姫柊の歓迎会をした翌朝、俺と姫柊は二人で学校へ向かっていた。
姫柊が絃神島へ到着した昨日に始業式があったが、姫柊が絃神島に着いたのは午後で残念ながら新しいクラスメイト達とは顔を合わせてない。
今日が学校へ初登校だ。
本来なら夏休み中に手続きを終える筈だったが、色々と調整に時間がかかったようだ。
具体的な原因は、もう一人の監視役候補の方が都合が良いと考えた政治家がごねたからだ。
そういえばそんな奴いたな、ともう一人の監視役候補と電話していて思い出した。
「今日も良い天気だ」
「・・・・・・そうですね」
俺の言葉に、隣から相づちが返される。
できれば凪沙が居てほしかったが、凪沙はチア部の朝練で朝早くに家を出た。
二人で仲良く学校へ登校したいと思っていたのだが、姫柊が不機嫌だ。
その理由は分かっている。昨日の夜、俺が一時的にとはいえ、監視の式神からの映像と音を遮断したからだ。
姫柊は俺の部屋へ乗り込むか悩んだそうだ。
けれど、乗り込むと決める前に式神からの映像と音が回復したので俺の部屋へ乗り込むのは止めたらしい。
ま、夜に俺の部屋に姫柊が乗り込んできたら、ちょっとお仕置きするつもりだった。
お仕置きの内容? 子供の躾と言えば、お尻ペンペンだろう。
中学生にするお仕置きとしてどうかと思うけれど、夜に部屋に乗り込まれるのは流石に困る。
いくら本編のメインヒロインで会っても、出会ったばかりの女の子だ。
あまり良い気分ではない。あとは健全な男子高校生としても、遠慮してほしい。
「姫柊、ずっとその調子でいるのか?」
「・・・・・・」
「機嫌を直してくれないか? 俺だって、友人と電話する時は、女の子に聞かれたくない話くらいはするさ」
「・・・・・・聞かれたくない話?」
「かわいい女の子について」
あ、ゴミを見るような目で姫柊が俺を見はじめた。
我々の業界ではご褒美です。もっと見て、蔑んだ目で俺を見て! とか言ってやろうかと思ったけど、流石に止めておいた。
女子中学生には刺激が強いだろう。
それにやり過ぎると冗談抜きで嫌われる。それは避けたい。いろいろな意味で。
原作をブレイクしていくにしても、ラスボスとの戦いのために眷獣の掌握は必須だ。
遊戯王の「トゥーンはトゥーンでしか倒せない」みたいに、ラスボスは眷獣でしか倒せない。とか言われても困るし。
「最低ですね」
「かわいい女の子について話していただけなのに、酷くない?」
即座に切り捨てられた。男子高校生の大半はこんな感じだよ?
「・・・・・・具体的には、どんな話をしていたんですか?」
「そうだな、赤系のパステルカラーのパンチラが素敵だという話だな」
俺がそういった瞬間、姫柊はバッと両手で、スカートを押さえながら俺から距離を取る。
姫柊のその行動で、俺は姫柊が今日履いているパンツの色を察した。
「い、いつの間に見たんですか?!」
「いや、見てないぞ」
「う、嘘です。でなければ、分かるはずが」
俺はどうしたものか。と考えていると、居心地が悪くなったのか、姫柊はスカートを押さえながら歩きだした。
まだまだ、俺への姫柊の好感度は低いなと思った。
それと、原作では今日が姫柊がナンパされて暴れる日だと分かった。
ただ、姫柊の合流は原作とは違う。
街の監視をしっかりやりながら、原作はやはり目安程度に考えよう。
「姫柊、あまり先に行くな。通勤時間帯でも女子中学生が一人で歩いていると、面倒事に巻き込まれるぞ」
「・・・・・・」
俺が歩く速度を上げて姫柊に追い付くと、姫柊は立ち止まって、俺の見ながらこう言った。
「先輩が先に階段を登って下さい」
「あぁー、うん分かった・・・・・・」
姫柊が立ち止まった理由は、ちょうど駅への階段の前だったからのようだ。
姫柊からの俺への信頼度はかなり下がっているようだ。
仕方がない。あとで姫柊には、原作が始まったときのためにと集めておいたねこまたんグッズをちょっとずつプレゼントしていこう。
あ、でも、まずは原作通りにクレーンゲームのねこまたんのぬいぐるみからにするか。
「だが姫柊、先に言っておくが」
「何でしょうか?」
「パンツ見られたくないなら、その可愛いスカートをもう少し長くしなさい」
俺が父親のような視線を姫柊に送りながらそう言うと、姫柊は困った顔をしながら俺に言った。
「このスカートは、この長さが最大値です」
「・・・・・・え?」
俺はその言葉を聞いて、空を仰いだ。
今日もジリジリと太陽がうっとおしいな。
「今日中に学園の偉い奴等にクレーム入れてスカート長くさせるから安心しろ」
「い、いえ、そこまでしなくていいですから」
「いや、気にするな。道理でウチの学校の女子生徒はスカートが長い奴が一人もいないと思ったら、あのスケベ親父共が!!」
凪沙のスカートも短いから何度か注意しようかと思ったものだ。女の子のオシャレに口を出すのはどうなんだろうと思って、遠慮していたのが間違いだった。
一時期、盗撮被害が多いと騒ぎになった。何故その時にスカートの丈の長さを増やさなかったのか、訳が分からない。
ああ、ダメだ。ちょと魔力が溢れ出そう。
「あ、あの先輩、気をつければ大丈夫ですから、クレームは入れなくても」
「止めるな姫柊!」
姫柊が少し慌てた感じで、俺の右手を掴んでくるが、今それどころではない。
姫柊と凪沙のパンツがこれからも危機に晒される。
そう思ったら、俺は獣のような唸り声を出しながらこう叫んでいた。
「ここから先は、第四真祖の戦争だ」
「いいえ、先輩。そのセリフはここで言うべきセリフではない気がします! 」
姫柊が必死で俺を止めるために腕に抱き付いてきた。
おお、良い匂いと感触だ。
一瞬とはいえ怒りが収まったが、どの道スカートの丈はもっと長くしないと危ない。
というわけで、俺は気を取り直して歩き出す。
「待ってろよ。スケベ親父共」
「きゃっ、先輩待ってください。て、先輩の体から膨大な魔力と雷光が?! こ、これが第四真祖の力。回りに人がいないからって、こ、こんなところで、第四真祖の力を出さないでください先輩ぃーっ!!」
このあと、スケベオヤジ共の所へ殴り込みに行こうとしたら、ちょうど通りかかった浅葱が騒いでいる俺を見つけて、俺がプレゼントしたメダロットのメタビーにリボルバーで俺の頭部を狙撃させ、その
それから、俺と姫柊、浅葱の三人で学校へ登校することになり、その道中で俺は姫柊を紹介した。
原作だと浅葱の姫柊への視線は最初あまりよくないが、今のところは普通に感じる。
ただ、浅葱の俺への視線は、どこか冷たいものがあった。
「聖女に続けてまた年下。やっぱり古城ってロリコンなのかな?」
俺が定期で改札に入った時、周りの雑音で聞こえなかったが、浅葱が何か小声で呟いていたのは分かった。
うん、ある程度予想はついているから言っておくけど、俺はロリコンではありません。
転生して、魂の年齢はオッサンだけど、違うからね!
次こそ、那月ちゃんです