悪役にされた俺の末路   作:盾長

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冬の雄叫び作戦(中盤戦)

 いまだに重要拠点を一つも確保出来ていない中、俺の命を受けて前進中だった第二戦車中隊50両が勇者と接敵した。だが、接敵したのは50両と言ってもごく一部の6両のみである。この第二戦車中隊の主力はソ連とアメリカの戦車で構成されていた。

 

 ソ連からはT-34中戦車30両。そして、アメリカからはM4シャーマン20両が参戦している。双方ともに有名な車両ではあるが、有名だからと言って最強と言うわけではない。連携が取れなければただの鉄くず同然である。

 

 この時、一部の勇者と接敵したのはM4シャーマン6両。戦車部隊の右翼前方を担当し周辺の警備に当っていた。彼ら第二戦車中隊の目標は手薄になっているであろう106平野。

 

 地形は相変わらずだが他と比べて平地が多く戦車にとってはとてもありがたい重要な地形の一つだ。当然、此処の奪取に成功すれば報酬として10万円が与えられしばらくは生活に困る事はない。

 

 だが、戦車中隊が勇者と接触したのはその106平野より数百メートル離れた場所で地形は最悪。まさに荒地と呼ぶに相応しい。

 

 シャーマン6両はこの時、三人の勇者と戦闘を開始した。

 

 紫色の勇者服を纏う二人の少女が立て続けに3両のシャーマンを葬った。激戦は此処から始まった。

 

 槍持ちの少女も2両のシャーマンを葬り、生き残ったシャーマンも後に大破する。

 

 50両と言う規模に驚いたのか、彼女らの戦力が少しずつ第二戦車中隊に注がれていく。一人増えるたびに3両がやられついにシャーマンは2両にまで討ち減らされる。シャーマンを守るため二次大戦でも同盟関係にあったソ連のT-34が突破口を開かんと前進を開始する。

 

 既に15両を失いながらも中央突破を図るT-34にシャーマンも後に続いた。

 

 彼らの目的地は106平野。此処を奪取するための中央突破だ。

 

 ポイントを占領するには最低でも5両の戦車が目的地に留まらなければならない。5両の戦車が10分間そのポイントに居座る事が出来れば自動的に此方側の勝利になる。

 

 106平野に14両のT-34と2両のシャーマンが突っ込む。既にT-34は1両失ったようだ。失った仲間のためにも彼らは106平野を目指す。

 

 ー

 

 106平野を目指す中、空から支援の手が差し伸べられた。生き残った計16両の戦車を助けるべく13機のIl-2が勇者に対し決死の空襲を敢行した。だが、爆弾を命中させた機は少なかった。

 

 奇襲攻撃ではあったが思いのほか戦果が挙がらず返って返り討ちに合うケースが急増した。出撃した13機中生きて帰ってきたのは僅かに3機のみだ。

 

 10機がこの戦いに散り数発は味方に対し注がれた。

 

 2両のT-34が味方の誤爆を受け大破したのである。とんだ失態だ。

 

 だが、生き残った14両の戦車が無事に106平野へとたどり着いた。

 

 後は此処で10分持ちこたえてくれれば此方の勝利である。

 

 

 

「おおー! 行った! 戦車が106平野に行きよったわい!」

 

 

 

 勝手に切ったかと思えばまたかけて来た自称神様。何処か楽しそうな様子でこの戦いを見守っているようだ。

 

 

 

「そうじゃ! 頑張って持ちこたえるのじゃ! 10分! 10分持ちこたえれば良いのじゃ!」

 

 

 

 まともな遮蔽物がない分、味方の車両はどんどんとその数を減らしていく。1両、また1両と煙を上げ降伏の印である白旗を揚げる。106平野内に勇者が入り込み戦局ははやり劣勢だ。

 

 現在11両。うちシャーマン1両。生き残っていたもう1両のシャーマンは此処で力尽きたようだ。

 

 

 

「クッ……間に合いそうにないか……」

 

 

 

 最悪な戦況下、生き残っていた1両のシャーマンがついに倒れ煙を吹きながら白旗を揚げた。此処に投入された米軍は文字通り全滅し今、戦線を支えているのはソ連戦車T-34。

 

 残存兵力は僅かに7両。

 

 

 

「何じゃ!? まだ後6分も残っておるぞ! まだまだ根性が足りん! 耐えるのじゃ!」

 

 

 

 見事な負けっぷりにさすがの神様もついに焦りだした。事の重要性に気づいたのか、神様は声を上げ狂ったように精神論を言い続ける。さすがに迷惑極まりない。

 

 

 

「どうするんじゃ! 壇上! このままじゃあ全滅するぞ! どうするんじゃ!」

 

 

 

 焦りを散らせる自称神様。だが、此方にはまだ最後の切り札が残っているのだ。平野内に陣取る戦車が残り5両を切った時。

 

 平野内に爆音が響き渡った。

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