転生して大魔導師になった男がTS転生して奴隷メイドになる話 作:息抜き用@匿名希望
「このままではやりたい事をやりきる前に寿命が尽きてしまいそうじゃ…」
この男、一見50歳か60歳といった年齢に見えるが無茶な魔法実験をしたいがために身体を鍛え、更に魔法でもって五感と肉体を強化保持しており、実は100歳をとうに越えている。
因みに五感及び肉体強化の魔法も無茶な魔法を試したいがために新たに造り出したらしい。
「といっても国の運営を放り出す訳にもいかんしの…」
国民は魔法馬鹿で使い物にならず、雇い入れようにも国外の者に行政を任せるのは怖い。孤児を拾い育ててみても例外なく魔法馬鹿に育ってしまう。
「どうしたものか…」
どうでもいい話だが孤児も最初から魔法馬鹿だったわけではない。孤児達を元気付けるためにアルスヴェインが即興で見映えのする魔法を使ったことで孤児達が魔法に興味を持ち、そして求めるものには門戸を開かんと魔法の素晴らしさ、その深淵を教え込んだせいだ。
アルスヴェインの完全なる自爆である。
執務室で一人悩むアルスヴェイン。
「国の運営を行っているのは儂一人のみ、そして儂以外の者は誰もそれに携わろうとはしない…」
どうしたものかと腕を組み頭を悩ませる……しばらくそうしていたかと思うと唐突に立ち上がった。
「そうか…儂が二人になればよかったのじゃな!交代制にすれば好きな事をしつつ国を維持できる!我ながらナイスアイデアじゃっ!!」
やはりこの男頭おかしい。
方向性が定まったアルスヴェインの動きは早かった。執務の間や寝る前等の僅かな時間で既存の魔法を組み合わせ、世界に自らを複数存在させる魔法を造り上げた。
その期間僅か半年である。
既存のものの組み合わせという事で少々術式に無駄は在るものの、1からそれ専用の術式を組み上げるのと比べれば圧倒的に早かった。更に枯れた技術の組み合わせであるため技術的に信頼性が高く、問題点の洗い出しも容易であった。
世界に対する改変であるため、その術式は大規模で使用するマナも莫大なものとなっていた。
もともとこの地は全ての属性の魔力が多く集まる場所であり、それを目当てにこの地に街を作ったため時間をかければ足りない分の魔力の収集は可能だった。
そして更に数年後、とうとう魔法に必要な魔力を集め終え、星の並びも最適の日時を迎える事となった。
周りには新しい魔法だとして見学に来た魔法馬鹿共が集まっている。
「終に…終にこの時がやってきた!」
興奮の余り少々テンションがおかしくなっているアルスヴェイン。
「儂が新たな存在へと昇華される日が!!」
長い時間をかけ魔力を集め、その間に術式にも改良を加えており当初の物と比べて更に大規模で複雑なものとなっていた。
もともとアルスヴェインの分身は日本の神々の分霊から着想を得たもので、術式もそれを再現するためのものに変化していた。畏れ多くも神の如き存在へと至るための術式に…。
「術式始動っ!」
しかしアルスヴェインは極当たり前の事を失念していた。世界を改変し、その事象を世界に焼き付けるために必要となる力の大きさにただの一生命体が耐えられる筈がないことを…。
「ぬっ!?これはどういうことだ?……そうか!儂としたことがこんな初歩的な事を忘れていたなんてっ!―――ぐぅ、ぬあぁぁぁああぁっ!!」
こうしてアルスヴェインは光の粒子となり国民達の目の前で蒸発した。
因みにこういった事故はこの国において日常茶飯事だったりする。
ここはいったい……?
思うように動かない手足、そんな自分を抱き抱える女性。
これでも鍛えていたためかなり体格は良い方なのにどういうことだ?
その女性は泣きながら何かを呟くと身に付けていた首飾りを自分に握りこませた。
「ご――ん―さ―。わ―――ゆ―して……」
耳の聞こえが悪い。何かを喋っているが酷く不明瞭だ。
そうしていると女性は儂を地面へと下ろした。そして何かを振り切る様に足早に立ち去っていく。
ふむ…サイズ感から考えるに儂は赤子の様な状態になってしまっているようだ。
これからどうすべきだろうか?
しばらく周りの状況を確認しようと気を張っていたが、抗い難い眠気に襲われそのまま儂は意識を失ったのだった。
短い。そしてアルスヴェインって名前長いわ。TS転生後はもっと短く呼びやすい名前にしよう。
それと説明回なのでナレーションとか色々入ってましたが次からは普通に主人公の一人称視点で進めようと思うので作風に若干変化があると思います。
また、ストーリーも特に決めていないため日常系のフワッとした短話が続いていくと思います。ご了承を。