんだ!」
2人(1人と1匹)は互いに抱き合った。
永留「俺達の目の前で何やってんだよ!家でやれ…」
紗奈「お兄ちゃん、家ならいいの!?」
永留「良いんじゃねぇの?互いに良ければ。ところで、レシラムとはどこで会った?」
火野「うーん、これ話して良いのかなぁ?」
レシラム「僕としてはお断りだね。」
火野「…との事です。」
永留「へぇ…色々あんのね。」
レシラム「うんうん…うわっ!?」
気付くと、レシラムの腹に紗奈が頭をうずめていた。
紗奈「わぁ〜このモフモフ最高〜!」
レシラム「…まあいっか。」
そんな微笑ましい光景の中、火野はしょんぼりとしていた。
火野「僕は…強くなれないの?…ううん、諦めてたまるか。僕は…ッ!」
拳を握り、新たな決意をする火野に永留が声を掛ける。
永留「おう!かっこいいぞ!!」
火野「永留さん…!」
永留「火野、いいパートナーを持っているな…勿論レシラムの事だ。性能どうのこうの言った俺が悪かった。」
火野「えっ…?」
永留「守るべき者の為に、君は想像以上の力を発揮出来るようだ。但し、今回は力を制御できなかったようだけど。」
火野「はい…」
永留「出来るようにはなったから、制御頑張れよ!」
火野「…はい!」
イッシュ地方・チャンピオンロード。
ネガアーケオスが出現し、羽剣・東・黒曜の3人は討伐に赴いていた。
使用アーマー
・羽剣:メタグロス
・黒曜:デンリュウ
・東:アシレーヌ←NEW
戦いは終始3人が優位に立っていた。
羽剣「へへっ、あの化け物よりは楽勝だぜ!」
黒曜「さて、止めよろしく!」
東「勿論!ひさびさのアーマー技、行使よ!」
東ブレス「アーマー技発動。4ゲージ消費、アクア・シンクロブラスター!」
自分の両側に水の玉が浮く。
東「いっくわよ〜っ!」
固有装備のキャノンを敵に向け、高圧水流を放つ。
同時に水の玉も水流を放ち、合流すると螺旋を描き向かって行く。
誰もが勝ちを確信した、その時。
?「シールド展開、水流を遮断する。」
黒い人影が通り、激しい水流を容易く遮断する。
遮断された水流は水しぶきとなり3人に降りかかる。
東「きゃぁぁっ!?」
黒曜「くっ…」
羽剣「うっ…一体誰だ!?」
それに返した声は、まさかの人が発したものだった。
鮫島「誰って?察しろよ…」
なんと、鮫島がネガアーケオスの味方をしたのだった。
羽剣「鮫島!?」
黒曜「うっ、嘘だろ…」
東「どうしちゃったの…?鮫島くん!」
3人がうろたえる中、鮫島は戦いの構えをとる。
鮫島「お前たちはなんで俺の事で驚いてんのかな…俺、お前たちを知らないんだが。まあいいや、お相手願うぜ!」
続く。
次回予告。
次回、ポケットモンスターセイバーズ!
プロメテウス財団の手先となった鮫島。
止めを刺そうとするその時…覚悟を決めた火野が戦いを挑む…!
純粋に強くなりたい者と、誰かのために強くなりたい者…今、戦いが始まる!
次回、19話「ぶつかり合う牙」
以上、次回予告でした。
次回も、お楽しみに!