昨夜は那月ちゃんがドカンドカンテロリストを叩きのめし、ヴァトラーと煌坂が島にやって来た。
そんな中、俺は今後のことを考えていてなかなか寝付けなかった。
戦王領域からの使者として、危険な玩具を持ってヴァトラーが来る。
出来るなら「来ないで下さい」と言いたいが、言っても意味はないだろう。
仮に島から逃げ出しても、文字通り蛇のように追いかけて来るはずだ。
なら、この島で原作にそいながら、ナラクヴェーラを破壊した方が良い。
それと、もう一つの懸念は姫柊のルームメイトの煌坂紗矢華だ。
彼女と俺は幼いころに会っている。
少しでも、男性恐怖症を緩和するために介入したのだが……
「んぁっ、もう朝か」
結局俺はなかなか寝付くことができず、寝不足になった。
そして、寝ぼけながら何時ものように凪沙を部屋に起こしに向かい、テーブルに置かれている四人分の朝食に気づかずにいつものように凪沙の部屋の扉を開けてしまった。
「凪沙、起きてるか?」
目を擦りながら部屋の中を確認すると、そこにいたのはベッドに腰を降ろした妹の凪沙と、
「せ、先輩!?」
「お、お兄さんっ」
立っている下着姿の姫柊と叶瀬がいた。
姫柊は白いスポーツブラかな?
叶瀬はちょっと高級感のある青い上下の下着だった。
部屋の時が止まるが、それも一瞬。
「二人とも、綺麗だ」
俺の思わず出た言葉が聞こえたのだろう。
姫柊と叶瀬は顔を紅くした。
あ、これって回し蹴りイベントか! 思い出し即座に俺は逃げようとして。
「こ、古城くん、なにやってんの!?」
「す、すまっ!?」
凪沙のその言葉が引き金になり、姫柊が反射的に動いた。
本人もあって顔をしていたが止まらない。
両腕で胸を隠し、音もなく旋回した姫柊は、そのま、俺に原作通りに後ろ回し蹴りを繰り出してきた。が……
「なんのっ!」
「ええっ、そんな!?」
反射的に姫柊の後ろ回し蹴りを右手で掴んで防御しようとした。
だが、俺は自分の身体の現状を忘れていた。
寝不足なうえ、寝起きで身体に思うように力が入らないことに。
その結果、悲劇が起きた。
姫柊の回転する力と俺の回し蹴りを受け止める力は、姫柊の回転する力の方が僅かに強かった。
姫柊の勢いに引っ張られ、俺はバランスを崩す。
姫柊の踵を掴んだまま、身体が持って行かれる。
姫柊も片足を上げている状態で、俺に踵を引っ張られバランスを崩し。
「どわっ」
「きゃっ」
どうして、そうなったか分からないが。
「いったー、ん? 柔らかい? てか、何故視界が暗い?」
「せ、先輩!! 喋らないでっ」
「はっ? ケボッ、埃か? 鼻に、って、姫柊どこだ?」
俺はうつ伏せで倒れたようで、どうにか、顔を上げている と、目の前は真っ白だった。
文字通りの意味で。
「せ、先輩…………」
目の前に広がる▽の布地。その北側に広がる肌色の草原。
泣きそうな顔で俺を見詰めている姫柊。
俺は同じくうつ伏せに倒れた姫柊の股の間にダイブしたようだ。
「こーじょーうーくーん……」
頭上から聞こえてくる地獄の底から聞こえてきそうな、愛する妹の声。
俺はとりあえず、妹に話し合いを持ちかけた。
「あー、凪沙。俺には弁護士を雇う権利が」
「あると思うの?」
「はい、すみません」
俺が最後に見た光景は、制服姿の妹が高く右足を掲げて俺に踵落としを叩き込むところだ。
第四真祖でも当たり処次第で、一般の女子中学生の一撃で気絶するんだな。
ラッキースケベ主人公をあそこまで綺麗にかける、あの漫画家の先生はすごいですよね。
尊敬します。
姫柊は白。叶瀬は薄い青。凪沙はピンク。
何がとは言いませんが