シンオウ地方・シンジ湖。
羽剣「でも、助けるってどうやって…」
火野「それを、これから探すんですよっ!レシラム…力を貸して!」
羽剣「ば、馬鹿だ…まあ、火野らしいか。」
火野は、レシラムアーマーを装着し、剣を構える。
火野「負けませんよ…ディアルガ!」
火野の宣戦布告に応じるかのように、ディアルガは咆哮を上げる。周囲の時間が止まるが、火野は動く事が出来ていた。
火野「小細工したって!」
火野はディアルガに斬りかかる。しかしディアルガはビクともせず、火野を尻尾で弾き飛ばす。
火野「うわあぁぁぁっ!?」
火野はダメージを受けながらも、背部スラスターを吹かして、体勢を整える。
火野「くっ…流石伝説、ですね…!」
ディアルガは、次はこっちだと言わんばかりにラスターカノンを放つ。
火野はかわし、剣を投げつける。ディアルガは剣を避けるが、避けることを想定しての行動だった。
前腕の装甲が赤熱し、炎の剣を形成する。
火野「これなら!」
炎の剣は、ディアルガにダメージを与えていく。
耐えきれなくなったのか、咆哮の効力が切れ、時が動き出す。
羽剣「すげぇ…あれが、伝説のポケモンのアーマー…!」
ダメージが大きいのか、ディアルガは頭を垂れ、ぐったりとしていた。
火野「よし!後は助けるだけ!」
火野は、ディアルガの胸部の宝石に右手をかざす。
火野「レシラム、お願い!」
火野の右手から白いエネルギーが放たれ、ディアルガを包み込む。
羽剣「おい…まさか!?」
ディアルガを覆っていた瘴気は消え、自我を取り戻す。
火野「…よしっ!」
羽剣「浄化したのか!すげぇ…」
ディアルガは、咆哮を上げた。火野に感謝しているのだろうか。
火野「良かった…?」
ディアルガは胸部の宝石から、チップを生成し、火野に託す。
火野「ディアルガ…ありがとうございます!」
ディアルガは、自分の行くべき場所へ飛び去る…はずだった。
?「やはり、使えなかったか…」
一筋の凶弾が、ディアルガを射抜く。胸部の宝石に当たり、罅が入る。
火野「!?」
驚く隙を与えず、第二射が火野を狙う。すんでのところで火野は回避したが、着弾した地面が凍っていた。
火野「氷…!?」
?「やあ、これは…火のキーエレメンター君かな?」
火野「僕の事を知っている…!?」
氷室「まあね、だって僕は…虚無會のボスだからね!」
羽剣「虚無會の…ボス!?」
氷室「おっと、申し遅れた。僕は氷室徹、氷のキーエレメンターさ!」
氷室の目が薄い水色に光る。
火野「って事は…!」
氷室「あのディアルガ?あれはもういらない、って所かな…ん?」
ディアルガは、氷室に向かって時の咆哮を放つ。
氷室「まあ、君は用済みだからねー。消えてもらうよ!」
氷室は冷凍銃を構えると、ディアルガの頭部を撃ち抜く。
火野「ディアルガ!?」
ディアルガは頭部から凍りつく。
氷室「じぁあね、時の神様。」
銃を変形させ、今度は炎の弾丸を放つ。ディアルガの頭部は粉々に砕け、巨躯は大きな音を立てて崩れ落ちる。
羽剣「嘘…だろ!?」
氷室「伝説とは言いますが、所詮この程度なんで…がはっ!?」
氷室は火野に頬を殴られ、地面に倒れる。
火野「命を…何だと思っているんだ!?」
氷室「はあ…まあ良いでしょう。殴った事、後悔させてあげましょう!」
氷室は冷凍銃を撃つ。火野は、冷静に避ける。
氷室「へぇ…じゃ、本気出しますか。」
氷室はアーマーカードを取り出す。
水晶のように輝きつつ、邪気を秘めたアーマーカード…伝説のポケモンのアーマーカードである事に、変わりはなかった。
氷室「キュレム…せめて、君は使える存在でいて下さいよ…!」
氷室は、アーマーカードをブレスに差し込み、側面のスイッチを押す。
火野「…!?くぅっ…あぁぁっ!!」
羽剣「どうした、火野!?」
火野「頭が…痛い!くぅっ…」
火野は膝をつき、苦しむ。
氷室「この、反乱分子が…戻りなさい!」
氷室の周囲が凍る。次第に氷室自身も凍り、巨大な氷柱が立つ。
羽剣「まさか…!」
氷柱は、一瞬にして崩れ去り、その中からアーマーを着けた氷室が現れる。瞳は黄色に染まり、不敵な笑みを浮かべる。
氷室「どうだ?素晴らしいだろう、僕のアーマーは!」
火野「ふ…ふざけるなあぁぁっ!!」
火野は、怒りに身を任せ氷室に向かっていく。
氷室は軽くかわし、的確に冷凍弾を命中させていく。しかし、着弾してもアーマーの熱気で蒸発してしまい、有効打を与えられなかった。
氷室「やるじゃないですか…楽しいですよ、僕はね!」
