暁古城になりました。チート能力付きで   作:迷走中

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お説教

 そこからは原作通り、姫柊は戦闘が起こった現場へ突撃していった。一応、俺は止めた。

 アイランド・ガードに任せるようにと。

 けれど、駄目だった。

 そして原作通りに姫柊とアスタルテが戦い姫柊が追い詰められたところで、俺が間一髪で助けた。

 べ、別にやられそうになるまで隠れていたわけではないよ?

 ちなみに、俺がやったのは単純なことだ。

 モンハンの武器、ハンマーのマカライトインパクトでアスタルテの眷獣を力任せに殴っただけだ。

 その結果、原作以上にアスタルテの眷獣はぶっ飛ばされる。

 

 この戦いで俺の眷獣は使わない。

 原作みたいに周りに被害が出るのは勘弁だ。

 原作ではアスタルテと姫柊が先走って戦い、古城が姫柊を助けようとした結果眷獣を暴走させて周りに被害を出していた。

 なので、そうならないように姫柊を押さえないといけない。

 

「貴方は何者ですか? それにその鎚は……なんと見事な」

「……噂には聞いていたけど、ロタリンギアの者だな?」

 

 殲教師は俺を警戒しながらも、俺が右肩に担いでいるマカライトインパクトを見て驚く。

 特殊効果がない武器だが、この世界基準では超が付くほど優秀な武器だ。

 姫柊にも既にいくつか見せているが、MHの上位武器は基本的に雪霞狼と同等かそれ以上のもだと言っていた。

 とはいえ、今回は少し弱めの武器にしている。

 最強系武器を使うとアスタルテを殺してしまう可能性があるからだ。その辺に気をつけないとマズイ。

 特に耐久値が設定されていないゲーム系の武器は壊れることがない。そのことも考えるともはや伝説級の武器だな。

 

「ほぉ、知っているのですか?」

「ああ、欧州の方で夜な夜な魔族に通り魔みたいなことをして、懸賞金をかけられた男だろう? この島でも数日前から目撃されていたらしいな。確か名前はルードルフ・オイスタッハ。ロタリンギアの殲教師」

 

 身体の中で眷獣達がハッスルしている。というか、落ちつけお前等! 今回は獅子の黄金の出番なのに、無理やり出てこようとするな!

 ゴラァーッ! 全員で一斉に俺から出ようとするんじゃない! 俺が風船みたいに破裂するだろうが!!

 

 俺はなんとか平静を装いつつ眷獣たちを押さえながら、殲教師と会話をする。

 

「そこまで知っていますか」

「ああ、というわけで、今日はこの辺にしないか?」

「む?」

「先輩!?」

 

 俺はアスタルテに牽制する為の威圧を飛ばしながら、殲教師に問いかけた。

 姫柊も一度、黙っていろと睨んでおく。

 

「ここでこれ以上戦えばアイランド・ガードが来るぞ。更に言えば“空隙の魔女”も此方へそろそろ到着する。彼女は捕縛のプロでもある。俺達二人に合わせて彼女たちも相手にして勝てると思っているのか?」

「……いいでしょう。アスタルテ引きますよ」

「命令受託」

 

 姫柊が動こうとしたが、マカライトインパクトをイベントリに素早く戻した俺が、引いていく二人に対しておそらく反射的にだろうが攻撃しようとした姫柊を後ろからしっかりと抱きしめて動けないようにした。

 

「ちょ、先輩何を!」

「ここで戦っても問題しか起こらない! 姫柊の本来の仕事は殲教師と戦うことじゃない、いい加減に頭を冷やせ!!」

 

 俺の怒鳴り声に驚いたのか、一瞬ビクリと身体を震わせ、姫柊は大人しくなった。

 そして、倒れていた旧き世代に適当な治癒アイテムを使い、問題がないと判断した後に俺達はその場を後にした。

 

 

 後始末は那月ちゃんに任せる!

 

 

 

 

 

翌日の朝。

 

 

「古城君、おはよ。ぇえっと、これはどう言う状況?」

「あ、おはよう。凪沙」

「う、うん。おはよう古城君」

「お、おはようございます、凪沙さん」

 

 殲教師との戦いの後、俺は姫柊と共に家に帰ってきた。

 で、それぞれの家に帰る前に「今日は遅いからやらないが、朝少し早めに起きるように。……説教だ」と言った。俺が本気で怒っているのが分かったのか、しょんぼりとした感じで姫柊は頷き、凪沙が起きてくる三十分前くらいに俺が姫柊の式神に家に来るように伝えたのに応じて家に来たわけだ。

 

