GS横島 Step by step   作:カシム0

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色々あって投稿が遅れましたが、エタりはしませんので、これからもよろしくご愛顧下さい。
ところで、進路を決めるのは非常に悩みます。
悩まないで流されるがままに進学就職した人は、いつか後悔するときがくるやもしれません。
というわけで、よく悩むことをオススメします。
それでは、どうぞ。


ロイター4 7月

 

 

 

 人生を決定づけてしまうと言っても過言ではないもの、それは職業である。

 学生生活を終えて人は社会の中で生きていく。生活するためには金が必要だ。不労収入などの例外は除くとして金を稼ぐには職に就かなくてはならない。

 職に就くと人は一日の大半を職務に費やす。例えば、望んだ職業に就けたとしても考えていた内容と違うと嘆くかもしれないし、仕方なく選んだ職業で新たな楽しみを覚えるかもしれない。こればかりはなってみないとわからない。 

 人生の道程をほぼ決定づけてしまうと言っても過言ではないもの、それは進路である。

入学したら卒業がある。真面目に学校に通う限り、よほどのことがなければそれは変わらない。

 そして卒業を繰り返した後に待つのは就職である。学生の勉強とは就きたい職業に必要な技能を得るための下地造りなのだ。

学生生活は社会へ出るための、勉強は可能な限り早く脇道に逸れることなく志望する方向へ進めるようにするための準備である。無論これらは一面であり、青春の思い出をつくることは大切だし、寄り道したことで得られるものもあるだろうが。

親や教師が勉強を頑張れと言うのは突きつめれば、子や生徒に望んだ進路へ向かう、言い換えれば夢を叶えてほしいからである。他への見栄や優越感などが見え隠れすることもあろうが、それも否定はしない。手段が目的化することもあるだろう。

 職業や進路を決めることは迷う。それは未成年だろうが成人だろうが中年だろうが変わりない。

 高校三年生の夏とは、そんな人生の岐路の一幕である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七月。夏休みを目前に控えた学生は浮足立つものであるが、三年生はそうもいかない。少なくとも横島のクラスでは受験を控えた学生が就職希望の学生よりも多かった。

 受験に関係の無い授業中には他の科目を勉強し、放課後は予備校へ通う者も少なくはなかった。昼休みの今、パンを齧りながら参考書を開いている者もいた。

 そんな中、金井、恵、眞子ら三人は横島を除く除霊委員の面々と昼食を共にし、食後ののんびりとした時間を過ごしていた。

 

「なんか、最近みんな殺気立ってるよな」

「受験は夏が勝負って言っていたけど必死だよね」

「ごはん食べながら勉強して身になるのか疑問だけど」

「そういうあなた達はどうなの? 切羽詰まったようには見えないけど」

「俺の志望校は身の丈に合ったレベルなんでね、推薦も十分狙えるし」

「あたしもそうだよ」

「メリハリつけないとね。夏休みに予備校に通う予定はあるわよ」

 

 教室の中は概ね三通りに分かれる。進学組と就職組、そして未定組だ。三人は進学組であるが、時間を惜しんで勉強するほどではないようだ。若干の余裕があるというのもあるだろうが、それぞれの性格にもよるだろう。

 話題は除霊委員の進路へと移る。

 

「ピートってオカルトGメンに必要な高卒資格をとるために学校に来たんだったよな」

「ええ、故郷の島じゃ学校が存在しなかったもので。大人がそれぞれ子供に教えるって感じだったんですよ」

「オカルトGメンってどうすればなれるの? ピートクンだったら試験なしでも推薦でいけるんじゃない?」

「いえ、僕の実力じゃそこまで簡単にはいきませんよ」

 

と、ピートは苦笑して続けた。ICPOは各国の警察の相互協力のため設立された機関である。日本では事務総局へ警察庁職員を派遣している。つまり国家公務員とならなければ所属することはできない。

しかし超常犯罪課の場合、人手不足もあって特別に専門試験が存在する。合格者は超常犯罪のみではあるが、捜査権と警察力の行使が認められるため、その合格率はGS免許取得とは比べほどにならないほど高い。

