暁古城になりました。チート能力付きで   作:迷走中

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束の間の平穏 姫柊雪菜①

キーストーンゲート襲撃事件の翌日、姫柊雪菜は自宅のリビングで朝食の準備をしていた。

前日の夜。監視対象の第四真祖、暁古城から「今回の事件のことを獅子王機関の三聖に報告するから、監視は休み」と言われた。雪菜は「監視と報告は、わたしの仕事です!」と古城に反論したが、その直後に自室のチャイムが鳴り、獅子王機関からしばらく体を休めるようにと命令書が届いた。そのため大人しく自宅で待機することにしたのである。

 

その後、古城が家に戻るときに「明日は凪沙も部活で朝早いから、朝食は一人で食べてくれ」と告げた為、古城の家で朝食を食べることに慣れはじめていた雪菜は少し寂しいと思いながら作った朝食をリビングのテーブルの上に置く。

 

とはいえ、久しぶりにする一人での食事だ。

雪菜は冷蔵庫から備蓄しているマヨネーズを取り出し、今作ったばかりの朝食にマヨネーズをたっぷりと、たっぷりとのせていく。

過去に友人達に引かれてからは人前でやらないようにしていたのだが、久しぶりに思いきりマヨネーズを食事にかけられるとあって、雪菜はちょっと興奮気味だ。

 

「い、いただきます」

 

本日のメニューは和食。日本人らしい白米、焼き鮭、納豆、味噌汁、ほうれん草のおひたし、卵焼きだ。

 

その全てに、山盛りのマヨネーズがのせられていて色々台無しになっているが、雪菜は気にせず朝食を頬張っていく。

 

オカズを食べる(マヨネーズたっぷり)。ご飯を食べる(マヨネーズたっぷり)。

 

「し、幸せ・・・・・・」

 

ここ最近我慢していたせいで、雪菜は感動していた。

 

「ごはんのおかわりを」

 

攻魔師でもあるため運動量が多い雪菜は、一般的な同世代の少女たちに比べて食べる量は多い。

お茶碗にご飯を多めに盛り付けて、さらにマヨネーズを投下する。ご飯が見えなくなり、食事を再開しようとしたところで、自分の家の鍵が開いた音がした。

 

「・・・・・・え?」

 

久しぶりのマヨネーズに浮かれて周囲への警戒が疎かになり、家の鍵が開けられることに気づくのが遅れた。

雪菜は未熟でも攻魔師。普段なら、余程の手練れでもなければ鍵が開けられる前に人の気配に気づけたはずだった。

 

しかも、この気配は、せ、先輩!?

 

そう思ったときには遅かった。

 

「姫柊、起きているか? 喜べ、今回の一件で多少だけど姫柊の月給が上がっ・・・・・・た、ぞ・・・・・・」

 

書類が入っていると思われるA4サイズの白い封筒を掲げてリビングに入ってきた古城が見たものは、限度を超えたマヨネーズを朝食にのせ、それを嬉しそうに食べている後輩の姿だった。

 

ちなみに、この時の雪菜の頬には、ょっぴりマヨネーズが付いていたのだが、朝食の上にのっているマヨネーズの量が多すぎた為、流石の古城も「付いてるぞ」など言って拭ってあげることができなかった。

 

「ひ、姫柊」

「は、はい。先輩」

 

見ているだけで胸焼け起こした古城と、見られたくないものを見られて青ざめる雪菜。

そして、古城が判決を下した。

 

「これから、姫柊のマヨネーズは俺が管理する」

「ええっ、先輩!」

 

古城はそれだけ言うとテーブルに置いてあったマヨネーズをイベントリに放り込み、迷わずキッチンへ進む。

慌てる雪菜を放置して冷蔵庫を開け、凍りつく。

 

「何で、マヨネーズだけで冷蔵庫の八割が埋まっているんだよ! しかも、色々メーカーがあるし!!」

「お願いです、待ってください! 先輩!」

「面倒くさいから、冷蔵庫ごと預かる!!」

「や、止めてください!」

 

こうして、この日から雪菜の一食に使えるマヨネーズの量は大匙一杯となった。

 

「せ、せめて大匙三杯に!」

「姫柊、せめてそのパーティーグッズ用のお玉の半分くらいの大きさのプラスチック・スプーンを隠してから言いに来なさい」

 

どこで買ってきたんだ? と呆れる古城と必死の雪菜。

結局、カロリー五割減のマヨネーズなら、大きめのカレースプーン三杯でも良いと許可をもぎ取った雪菜だったが、一杯が山盛りになるように手首のスナップを効かせてのせたことで、古城の怒りを買ってしまった。

結果、雪菜はマヨネーズに近づくこともできなくなった。

 

「・・・・・・物足りないです」

「泣くなよ! 十分多いだろうが!!」

 

だが、最終的には、落ち込んでいる雪菜の姿に根負けした古城が「週に一度なら」と条件をつけてたっぷりとマヨネーズを食べても良いということになった。

 

 

 

 

 

 

「狂気だな、この量」

「おいしいです。あ、先輩も食べますか?」

「いや、いい」

 

あーんのチャンスではあったが、古城は即座に首を横に振った。

 

 

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