暁古城になりました。チート能力付きで   作:迷走中

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那月ちゃんファンの人はご注意を、この那月ちゃんは、古城に既にデレている那月ちゃんです。


お茶会(微修正

「古城って、顔が広いわよね」

「ん、なんだよ。突然」

 

学校の正門で姫柊と別れた後、俺と浅葱の二人で廊下を歩いていると浅葱がそんなことを言い出した。

 

「姫柊って子のことよ。古城って色々な知り合いがいるでしょう? やっぱり、社長だから人脈作っているのかしら」

「そんな大層なことをしているわけではないよ。それに俺の場合は社長だけど、実質副社長が経営の中心だ。俺は研究者兼現場監督かな」

「会社乗っ取られないの?」

「乗っ取れると思うか?」

「あー、無理ね。物理的な意味で」

 

浅葱は微妙に勘違いしているが、ウチの会社の副社長は矢瀬のお兄さんの紹介で雇った人物だ。

彼は俺が第四真祖だと知っている上に、父親が重い病で危なかったところを俺に助けられている。そんなこともあって、彼の性格上裏切る可能性はかなり低い。

なにより、第四真祖になる前からの付き合いであり、第四真祖になっても「ああ、そうですか」の一言で終わらせるくらいには親しい間柄だ。

 

「しかし、今日も日差しが強いな」

「そうね、古城に貰ったアミュレットがなかったらもっと日焼けに気を付けないといけなかったわね」

 

もう少しで教室だったのだが、日差しが強くて思わず眉を潜めてしまう俺。

浅葱は俺が作った吸血鬼用の対太陽光アミュレットを撫でる。

このアミュレット、実はウチの会社で販売しようとしたのだが、高性能すぎて那月ちゃんからストップがかかった。

一般的な平和主義な吸血鬼の為に販売したかったが、安全を考慮した結果販売を断念した。

 

正直、第四真祖になってから今まで、デメリットの方が多い。

 

その一つは体が本能的に夜型になってしまったことだ。

俺は今一応は農家だ。

早寝早起きが基本だが、夜はなかなか寝付けない。

更にチート能力のおかげで、状態異常には直ぐに耐性がついてしまう。

不眠症の為に睡眠薬を服用したら、効果があったのは一度だけで、それ以降は効果がなかった。

 

霧になれない(攻撃回避、高速移動など)。吸血鬼系の弱点が出来た。日差しに弱い。戦いの気配を感じるとハッスルする眷獣(制御不可)達。

 

アヴローラが目覚めたら、これを返せないかな。

って、ああ、ごめん嘘です。暴れようとしないでくれ!

 

「古城?」

「いや、何でもない」

「そう? やっぱり日差しが強いみたいね。汗かいているわ」

「ああ、そうだな」

 

俺はイベントリからハンカチを取り出して、汗を拭った。

よし、眷獣達も落ち着いたし、教室へ行こう。

 

「おはようー」

「おはよーっす」

 

二人で教室に入り、教室の入り口で挨拶すると「おはよう、浅葱。社長」「社長おいーっす」「社長さん、おはよう」と挨拶を返された。

 

ああ、すっかり社長扱いだ。ちょっと寂しい。

俺は軽く個別に挨拶を返しながら、教室の一番後ろの窓際の席に座り、浅葱は俺の前の席に座った。

 

「おはようさん、お二人さん。今日も仲良くご登校だな」

「おっす、矢瀬」

「はぁー、おはよう。基樹」

「なんだよう、浅葱。二人の時間を邪魔されたからって、溜め息つくなよ」

「なっ、そんなんじゃないわよ!」

 

早速二人のじゃれあいが始まったので、俺はしばらく見守っていると、矢瀬が俺に話を振ってきた。

 

「あ、そういやぁ、中等部に転校生がきたらしいぞ」

「あ、その子は俺が面倒を見ることになった子だ。知り合いの攻魔官のお弟子さんなんだよ」

「へー、そうなんだ。可愛いの?」

「ちょっかいかける奴は俺がおろし金で擦り下ろすつもりだ」

「怖えぇよ、お前!」

 

イベントリからおろし金を取り出して見せたが、流石にここ数年みんなの前でどこからともなく本とか紅茶とかを取り出していたため、もう驚かれなくなった。

みんなは俺が那月ちゃんの弟子みたいなものだと思っているので、空間制御の術式で物を取り出していると思っているようだ。

 