また、日本支部には美智恵が政府機関やGS協会から委任され設立、隊長として就任し未だにその地位に就いている対霊障部隊が存在するが、こちらは除霊のみ行う勤務員であり、ピートの目的とは外れているため進路には入っていない。

 

「僕はその専門試験を受験するつもりです。本来は国籍のあるヨーロッパで受験しなければならないのですが、日本でも受けられるようしてもらえましたので。あ、そうそう美神さんも少しの間所属していたんですよ」

「へー、美神さんがねえ。あれ、でも公務員だからお給料が」

「ええ、ノイローゼになっていましたね」

「ちょうどその時、私とピートクンとタイガーと、あと何人かで美神さんのいない事務所を手伝ったのよ。美神さんには悪いけど、あの時は楽しかったわね」

「横島さんの作戦が大当たりしたんでしたノー」

「あいつがねえ。それで、タイガーはやっぱり今の事務所に就職するのか?」

 

 金井の言葉にタイガーが固まる。そしてガタガタと震えだしたかと思うと、ついには冷や汗まで流れ出てくる始末。

 

「タ、タイガー、大丈夫?」

「え、ええ、大丈夫ですジャ。ただ、今年のGS試験に合格しなければ、クビと言われてしもうとるんで」

「あらー、でも横島クンもピートクンもいないんだし、大丈夫じゃないの?」

「それはそうですが、伏兵がいないとも限りませんケエ。夏休みが勝負なのはワッシも一緒なんジャ」

「まあ、頑張れ。応援してやるから」

「うう、ありがたいデスノー」

 

 そして、視線は愛子へと向く。愛子は学校の机が変化した九十九神であり、学校妖怪である。かと言って学校を離れられないかと言えばそうではなく、買い物をしに外出することもできる。しかし、それも一時的なものであり、結局のところ学校を離れては存在できないのが学校妖怪である。

 

「進学志望よ」

「進学考えてるとは聞いてたけど、大学はどこなの?」

「六道女子学院大学。オカルトにかなり寛容だしね」

「名門狙うねえ。でも学費とかどうするんだ? さすがにこの学校のようにはいかんだろ」

「今度、六道家当主の方が面接してくれるんですって。理事長されている方で、その結果次第ではもろもろ免除してもかまわないって」

「それって待遇良すぎない? 理事長と直で面接ってよく設定できたわね」

「先生に相談したら六道理事長からお返事が来たのよ。受験資格や学費に関する諸々について免除してもいいけど、そのためにはまず私に会わないとっていう面接だからね。試験には優遇されないから、頑張らないと」

「愛子さんも先生も頑張ったんですね」

「あの一族は色んな意味で一筋縄じゃいかんですケエ頑張ってつかあさい」

「ありがと」

 

 そこへ話の切れ目を待っていたわけではないだろうが、職員室へ呼ばれていた横島が戻ってくる。

 昼食を済ませたら職員室へ来るように、と四時限目の終りに担任に呼ばれていた横島は食事を早々に切り上げて職員室へ行っていた。ピートへの差し入れの弁当を二つ三つ強奪しての食事ではあるが。

 

「お帰り。先生のお説教はなんだったんだ? のぞきバレたか?」

「例によって単位か、それとも生活態度?」

「夏休みの補習じゃない? 時期的に」

「大概にせんと泣くぞ、俺だって」

 

 級友の言葉に心温まる言葉に席に座る横島の顔はひきつっていた。

 

「んで、実際何の話だったんだよ?」

「お前の言うとおりいつものお説教だよ。心おかげで胸が痛い痛い」

 

 たまんねえよ、とヘラヘラと笑う横島の顔はいつもの締まりのない顔に見える。だが何となく、何かが違うと思わせる雰囲気を友人たちは感じ取っていた。

 

 

 

 

 

放課後、横島は下校の準備をしている最中、愛子から呼び出しを受け屋上へ向かっていた。

多くの学校では通常出入り禁止となっているが、この学校では教師の許可を条件に解放されている。昼休みには食事のため多数の生徒がいる場所であるが、放課後にもなると人気はない。職員室から鍵を借りる必要があり、返却などの面倒を避ける生徒が多いためだ。