 そこから、リビングのフローリングの上に姫柊を正座させて自分の仕事がなんなのかを説いた。

 

 更にあの時、無理に現場に行く必要性が全くなかったこと、ロタリンギアの殲教師に七式突撃降魔機槍を不用意に使ったこと、敵が退こうとしたのに不用意に攻撃しようとしたことなどをしっかりと叱りとばした。

 

 特に七式突撃降魔機槍を不用意に使用したデメリット、術式をコピーされる恐れがあることを伝えると姫柊の顔色は一気に悪くなった。

 

「そろそろニュースでやっているかもしれないな」

 

 俺はそう言いながらテレビをつけると、昨日の倉庫での爆発のことが放送されていた。

 一応、事故扱いになっているけれど。

 

「なんか、凄い事故だねぇ」

「昨日の事件に、姫柊が首を突っ込んだ」

「ええっ?!」

「それで俺が説教している最中だ。すまないが、朝食を頼む。三人分だ」

「あ、うん。分かった。……雪菜ちゃん」

「は、はい」

「お仕事なのは分かるけれど、危ないことしちゃ駄目だよ」

「っ!」

 

 悲しげな表情で凪沙はそう言うと顔を洗う為に洗面所へと向かい、姫柊は俯いた。

 

「既に言ったが、姫柊にもしものことがあったら悲しむ奴等はいる。凪沙も俺も」

「は、はい……」

 

 俺は正座している姫柊に近づき、フローリングに腰を下ろして両手で姫柊の顔を包みこむ。

 

「せ、先輩!?」

「俺は吸血鬼だ。だから、怪我をしても回復するし、怪我の仕方というか、防御の仕方もある意味では姫柊以上に上手い。だから、無茶はするな。いいな?」

「わ、分かりました。け、けれど、先輩だって無茶しちゃだめですよ!」

「安心しろ。頭が吹き飛ばされても大丈夫なように対処はしている」

 

 俺が姫柊を安心させる為にそう言って笑うと、姫柊の顔色は何故か先ほどよりも悪くなった。

 あれ、おかしいな?

 

 

 

 さて、凪沙はチア部のミーティングとかで先に家を出た。

 俺は姫柊と共に学校へ向かう。

 

「しかし、そろそろ本当に考えないといけないな」

「考える、ですか?」

「ああ、第四真祖として完全になる為に、な」

 

 俺がそう言うと、隣を歩いていた姫柊は立ち止まり、表情を強張らせた。

 

「先輩、それは、どう言う意味ですか?」

「姫柊は、俺が吸血鬼としての力をどれくらい制御できているか知っているか?」

「え、ええっと、そう言えば書いていませんでしたね。先輩の仕事や家族構成などは書いていましたけれど、第四真祖としての力がどれほどのものか、と言う部分は推測が多かった気がします」

 

 俺は周りに誰も居無いことを確認して、姫柊に俺の吸血鬼としての現状を教える。

 

「まず、俺は吸血鬼としての再生能力はトップクラスだ。けれど、朝がつまり太陽光が苦手で、生活リズムが夜型になってしまっている。それと臭いのキツイ葱や玉葱、ニンニクなども駄目になったな。少量なら平気だが」

「そ、そうなんですか?」

「ああ、生姜は平気なのは助かったよ。生姜焼きかなり好きだから」

「へ、へー……」

 

 第四真祖の好物の一つが生姜焼きと言われても困るだろう。とりあえず次へ。

 

「後、変身能力は一切ないな。霧にすらなれない」

「霧はともかく、変身能力のある吸血鬼はかなり限られていますけど」

「まあ、そうだけれどね。やはり出来ないと少し劣等感が」

「第四真祖が、他の吸血鬼に劣等感を抱いているなんて、知られたら騒ぎになりそうですね」

「ははは、まあ、そうだろねぇ」

 

 変身能力を持っている吸血鬼はかなり数が少ない。霧になる力の応用らしいけれど、かなり別種の才能が必要らしい。

 眷獣の影響か?

 

「それと吸血行為をしたことがないから、俺の中にいる眷獣達が戦いの度にハッスルして外へ出ようとする」

「え゛!?」

「昨日も実はヤバかったんだよな。もしも姫柊とあのホムンクルスが戦ったりしたら、眷獣が「俺も混ぜて!」っていう感じで周りを吹き飛ばしていた可能性が高い」

「…………」

「だから、不用意に戦わないように。いいな。姫柊」

「は、はい!」

 

俺の言葉に姫柊は冷や汗をかきつつも、ブンブンと頷きながら俺の後を付いてくる。

これで、少しは突撃癖が直れば良いけれど。そう考えながら学校へ向かった。

 

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