悪役にされた俺の末路 作:盾長
神世紀300年6月2日正午。
この日、俺史上最大の作戦が今幕を開けた。
その総兵力は150隻に昇る空中艦隊を筆頭にかき集めた戦車60両。自走砲は11両に達し列車砲が新たに3両加わる。
航空支援は神様の手厚い支援によって一気に60機近くまで増大。更に、第二艦隊は機動艦隊として機能するためその数は160機にまで膨れ上がる。
また、小惑星のような塊も戦力として数えられその総数は10個に達する。
これは防衛、攻勢どの面においても優れている壇上必殺の秘密兵器。本作戦が初陣でその有用性が試される。
更に、本作戦に備え神様が攻撃ヘリコプターを壇上に寄与。その数は22機に昇り、機種は初期型のAH-1コブラである。
戦力は整い、後はがむしぁやらに前進するだけだ……。
「……いよいよじゃな。壇上」
電源が入ったスマホから神様の音声が入る。
何時もより緊迫した声に、俺は神様も本気なんだと察した。
眼下に広がるのは作戦待機する数多の部隊。種類や役目は違えど、その任務はみな同じだ。
「……ではこれより、『青嵐作戦』を発動する! 全軍、前進せよ!」
号令とともに、戦車のエンジンが入る。1両が先陣を切り、後続がキャタピラ音を響かせながら所定の位置に就いた。
戦車の主力はドイツの重戦車ティーガーである。
60両のうち20両を占めるティーガー戦車隊は巨大なパンツァーカイルを組み左翼の戦線へ躍り出た。
一方、20両のパンター中戦車はその機動力を活かして勇者の索敵に入る。今回の作戦に軽戦車はおらず、彼らの目は一挙にパンターが担う。
本作戦に投入されたパンターはF型である。
先陣の戦車部隊に続き、後続には前線火力支援部隊が後に続く。
10両ずつのヤークトティーガーとヤークトパンターがティーガー部隊の援護に回り一路西部戦線を目指した。
布陣は戦車部隊の後方であるが、その持てる火力を惜しみなく投入し、ティーガーの前進を援護する。
そして当然、ティーガーの援護は駆逐戦車のみに留まらない。
ドイツの自走砲グリレが所定の位置に駐留し、勇者は居そうな予測ポイントに対し激しい集中砲火を浴びせた。
が、予測ポイントのため当然命中弾はゼロ。
……弾の無駄遣いである。
また、自走砲はこのグリレのみ。数も少ないため、全て左翼の戦線に投入している。
グリレの無駄撃ちタイムの間、列車砲部隊はその場で鎮座し時間の掛かる発射準備に入っていた。
運ぶためのレールがなく、荒地である樹海のため列車砲はスタート地点から動く事が出来ない。
だが、列車砲の射程は保有する全ての兵器の中で随一を誇る。方角は指定できないものの、その超射程で味方を出来るだけ援護する。
恐らくは味方の撤退時にその威力を発揮するであろう。
ちなみに、1発発射するのに掛かる時間は早くて6分。
長い。
普通に長い。
一方、本命の空中艦隊は中央よりの戦線に布陣し小惑星のような塊も運用された。
中央には60隻からなる第一艦隊が布陣しその旗艦は戦艦「フィリブス・ウニティス」が着任。その艦名の意味はラテン語で「力を合わせて」を意味する。
そして右翼の前線に投入された40隻に昇る第三艦隊は旗艦に戦艦「ニューヨーク」を着任させ主な国籍はアメリカで統一させる。
所属する艦名は無論アメリカにちなんだ物だが、中にはその同盟国の名前もちらほら拝見できる。
さて、第二艦隊の機動部隊は旗艦を戦艦「オーストラリア」とし、空中空母13隻を中核とした50隻で構成される。
艦名は日米英豪仏など、殆どが連合国で占めている。
また中には短期間で建造された護衛空中空母なる艦種が存在し、こちらは13隻のうち5隻を占める。
また、航空兵力を高めるため中には航空巡洋艦的な空中戦艦も存在し、先述の160機から200機に膨れ上がった。
この航空空中戦艦は後部が飛行甲板となっており、4隻が本作戦に参加している。
だが搭載数はそれぞれ10機のみ。
搭載機は艦載機であるF6Fヘルキャット。
航空空中戦艦のネームシップは「伊勢」である。
神様の航空機はイギリス空軍のスピットファイヤが60機。
俺は思う。
何故、今の今までこのまともな戦闘機をよこしてこなかったのかと。
しかし、この青嵐作戦は少し多国籍過ぎないだろうか?
戦車はドイツが占め、空軍はアメリカやイギリス。そして記述にはないが日本機も主力として参加している。
艦隊の艦名も豪州から欧州。そして米英日。
もういっその事、作戦名を“多国籍の祭り作戦”に改名してやろうと思った今日この頃。うん? この作戦名なんか語呂良くね?
「何をしておる壇上! 左翼の戦線で何か動きがあったようじゃぞ!」
作戦名の改名を考えていた中、ついにドイツ戦車隊が前進する左翼で戦いの火蓋が切って落とされた。