 鉄製の扉を開けると、晴れ渡った空と夏の日差しに出迎えられる。コンクリートに反射してかなり暑いのだが、高い所にいるという感覚からか涼しく感じられる。

 そして、目当てである愛子は探すまでもなく視界に入る位置にいた。本体である机に腰掛け、フェンスの向こう、校庭を覗きこんでいる。

 

「来たぞー。わざわざ呼び出すなんて何の用だよ」

 

横島は愛子の横に並び校庭を見下ろす。都内でそれなりの実力はあるが甲子園には縁がない野球部が校外にあるグラウンドへジョギングして行き、過去にはインターハイの常連だったサッカー部や最近調子のいいと聞く陸上部が校庭を走っている。

 愛子は校庭から横島へと向き直る。

 

「クラスメイトの悩み相談、ってところかしら? 委員長の役目でしょ、こういうのも」

「別に悩みなんかねえぞ、俺」

「でも、考えてることはあるでしょ?」

「む……」

 

 図星を突かれれば言葉にも詰まるというものだ。横島も例に漏れることはない。悩みというほどではないが、少し考えなくてはならないことは確かにあった。

 

「何でわかったんだよ?」

「あなたのことなら何でもわかるのよ、っていうのもアリだけど。実を言うと先生に聞いたの」

「ねえよ。っつーかカンニングじゃねえか」

「ちょっと様子が変だなって思ったのはホントよ。私だけじゃなく、みんながね」

 

 考えていることを口に出してしまう癖はあるが、そうでなくともわかりやすいのだろうか、と頬をかく。

 

「そもそも悩みってわけじゃねえんだけどもな……」

 

 悩み相談というわけではないが、友人に意見を求めるのもいいのかもしれない。

 時間は昼休みに遡る。

 

 

 

 

 

 担任教師に呼び出しを受けた横島は生徒指導室へとやってきていた。単位や遅刻早退などの生活態度、授業中のい眠りについて呼び出されたこと何度となくあり、馴染みのある場所でもあった。

 

「失礼しゃーっす」

「おう、来たか横島」

「何の用っスか? ひと眠りしておきたかったんスけど」

「お前午前の授業ほとんど寝ていたって聞いたぞ。またバイトか?」

「まあ、ちょいと山に登ったり、山に登る書類造りが立て込んできたもんで」

「山? 大手は大変だな。そんなところまで行かされて」

 

 早朝から山へ登り、駆けずり回り、大立ち回りをしたのはつい先日のこと。さらには美神に報告書の作成を命じられ、慣れない机仕事に追われている。

登校することはできたものの、さすがの横島も疲労がたまっていたのかHRから爆睡状態であった。

 促され席に着く横島の前には資料が並んでいた。どれも大学の入学案内だ。

 

「それでだな、お前を呼んだのは進路のことだ」

「進路? 俺GSになるって進路希望出したっスよ」

「希望調査に第一希望しか書いてなかったけどな。俺が聞きたいのは、お前本当にGSになりたいのかってことだ」

 

 GSになるのか、と担任に質問されたのはこれで二回目のことだ。一回目は横島がGS資格を得た試験の少し前。

 当時はGSになるなど考えたこともなく、笑い話で終わってしまった。しかし、それから試験に合格し、数々の闘いを経て、横島自身かなり成長したとの自覚もある。まだまだ一人立ちなど考えられるような状況にはないが、少なくとも美神事務所の一員として胸を張れるとは思っている。

 

「本当にって、どういう意味です?」

「職業選択ってのはそれまでにどれだけ頑張ってきたかで選択肢が増えるもんだ。いい大学に行っていい会社に入るやつもいるし、野球選手やサッカー選手を目指すやつもいるが、そいつらはみんな何がしか頑張ってきたからだ」

「そりゃそうっスね。でも俺は他に能がないし」

「他になれる職業がないって諦めて、仕方がなくGSになろうとしている、ってことなのか?」

 

 それは違う、と言いかけて横島の返事は担任に言うとおりであることに気づく。

 