火野「こんのぉぉっ!!」
火野は氷室に拳を突き出す。氷室は拳を片手で掴み、受け止める。
氷室「感情的にならないで下さいよ~ほら、隙だらけ!」
氷室は足に氷の刃を形成し、火野に蹴りをいれる。
火野「くぅっ…!?」
火野は飛ばされ、大地を転がる。腹部アーマーは破損し、傷ついて血まみれになった左脇腹が露出していた。
氷室「う~ん、君はその程度か…じゃ、またね!」
氷室は、霧を作り出し姿を消す。
羽剣「ちっ、なんて奴…火野!?」
羽剣はぐったりとした火野に近づく。
羽剣「火野!?大丈夫か!」
火野「うぅっ…僕は…守れなかった。守るって、約束したのに…うっ…うわあぁぁぁん!!」
火野は羽剣の目の前で泣き出した。
羽剣「火野…」
火野「僕は…アーマー装着者として、失格だ!うぅ…」
泣く火野を、羽剣はただただ見ているしか無かった。
PMS・指令室。
火野は、所長に呼ばれ指令室で話をする事に。
月読「そんな事が…」
火野「はい…」
月読「…」
火野「ポケモン一匹すら守れないなんて…アーマー装着者として、失格です…僕は…」
月読「…気に病むな。」
火野「…えっ?」
月読「そんなに悩んでたら、アーマー装着者はやってられない。」
火野「で、でも…」
月読「今生きているポケモンを、守れなくてどうするって訳だ。」
火野「…はい、守ります…必ず!」
月読「よし、それでいい。では、今後も頼むぞ!」
火野「はい!」
通路。
火野は俯いていた。
火野「僕は、守れるのかな…」
?「まあ、心配するな…我を守ってくれたそなたなら出来るはずだ。」
火野「!?どこから…」
火野は真っ先にブレスを見る。ブレスには、いつの間にかディアルガのチップが付けられていた。
火野「まさか…ディアルガ!?」
ディアルガ「まあな…生憎肉体は無いが、精神はデータとしてここに存在している。」
火野「でも…僕は!」
ディアルガ「まあ、我は問題ない。気にするな…」
火野「は、はい…」
ディアルガ「まあ、自分の肉体が崩れるのは…我にとっても少々衝撃だったがな…さて、このチップに居るという事は…エレメンターを探さなければならない、って訳だな。」
火野「エレメンターを…」
ディアルガ「少なくとも、貴様ではなさそうだ…既に絆も繋いでいる。力を使えるとすれば…鋼か、龍か。」
火野「うーん…鋼はカロスの方に一名いましたけど…」
ディアルガ「まあいい、ゆっくり探せばいい…直感で大体分かるしな。」
火野「は、はい…」
火野の自室。
何時も通り、PCをつける。
レシラム>お疲れさん、火野くん。今日は大変だったね…
火野>うん…僕も、まだ力不足だよ…
レシラム>でも、精神は守れたんでしょ?よく頑張ったよ!
ディアルガ>そうだな…そして、操られていたとは言え傷つけてしまい、申し訳ない。
レシラム>ディアルガさん!?いつのまに…
火野>いや…これは僕の責任だ…こちらこそ、肉体を守れなくて…
ディアルガ>まあいい、と言っているではないか。
しかし、我の事を大切に思って下さるのは有り難いな。前のトレーナーがアレだったからな…
火野>前の…トレーナー?
ディアルガ>名は確か…拓人と言ったような。
レシラム>た、拓人って…
火野>拓人…!
ディアルガ>最近までは、我を気にしてくれたものだが…今朝起きたら、謎の装置の中に入れられていて…そこからは覚えていないのだ。
火野>ちっ…拓人…っ!!
レシラム>まあまあ、落ち着いて。
火野>ふぅ…ごめんね。気使わせて。
ディアルガ>…火野と言ったな。正義感は一人前だな…しかし、身を滅ぼす事はするなよ。
火野>はい…すみません。
ディアルガ>暫くは此方にお邪魔するとしよう。悪いな、レシラム。
レシラム>いえいえ、問題ないですよ!
ディアルガ>有り難い…それと、よろしくな、火野!
火野>は、はい!あと、僕は寝るので…失礼します。
ディアルガ>ご苦労。
火野は、ため息をつく。
火野「まだまだ…強くならないと…!」
火野は強く握った右手を見る。負けるわけにはいかない…そう感じた。
虚無會。
氷室「やれやれ、君のディアルガはその程度だったんだね…」
拓人「…」
氷室「さて、君自身に動いて貰うしかないかな…君のエレメンター的にも悪くないお話だよ?」
拓人「私が…エレメンター?」
氷室「あれれ~知らなかった?しかも、面白いタイプだというのにねー!まあ、頑張ってもらおうかな…フフフフ…」
続く。
次回予告
第28話「時の神、再誕」
次回も、よろしくお願いします!