最初はみんな驚いていたが、今では俺ならそれくらいするだろう。という空気になっている。

中等部時代、冬に教室の後ろで畳とコタツ、ストーブを取り出して、みんなに感謝されていた。

ま、そのままコタツに入ったまま授業を受けようとして当時の担任に頭を叩かれたりもしたが、そういう非常識なことを、さも当然のように、普通に行ってきた結果。

俺が少し奇行に走っても、怪しまれない土台を作った。

いつか俺が第四真祖だと分かったときに、みんなを必要以上に怖がらせないための布石だ。

うまくいくと良いのだが。

 

「こっちは、預かっている側だ。それくらいするさ」

「おいおい、やり過ぎるなよ。また凪沙ちゃんに口を利いてもらえなくなるぞ」

「うぐっ、止めろ。思い出させるな。あの地獄の日々を」

 

第四真祖なって、一月くらい経ったときだ。

凪沙に告白した男子がいた。

偶然、その場を目撃した俺はシスコンを暴走させ、波朧院フェスタ用に作っていた、リアルなネメシススーツ(バイオハザード3の追跡者)の格好に着替え、凪沙に告白した男子生徒を追い回した。

怒りのままに。

 

その結果、あまりにもリアルに作り過ぎたため、学校の外へ逃げた男子生徒を追いかけている俺の姿を見た街の人たちが、アイランド・ガードに「生物兵器みたいなのが人を襲っている」と通報してしまった。

 

俺も途中でヤバイと思ったが、全力でアイランド・ガードと戦うのはヤバイと思って、肉弾戦のみでアイランド・ガードと派手に戦った。

 

途中で那月ちゃんが参戦してきたので、全力で逃げて最後はどこでもドアで逃げ切った。

 

那月ちゃんには関与を疑われたが(魔力は使ってないので、怪しまれただけ)、シラをきり通した。

 

そしたら、数日後に俺が暴れたせいで怪しい企業に抜き打ちのチェックが行われ、ある製薬会社が本当にウィルス流失をやらかしていたため、那月ちゃんから俺は完全には疑われずにすんだ。

ま、犯人だけど。

 

だが、ホッしたのもつかの間、凪沙には俺だと動きでバレていて、二週間近く俺を無視。更に口をきいてくれなくて、ガチ泣きした。

あそこまで、凪沙が怒ったのは初めてで、俺はひたすらオロオロするだけだった。

 

「とりあえず、矢瀬の方で後輩たちに姫柊にちょっかいをかけたら危ないと噂を流しておいてくれ」

「あー、分かった。けど、大丈夫じゃないか? 聖女ちゃんファンクラブや浅葱ファンクラブみたいなのが、すぐに出来るだろう」

「ああ、あれは酷い事件だったね」

「ちょ、止めてよ。その名前を出さないでくれる」

 

矢瀬が浅葱の古傷を軽く抉ると即座に顔をしかめる浅葱。

中学時代、俺は浅葱と賭けをして勝ち、文化祭で浅葱にボーイッシュなアイドル風に歌わせたことがあった。

バンドは俺と矢瀬など、同じクラスの男子達だ。

 

ノリと勢いだけで始めたが、全員かなり楽しんで練習をして好評だった。

その結果、浅葱にファンクラブが出来た。

ちなみに、現在も浅葱ファンクラブは活動している。

 

あ、そろそろホームルームだ。

 

「そろそろ那月ちゃんが来るから席に戻れ」

「お、マジか。じゃあな古城、浅葱」

 

那月ちゃんが来たのはそれからすぐだった。

ついに始まった。今までみたいな準備期間ではない。

原作が本格的に動き出したのだ。

 

「全員、席に着いているな」

 

担任の教師、南宮那月。もとい、那月ちゃんが教室に入ってくる。

どうみても小学生高学年、もしくは中学一年生の容姿だ。

 

「那月ちゃん、おはよう!」

「っ、教師をちゃん付けで呼ぶな、馬鹿者が」

「おっと」

 

声をかけると俺と那月ちゃんの目が合う。少しだけ頬を赤らめつつ、那月ちゃんは即座に空間制御の術式を使い、右手で持っていた扇で俺の後頭部を狙う。

しかし、俺はその動きを予測していたので、しっかりと教科書でガードする。

 

「ふ、ふん。出席を取るぞ」

 

俺に一撃を入れられずに、ちょっと不機嫌モードで出席を取り始める那月ちゃん。

ふと、前の席から視線を感じたので目を向けると浅葱が面白く無さそうな顔をしていた。

 

「ロリコン」

「待て、なんでそんな罵倒をされないといけない」

「ふん!」

 