「お前三年になってから学校にはちゃんと来ているし、試験の成績だって何故か悪くない。今からでも気合い入れて勉強すれば、不思議なことにそこそこの大学狙えるぞ」

「何故かだの、不思議ととか言われてもなぁ。でもまじなんスか、大学って」

「心底不思議なんだが、あれだけサボっていながらお前の成績は悪くはないんだ。業腹だが地頭がいいんだろうな。六大学とか、上を見すぎなければだがな」

「でも、バイトだってしなきゃならないし、片手間に勉強したっていい結果にはならんでしょう」

「お前がどんな職業を選ぼうとお前の勝手ではあるんだが、大学に行くって言うんなら親御さんだって反対はしないだろ。あのお母さんだったら協力してくれるんじゃないか?」

 

確かに、横島の母百合子は一人暮らしの横島の生活状態の酷さに、職員室で堂々と贈賄をし、高校を無事卒業させようとした。GSになるのを反対はしていなかったが、横島の進学を希望していたこともあり、本気で大学に行きたいと相談すれば尽力してくれるだろう。

 あの親に頼るというのは、横島としては避けたいところではあるが。

 

「GSとしてやっていくって言うんなら、将来一人立ちした時に経営のこととか色々と知っておくべきことはあるだろう。それならこれからまだまだ長い人生、四年間の寄り道は無駄にならないと思うぞ。それに在学中にまた別の生き方を見つけられるかもしれんしな」

 

 そこで話は終わった。横島は担任の問いに答えることができず、よく考えてみろとの言葉に生徒指導室を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

「正直な話、もう勉強する気はないし大学に魅力も感じちゃないんだ。だけどな、ちょっと進路ってものを考えてみようかなとも思ったんだ」

 

 要点をまとめて話し終え、横島は思った。自分よりもまっとうな学生生活を送っているクラスメイトとはいえ、妖怪に進路相談するというのは人としてどうなんだろうと。

 同時に進路を軽く考えていたことに気づいた。

 高校二年生を何年間も過ごしていた気もするが、本来時間は止まらず、常に流れるものである。これからもずっと変わらず、美神除霊事務所に学生のアルバイトとして所属していくことなどできない。GSになると口にしていても実感がなかったのだろう。

 愛子は校庭を見下ろしていた視線を空へと向けた。

 

「私は大学に行きたい」

「ん? ああ、知ってる」

「今まで考えもしなかったのよね。卒業するなんて」

「四月頃の話だっけか」

「あの時、八つ当たりしちゃってごめんなさいね」

 

 三年生に進級してすぐ学生には進路希望用紙の提出が求められたが、クラスの皆が次々と提出する中、回収する委員長の愛子の紙は白紙のままであった。

 学校妖怪である愛子には縁もなければお金もない。進学するなど夢物語、一年生からやり直すか、それとも別の学校へ転校するか、それくらいしか思いつく進路はなかった。わかっているから納得しようと思っていたが、横島が進路希望を提出する際愛子の進路を聞いたのが変化の始まり。

 放課後で教室には横島と愛子しかいなかったということも、気心が知れた仲であったというのもあったのだろう。愛子は腹に溜まっていた鬱屈した気持ちを全て吐き出していた。

 

「私に進路なんてあるわけないじゃない!」

「な、何だよ。急に大声出して。お前留年も退学もしないんなら、卒業しなきゃだめだろ」

「私は学校妖怪だから学校から離れられないし、この学校のみんなみたいに受け入れてくれる人たちばかりじゃないのよ!」

「大学だって学校だろうが。ほれ、六道も大学あったろう。あそこなら妖怪でもなんとかなるんじゃねえの?」

「そんな、簡単にいくわけないじゃない」

「俺がこう言うのもなんだけど、簡単じゃないから諦めんのか? お前、こういうチャレンジすることは好きなんだと思ったけど」

 

 大声を張り上げ、涙を浮かべて、愛子が落ち着く頃には日も暮れかけていた。

 怒鳴ったことを恥ずかし気に謝罪した愛子に、横島は首を傾げながらも受け入れ、愛子は笑うことができた。

 それから愛子は精力的に動いた。

担任に相談し、校長へ話を持っていき、個人的に理事長との面識のある横島の手は借りることはせず、つい先日六道理事長から面接の許可を得た。

 

「お前頑張ってたよな」

「火をつけたのは横島クンよ」

「そうか? まともに進路を考えてなかった俺が偉そうなこと言って、悪いことしたかなとは思ってたんだけど」

「そんなことないわよ」

 

