電気石の洞穴前。
その存在は、禍々しい前作ザナティメトとは打って変わり、神の如き美麗な存在だった。
対馬「鮫島くん、見ていただきたい…この美麗なる存在、プロギンを!」
鮫島「ふ〜ん、成る程。でもプロギン、何か不満げ何だよなぁ…」
対馬「まさか、そんな事は無いでしょうよ。創造主に反抗する訳が…」
鮫島「なら見ろ…特に目を。」
プロギンは本来青く澄んだ瞳の筈だが、赤黒く濁っていた。
そして、次の瞬間…
プロギン「縛るな…人間如きで!!」
体から大量の光の槍を放つ。鮫島は先に退避していたので無事だったのだが、他の4名はまともに食らってしまう。
羽剣「ぐあっ!?」
黒曜「ううっ…う、うぅ…」
拓人「ちっ…凄まじいな。」
洋子「モードを解除したのが吉でしたわ…撤収しましょう。」
拓人「センドラルは見逃せって訳か…仕方有るまい!」
虚無會の残り二人は、ワープ退避し事なきを得る。
鮫島「…撤収する。」
対馬「何故!?プロギンを置いていくのか!?」
鮫島「手を離れた神の制御はそなたでも出来かねるだろ?それに、優秀な検体の俺を捨てる訳にはいかんだろ?」
対馬「…そう言えば。」
鮫島「忘れていたのかよ…俺は帰るぞ、後奴の観察はあんたの仕事だろ?」
対馬「…分かった。」
鮫島はそそくさと退散する。一方、激しい攻撃の前に防戦一方の羽剣と黒曜。
羽剣「くっ、レベルが上がったアーマーは良いが体力が…持たない!」
黒曜「くっそぉ…」
PMS・イッシュ本部、試験室。
東「はぁ…はぁ…」
貴水「お疲れさん、耐久性に問題無し。体力は余ってる?」
東「はい!援護に行きます!!」
貴水「その体力どこから来たんだ…但し、無茶すんなよ?」
現場。
羽剣「…あぁっ!」
流れ弾が足に直撃し、地に落ちる。
黒曜「羽剣!?」
羽剣「ちっ…逃げようが無いな…」
立とうとする羽剣、しかし背後から光弾が迫っていた。
羽剣「何!?うっ…」
直後、羽剣が見たのは当たるはずだった光弾が真っ二つにされ飛んでいく様だった。
東「羽剣さん、危なかったですよ?」
羽剣「おい!あれ避けられないだろ!第一…東!?」
東「アーマーのチューニングで遅れたの…ごめんなさい。」
黒曜「いや、そうじゃなくて!何だそのアーマー!?」
東「おっ、よく聞いてくれましたぁっ!!これは、なんとケルディオのアーマーなんです!火野の父さんが保護していたケルディオからデータをいただいて…」
羽剣「あーもう!凄いのは分かったから、早くあいつを!」
東「おっ、了解!女だからって…舐めないでよね?」
プロギンは、先程のように光弾を連射する。
しかし、その全ては両断されると雲散霧消する。
東「まあ、神にしては甘いのね?この程度で神と称するなんて、馬鹿げているわ!」
東は一瞬で距離を詰めると、プロギンを斬り刻んで行く。まるで、時間を止めて無双しているかの様に。
東が離れると、プロギンはもはや悲惨な様を呈していた。
東「さて、産まれてきたのは申し訳ないけど…アーマー技、行使します!」
東ブレス「アーマー技発動。7ゲージ消費…メルクトリーム!」
東は瞬間移動に次ぐ瞬間移動を繰り返し、その度にプロギンに斬りつけていく。
そして最後に立ち止まり、剣を振る。
プロギンは微塵に裂かれ、地に溶けていった。
東「くっ…あぁっ!」
東は悲鳴を上げ、うつ伏せに倒れる。
羽剣「おい、東!」
東「下がっ…て…」
そう言った、その時。
ジジッ…パキーン
東のブレスがスパークし、直後に弾け飛ぶ。それと同時にアーマーも解除された。
ブレスを付けていた腕は酷い痣が出来、動かすのもままならない。
東「うっ…」
羽剣「大丈夫か、東!?」
東「うん、腕は痛いけど…あと…」
羽剣「あと…?」
東「疲れたよ…力がまるで出ない…本部まで、運んで…」