浅葱の不機嫌は昼休み、俺が浅葱のために作ってきた特製弁当を食べるまで続いた。

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

放課後になった。

俺は那月ちゃんの執務室へ補習(素で英語が苦手)を受けに行く前に、原作のことをまとめたノートをチェックしていた。

イベントリ、アイテムボックスと呼ばれるチート能力から取り出したこの一冊の古びたノートは、俺の意識がハッキリとなり、文字を書けるようになって直ぐに書き留めたメモやノートを編集したものだ。

 

時間と共に原作の細かい知識がなくなることを恐れた俺は小さい頃から必死に原作の知識をまとめたのだ。

 

「うん? 姫柊が合流するの夏休みの最後の三日間くらいの時期じゃん」

 

あっれー? とは思ったが、なってしまったのしょうがない。

ああ、そうか。俺が滅教師を二度とシャバに戻さないようにするために、色々と工作したから、その影響もあって、姫柊の合流が遅れたのか。

ま、いいや。大事なのはこれからだ。

 

「結果的に、姫柊も滅教師も同時期に来たから問題ない」

 

これでどちらか片方だけしか来なかったら目も当てられない。

危険人物を排除するチャンスがなくなるし、仲良くなるチャンスや血を吸うチャンスもなくなる。

 

「ま、今回は修正力に感謝かな」

 

修正力は厄介だ。

とっさの出来事が起こった時、普段なら冷静に対処できるタイミングでも、原作と似たような行動をとってしまう。

修正力の影響で、俺は第四真祖になってしまったし。

ま、今度こそ好きにやらせてもらうけど。

 

 

「那月ちゃん、いるか?」

「こ、古城か? ああ、いるぞ。って、だから教師にちゃんづけをするな!」

 

那月ちゃんの執務室にノックもせずに入る。

本来なら、そんなことをすれば那月ちゃんからお仕置きされてしまうが、この島に来てから頑張って那月ちゃんにプレゼント攻勢をした結果、これくらいは大丈夫な間柄になった。

 

「おおっ、やっぱりその格好似合っているよ」

「お、お世辞は言うな。この年でこんな格好は似合わないことは分かっている」

 

執務室へ入ると、俺は素早くドアを閉める。

出迎えてくれた那月ちゃんはゴスロリ姿ではなかった。

そう、俺はこの数年間で、本来なら殺されてもおかしくないようなお願いを聞いてもらえるくらい、那月ちゃんと仲良くなった。

 

・・・・・・好感度の計算ミスったことに気づいたときは血の気が引いたけど、今の那月ちゃんの俺への好感度はそれくらい高い。

うん、原作開始から那月ちゃんが俺にデレている状態だ。

 

「そんなことないよ。すごく似合っているよ。そのプラウダ高校、カチューシャのコスプレ。すごく可愛いよ」

「く、大人に可愛いなどと言うな、馬鹿者が・・・・・・」

 

那月ちゃんは、気恥ずかしそうに俺から顔を背けた。

そんな那月ちゃんを見て、俺は那月ちゃんが探していた茶葉をイベントリから取り出して那月ちゃんに手渡した。

 

「はい、これ欲しがっていた茶葉ね」

「これは、良く手に入ったな」

「知り合いの料理人の方にちょっとね」

 

なぜ、那月ちゃんがコスプレをしているか疑問に思うだろう。

那月ちゃんは意外とサブカルチャー寛容だった。

とある日、俺は那月ちゃんに用があって執務室にきたが、少し到着が遅れるというメモを見つけたので、暇潰しにこの世界にあるゴスロリ系漫画を読んで待っていた。そこに帰ってきた那月ちゃんが、その本に興味を持ったのだ。

そこから、好感度をあげながらオタに目覚めさせ、那月ちゃんの前でコスプレの話題を出す度に「那月ちゃんはコスプレが似合う」と半ば洗脳のように言い続け、満更でもなくなったタイミングで頼んだのだ。最初は土下座して頼んだ。

 

最初はドン引きしていたが、それから徐々に抵抗感をなくさせて、今ではゴスロリキャラ以外のコスプレもするようになった。

 

ただ、流石にイベントなどには参加せず、二人きりの時に着て見せてくれているだけだ。

機嫌が良いとポーズをとってセリフを言ってくれたりもする。

 

「ところで、古城。今この部屋に入ってくる前に変な虫が飛んでいたから叩き落としたが、あれはなんだ?」

「あ、それについて伝えておくことがあるんだ」

「話せ、今度は何をした」

 

那月ちゃんは少し疲れた表情で、俺に自分が座っているソファの向かい側にあるソファに座るように促す。

 

相変わらず、豪華なソファだな。と思いながら、

俺はある程度事情を知っているであろう那月ちゃんに、改めて現状を説明した。

 

