暁古城になりました。チート能力付きで   作:迷走中

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第12話

 一時間目の授業が終わった直後に襲いかかってきた嫉妬に狂った男子のクラスメイト達とリアルファイトをしつつ、時が流れていった。

 俺の戦闘力が天元突破しているのはみんな知っているので、遠慮なく襲いかかってくるクラスメイト達。

 一年ほど前から、クラスの男子達が俺を相手に何秒持ちこたえられるかで女子達の間で賭けが行なわれるほどだ。

 

「はぁー、懲りない連中だな」

「アンタが煽るからでしょうが。クレーンゲームでぬいぐるみ取ってやったとかさ」

「あははは、真夜中デートとか羨まし、けしからんとか言って毎回同じこと言うからちょっとね」

「……でも、ぬいぐるみ取ったんだ」

 

 浅葱のボソッと呟かれた言葉に、俺は少し心が痛くなったので浅葱を今度遊びに誘うことにした。

 

「今立てこんでいるから無理だけど、今度どこか遊びに行くか?」

「え?」

「キーストーンゲートで、ケーキバイキングやっているだろう?」

「いいの?」

「ああ、いいぞ。浅葱には世話になっているしな。行かないか?」

「い、行く!」

「なら、決まりだな」

 

 嬉しそうにスマホでスケジュールを確認している浅葱を横目に、俺は即座に築島に視線を送った。

 

 築島さん、これでよろしいでしょうか?

 ――うむ。

 

 築島は俺が第四真祖だということを知っている。

 彼女は浅葱を大事な友人と思っているので、俺が浅葱を泣かせるようなら問答無用で俺が第四真祖だということを世間に公表する。と明言している。

 なので、浅葱を傷つけないように原作以上に気をつけなければならない。

 

 後、学校での生活で築島にはかなりお世話になっている。

 原作始まる前からちょこちょこと、一般人の噂話とかを集めてもらっているのだ。女子のネットワークって凄いのな。

 偶に情報屋も知らない情報を持っている時もあるから結構侮れない。

 

「っと、昼は姫柊とたぶん那月ちゃんと食べるから、矢瀬達は」

「ん、じゃあ俺は今日は先輩のところ行くわ」

「なら、浅葱。私達は学食に行きましょう」

「ええ、分かったわ」

 

 こうして、俺は昼休みに姫柊と共に那月ちゃんの元へ向かった。

 

 

 

 生徒指導室に入ると、那月ちゃんは既に持って来ていたアンティークのソファに座っていた。

 

「来たか」

「これ、昨日のお詫びのケーキと茶葉」

「ほぉ……よこせ」

 

 俺は先手を打って、昨日のお詫びとして手作りのチーズケーキ(特性ブルーベリーソース付き)と那月ちゃんが好きな銘柄の一つの茶葉を贈った。

 

「まあ、昨日の件は良いだろう。そこまで面倒ではなかったしな」

「なら良かった」

「……それで、貴様が岬のクラスに入ってきた転校生か」

「は、はい。中等部三年の姫柊です」

「余計な揉め事を起こさないのなら、歓迎はしてやろう」

 

 ……俺への好感度が高い御蔭で、姫柊への好感度が地味にマイナスになってないか? ちょっとむくれている様な気がするぞ。ポーカーフェイスで分かり辛いけれど。

 

「さて、本題入ろう。昨日、アイランド・イーストで派手な事故があったが……何があった?」

「ノーコメント」

「せ、先輩!?」

「…………古城」

 

 あ、ヤバイ。暁ではなく、古城と呼んだ。

 かなり怒ってらっしゃる。けれど、原作が開始された以上。大人しくしてもらう。

 

「俺が信じられないか、那月」

「――っ!?」

「せ、先輩!?」

 

 無駄に良い声とキリッとした表情で那月ちゃんに問いかける。

 姫柊は驚いた顔をしている。凪沙曰く「古城君ってさ、まじめな時だと大人の男性の表情と声になるからビックリするよ」とのこと。

 結構、女性陣に好評だ。

 

「…………はぁ、何をするつもりだ?」

「歩み出すつもりだ。止まった時を動かす時が来たらしいからな」

 

 それっぽいことを言って、那月ちゃんを納得させる。

 というか、中二か! 俺は。

 あ、存在自体が中二っぽい設定だったな。ははは! はぁ……。

 

 ちなみに、那月ちゃんも結構中二っぽい言い回しが好きらしい。本人はそういうセリフは言わないけれど。

 

 ちょっと中二臭いシルバーネックレスとかプレゼントすると地味に喜ぶ。

 言わないよな? うん、言わないな。姿形が中二っぽいけれど。

 ディスってないよ! 那月ちゃんをディスってないからね!

 

「分かった。だがな、古城。忘れるなよ」

「何を?」

「お前は、いや、お前も私の大事な生徒だということを、だ。……あまり妹に心配をかけるなよ」

「ははっ、当然だよ。大丈夫だ。信じてくれ」

 

 この後、三人で昼食をとった。

 レアチーズケーキはかなり好評で、今度また持って来いと那月ちゃんに催促された。

 姫柊は、無心でレアチーズケーキを食べていた。

 途中で、俺と那月ちゃんが微笑ましそうに姫柊が食べている姿を見ていることに気づき、顔を真っ赤にしていた。


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