 クスリと笑い、愛子は机から降りて伸びをした。

 

「三〇年くらい学生生活を続けて、今年になって初めての出来事がいっぱい出てきて、停まっていたことが動き出して色んな事ができるようになった。そうしたら欲が出てきちゃって」

 

 進級、受験勉強、卒業、進学と指折り数え、さらに一本指を増やす。

 

「就職。私ね、大学で教職とって先生になりたい。どうしたって学校から離れらないし、学校が大好きだし。小中高はまだわからないけど」

「妖怪生徒から妖怪先生か。似合うんじゃねえの? 熱血過ぎて子供から嫌がられるかもしれんけど」

「あら失礼ね。ふふ、でもありがと。他にもね、簿記を取って事務員っていうのもいいかなとも思う。横島クンが独立して、タイガーがGS資格を取って、ピートクンはオカルトGメンだから無理だろうけど、お友達の雪之丞クンだっけ? 三人の若手GSを抱える除霊事務所、面白そうじゃない?」

「面白そうかもしれんけど、随分気が早い話だな。それに学校から離れられないんじゃないっけか?」

「あら、知らなかったっけ? 私チャレンジするの好きなのよ」

 

 また愛子は笑う。つられるように横島も笑った。

 

「ふふ。ほら、妖怪の私にだってやりたい事がこんなにできちゃった。横島クンなら、人間で一八歳の横島クンにならもっともっと色んな事ができる。何だってできると思うわ」

 

 口癖が青春の愛子らしい希望的観測とも精神論のようにも思える。それを暑苦しく思うこともあったが、今は心地よくも思えた。

 

「お前は、俺がGS以外の道を選んだとしたらどう思う?」

「別にどうにも。横島クンは横島クンよ。GSでも学生でも横島クン。警察官になっても、消防士になっても、お医者さんになっても、会社員でも無職でも、私が横島クンの友達なのは変わらないわ。金井クンも眞子も恵も、ピートクンとタイガーもね」

「無職は避けてえなあ」

 

 見上げれば青い空。少なくとも屋上へ来る前よりは爽快な気分にはなっていた。

 

 

 

 

 

 大学へ行けば新たな出会いもあるだろうし、GSとしてやっていくのに必要な知識を得る機会もあるだろう。生活リズムが一緒になれば、高校の友人らと会うことも問題はない。 

 ひょっとしたら大学生活でGS以外の道を見つけるかもしれない。

 それでもGSとして働きたいという気持ちに変わりはなかった。

 なぜGSになりたいと思ったか。担任の言うように他になれる職業がないから、というのも確かだ。だが、他になりたい職業がないというのも確かである。

 GS免許を持っている。ある程度ではあるが除霊も経営もわかる。何よりGS以外の将来の自分の姿が思い浮かばない。

 そして皆に出会えたのもGSをしているからだ。

 美神、おキヌ、シロ、タマモの事務所の面々。GS同業者に仕事で出会った人たち、神族や魔族、妖怪にも知り合いはいるし、自分を愛してくれた存在にも出会えた。

 色々と理由付けはできるが、結局のところ

 

「俺はGSが好きなんだ」

 

 横島は生活指導室の扉を叩く。

 返された時と同じ内容の進路希望を持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、横島と別れた愛子がどうしていたかと言うと、

 

「……私、贅沢になっちゃったのかな」

 

進路希望を提出したのであろう横島は、教室からでもわかるほど意気揚々と学校を去っていくのを見送っていた。

 

「私ね、横島クン。教師も事務員もなりたい職業だけど……」

 

夕焼けで紅く染まる教室に佇む少女。その頬は教室と同じく紅く染まっていた。

 

「……可愛いお嫁さんにもなってみたいのよ」

 

愛子に気づいた横島が手を振る。微笑んで手を振り返す愛子の言葉は、誰に聞かれることもなかった。




台風がすごいですが、皆さんご無事ですか。
昔はこんなんいらないだろうと馬鹿にしていた避難グッズとか避難場所とか、ちゃんと考えなきゃいけなくなりましたね。
自分の身は自分で守りましょう。
それではまた。
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