「というわけで、第四真祖を監視するために獅子王機関から姫柊雪菜という少女が監視役として送られてきました。それと三聖が悪のりして、姫柊雪菜は俺の婚約者候補となっています」

 

俺がざっくり説明すると、那月ちゃんの表情が一変した。

 

 

 

 

 

「・・・・・・」(<●>)(<●>)

 

 

「怖っ!那月ちゃん、止めて。そのおめめメッチャ怖いから!」

「あの小娘共、随分と面白いことを言ったな」(<●>)(<●>)

「落ち着いて、那月ちゃん。まずはハイライトを元に戻して!」

 

俺の言葉に那月ちゃんは既に入れていた紅茶を一口飲み、目を閉じてゆっくりと深呼吸をしてから目を開いた。

 

良かった。ハイライトが仕事をしている。

 

「しかし、嫌な名前を聞いた」

「あー、やっぱり? あそこって那月ちゃんの商売敵だったね」

「・・・・・・その商売敵と教え子の仲が良いのも問題かと思っている。教師として多少強引にでも距離をとらせるべきかな?」

「ごめんなさい。簀巻きは嫌です。だから、その手錠と鎖を仕舞ってください!」

 

俺が慌てて降参のポーズを取ると、那月ちゃんは溜め息をついて俺に真面目な表情でこう言った。

 

「奴等は第四真祖でも、容赦なく殺しに来るぞ」

「あ、それは大丈夫。いざとなったら、獅子王機関の幹部達の割と洒落にならない弱味を盾にしながら全力で戦うから」

 

俺の言葉に、那月ちゃんは滅多に見れない絶句した表情を俺に見せてくれた。

うん、可愛いね。

那月ちゃんは苦い顔をしながら、俺に問いかけてきた。

 

「古城、貴様。何をした?」

「ショタコンお姉さんが、ショタ達と健全に戯れている映像とかを持っているだけですよ。ただ、お姉さんの表情がヤバいですけど」

「分かった。もう良いそれ以上は言うな」

 

那月ちゃんは、疲れた表情でそう言った。

弱味を握るくらい大したことはない。過去にやらかしたことを考えればおとなしい方だ。

 

「まあ、良い。お前の現状は分かった。とりあえず、お前の分の紅茶を入れてやる。それが終わったら補習を始めるぞ。まったく、経営している会社が順調に業績を伸ばしているのだから、成績の方も伸ばしてほしいものだな」

「あははは、それについては本当にごめん」

「ま、サボりではなく、本当に分からないのだから仕方がない。最後まで面倒を見てやろう。感謝しろ」

 

那月ちゃんの声色はどこか嬉そうだったけど、俺はそれには触れない。

二人きりの時間だしね。

 

「ありがとう、那月ちゃん」

「だから、教師をちゃん付けで呼ぶな」

「あだっ」

 

那月ちゃんに叩かれた頭をさする。

ちょっと頬が赤い那月ちゃん。これは遠回しにプライベートの時は那月ちゃんと呼んでも良いということなのではないか? と解釈しておく。

それと、前に補習中は教師として敬え、と言っていた。

つまり、今は教師として那月ちゃんは振る舞わないといけない。

 

だけど、那月ちゃん。

今、プラウダ高校の制服のままだけど、着替えなくて良いの?

そう思ったけど、後で写真を撮るためにあえて言わないでおいた。

 

ちなみに、姫柊は今、凪沙と叶瀬の三人で日曜雑貨を買いに行っている。

当人は近くで俺の監視をしたかっただろうけれど、俺が先手を打って凪沙に「たぶん、こっちに来たばかりで色々足りないはずだ。けど、姫柊の性格上俺達に遠慮して言い出し辛いと思うから、少し強引にでも街を案内してやれ」と朝練に行く凪沙に言っておいたのだ。

 

そして、放課後になり、凪沙からメールで「三人で買い物に行ってきます」と連絡が来たので、しばらくは姫柊は動けないだろう。

 

それとアイルー達を四人の護衛につけているので、問題は起こらないはずだ。

 

「あ、ここは?」

「ん? そこはだな」

 

それから、俺は約一時間。

那月ちゃんと二人きりで、補習を受けた。

 

「あ、そうだ。ケーキ買ってきたんだけど、食べる?」

「・・・・・・終わったらな」

「OK、分かった」

 

 

補習より、その後のケーキを食べながら二人きりで話している時間の方が多かったような気がする。

 

あ、それと「今はカチューシャなんだから、あーんをされないと」「い、いや、しかしだな」「ほら、カチューシャ、あーんですよ」という具合に、照れながら好物のショートケーキを食べる那月ちゃんは可愛かったとだけ記しておく。

 

 

 

 

 

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