転生して大魔導師になった男がTS転生して奴隷メイドになる話   作:息抜き用@匿名希望

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2話 リア、世界情勢を知る

 

 更に1年、もうすぐ8才になるわけだが授業を受けた甲斐あって知りたいことは大体知れた。

 教師からしてみれば授業に関係無い事や皆より進んだことを聞いてくるクソガキがったかも知れないが、今まで掃除やお手伝いをさぼらず、しっかりとこなしてきたこともあり、少々知識欲が強い子供という評価で落ち着いている。

 

 

 そして魔法技術や世界情勢、今自分の身がどの様な状況に置かれているか等だが、色々と状況が絡み合い離して考えることができないので順を追って説明しようと思う。

 

 

 

 先ず前世でリアが治めていた魔法都市国家フェルミだが、結論から言えば既に亡んでいる。

 

 

 全てはリアの前世、アルスヴェインの死から始まっていた。

 

 

 アルスヴェインが都市の運営を一手に担っていた事の弊害でアルスヴェイン亡き後、幾許も経たない内に都市機能は停止し、国家として機能不全を起こした。

 

 それによって最も大きな被害を受けたのは商人達、特に魔法技術を錬金術を利用して創られた商品を取り扱っていた者達だった。

 食糧品等の輸入に関しては特に何かあるわけではないが、魔法道具の輸出は国からの許可、つまりアルスヴェインの許可が必要だったのだ。

 

 それもそのはず、フェルミで製造される魔法道具は世界一般から考えると有り得ないほど高性能であり、どの国もその性能から他国に先んじて手に入れたい物である。

 勿論自国で生産しようとする動きも有ったが、魔法を技術として捉え理論的に構築できる魔法使いなどフェルミにしか居らず、その全てが失敗に終わていった。

 技術を独占し、世界にとって無視できない存在である都市国家フェルミ。どこの国もフェルミとは同盟を組み、その技術のおこぼれにありつきたいと考えていた。

 

 そんな状況で何も考えずに魔法道具を売り捌くなど愚か者のすることである。

 

 どこかの国に肩入れすればそれ以外の国々がその技術力の差から危機感を持ち、協力してその国を滅ぼしにかかるだろう。最悪世界大戦である。

 そういった事態を防ぐためにもアルスヴェインが輸出の可否を決め、国同士の争いが起きないよう平等に分配していた。

 

 そんな状況でアルスヴェインが居なくなれば全ての魔法道具の輸出が停止するのは必然であった。

 商人達も何とか商品を手に入れようと掛け合うがアルスヴェイン亡き今、自己中どもの巣窟であるフェルミからまともな返答などなく、商人達は途方に暮れることになった。

 最終的には諦め自国に戻り、その事を所属している商会やギルドに報告した。やがてそれらは国の上層部にまで届く事となった。国としてもフェルミの魔法道具は必要であり、国としてもフェルミに掛け合った。しかし梨の礫である。

 

 そうしている内に上層部は1つの結論を出す。

 それは『フェルミは他国と同盟を組み、我が国を潰そうとしているのではないか?』というものである。

 

 奇しくも他の国々も同じ結論に至り、それぞれが出兵を決めるのであった。

 

 

 突然だがフェルミが存在している場所は辺境であるが、それはその地域の魔物や地形が人にとって厳しすぎたがゆえの辺境であり、位置でいえば大陸のほぼ中央であった。

 

 それゆえ多くの国々との国境を有しており、フェルミの周囲ではこの大陸の有力国の軍が一同に会する事態となった。

 

『やはり他国と同盟を結んでいたか!』

 

 それぞれの軍の司令官達はそう思っただろう。

 軍を派兵したら他国も軍を展開していた、もしくはその逆でフェルミに睨みを効かせていたら他国が軍でもって介入してきたのだからそう考えるのも無理もない話しである。

 

 それこそ世界大戦が勃発しそうな状況であり、事態は膠着状態に陥った。

 

 そのまま何日か睨み合いを続けるが肝心のフェルミの動きが全く無かった。

 軍を展開することもなく声明を出すこともない。更には人々の営みである竈の煙さえ街からは立っていなかった。

 

 これはおかしいとある一国が使者を送り国々をまとめ、状況の擦り合わせをおこなった。

 

 そこで国々はどういった事態に自分達が陥っているのか知ることとなる。

 

 そして次に思った事も皆同じである。

 

『フェルミはどうなっているのだろうか?』

 

 その実態を明らかにするためにそれぞれの軍から小規模の部隊を集め連合としてフェルミに突入することとなった。

 

 

 そして突入した面々が眼にするのは人っ子一人いないフェルミの街並みであった。

 

 その異常事態は大陸中を駆け巡った。

 

 誰にも気付かれる事なく、全ての国民が消えていたのである。

 いくら調査をしてもなんの成果も得られず、原因は解らず終いだった。

 

 

 しかし、リアはその事を教師から聞いた瞬間何が有ったのかを理解した。なんの事はない、やつらは面倒臭くなったから逃げただけだろう。

 

 

 だが当時の人々にとっては理解できない出来事であった。

 その事から国々は危機感を持ち、魔王討伐後不安定になっていた世界情勢は再び纏まり、魔王が人類の敵として存在していた時以来の大陸全ての国々が参加する大同盟が組まれる事となった。

 

 

 それがおよそ150年前の事であり、その同盟は今日まで続いている。

 

 そしてそれ以来手に入らなくなったフェルミの魔法道具はアーティファクトと呼ばれる様になり国が大切に管理、保管している。

 

 

 

 

 歴史として語られていないことも多く、いくつかは当時の事を知るリアの予想も含まれているが概ね間違ってはいないだろう。

 

 

 外から見れば歴史的な大災厄であるが、中を知る者からしたら面倒臭くなった自己中どもの大規模な夜逃げである…。

 

 

 長い平和な時代は国を富ませ国民総中流ともいえる状態にまでなっていた。相変わらず魔法技術はクソの一言ではあるが…。

 

 

 

 どうしてこうなった…っ!

 

 




また暫く空きます。
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