羽剣「あったり前だ!黒曜、東を支えてくれ!!」
黒曜「承知した!」
PMS本部・ポート。
到着すると、内海が待っていた。
内海「みんなお疲れ様。さっ、東を!」
羽剣「はい!」
内海に東を引き渡す羽剣。
内海「東の事は何とかします。羽剣と鮫島は自室に戻って。」
羽剣「はい、でも東は…?」
内海「大丈夫。あなた達もお疲れでしょうから、休みなさい。」
黒曜「…分かりました。」
羽剣と黒曜は自室棟へ歩いていった。一方、内海は東を背負い治療室へ向かった。
自室棟・エレベーター。羽剣は自らの自室に行く前に、誰かの自室に寄っていた。
羽剣「あいつ大丈夫かな…火野、羽剣だ。元気なら返事してくれ。」
しかし、直ぐに鍵が開く音がする。そして、
火野「羽剣さん、僕は大丈夫です!」
羽剣「無事なのか!そりゃ良かった、失礼するぜ?」
火野「はい!」
羽剣は嬉しそうに火野の自室へ入っていった。
羽剣「でさ、何で体調悪かったんだ?」
火野「声が聞こえたんです…励ましているのは分かるんですが、同時に何回も声が聞こえて…頭が痛くなってしまって。」
羽剣「おい、立派なDoS攻撃じゃねーか…」
※DoS攻撃…コンピュータに大量のデータを短時間に送りつける事によって、処理を停止させる妨害行為。
火野「いや、それは違います…自分が苦しめていたって分かったら、謝ってきたんです。」
羽剣「へぇ…兎に角、明日から行けるか?」
火野「はい!行けます!」
羽剣「そっか…安心したぜ!ではまた明日な!」
火野「はい!」
羽剣がエレベーターに乗って見えなくなると、火野はパソコンを起動しレシラムとの対話の準備をしていた。
火野>レシラム、朝は話せなくてごめん。
レシラム>ううん、僕は大丈夫だよ。しっかしお兄ちゃんは心配性だなぁ〜。
火野>えっ!?
レシラム>兄って言ってもゼクロムなんだけどね…あんなに急いで励まさなくてもいいのに…
火野>そうだったんだ…何かごめんね。
レシラム>良いって、君は悪くないよ!
火野>あ、ありがとう…
レシラム>さて、明日から心機一転、頑張ろっ!!
火野>はい!では、今日はここら辺で…
レシラム>じゃ、また明日!
火野はパソコンの電源を切ると、ベッドに倒れ込む。
火野「負けるもんか…卑怯者になんて…!」
羽剣の自室。
羽剣「センドラルの保護は成功したが、戦力が不十分すぎる…火野は突発的な物だし、東さんはシステムがついてこれない…。尤も、皆に着いて来れない俺の言うことじゃねぇ…」
自分の非力を、ただただ嘆くしかなかった。
財団の研究所・研究者寮。
鮫島は、対馬と本日の反省をしていた。
対馬「…私が悪かった、とでも言いたいのかい?」
鮫島「当たり前だ。もう少しテストすれば、こうはならなかったはずだ…俺に非は無いぜ?欠陥データを拾ってきたんだからな。」
対馬「そうですか…まあ、ああいう一面を見れた事に免じて許して頂きたいな。」
鮫島「まあな、俺は怒っているわけじゃねーし。」
対馬「…」
鮫島「じゃ、俺は寝るから…邪魔だろ?」
対馬「はい…」
虚無會。
琉聖「ちっ…エレメンターの野郎!」
洋子「そう言えば、何気に琉聖君ってエレメンターに会うわよね?」
拓人「まあ、偶然だろ。それより、ボスからまた伝令が…」
琉聖「おっ?」
拓人「…貴様らの居ない内に、この装置を改修しておいた。追加した機能については後日書面で説明するので待て…」
洋子「ふ〜ん…」
微妙な空気になる3人であった。
続く。
次回予告
戦線復帰しても尚、火野は自らの力の無さに悩んでいた。
誰かの為に強くなりたい、そんな思いはある一人の男へ導く。
一方、竜の遺跡。
其処には、ある人が力を頂く為に来ていたのだった。
22話「護る者、奪う者」
次回もお楽しみに!