悪役にされた俺の末路 作:盾長
その声に、俺は思わず振り向いた。背後に立って居たのは日本刀らしき物を握っていた一人の青い少女。金髪を靡かせた凛々しい姿に俺は思わず目を奪われた。
……いや、奪われている場合だろうか? 俺の背後に立ち、その距離は異様に近く感じる。彼女は今、仕事人のような視線で俺を見つめている。
“切られる”俺は直感的にそう感じ取った。
「アイェェェ! ユウシャ!? ユウシャナンデ!? ヤメロー! 死にたくなーい! 死にたくなーい! 死にたくなーいィィィ!」
「落ち着け、まだ切り落とすと決めたわけじゃあ……」
「切り落とす前提じゃあないですかーやだー!」
妙な空気が俺の居る指揮場に流れ込む。目の前には俺の行動(命乞い)に戸惑う刀を持った美少女と、状況を理解し、パニックに陥った一人の少年が阿鼻叫喚している。
だが、俺は狂った振りをして周辺を警備する戦艦の到着を待っていた。
今、俺に一番近い戦艦は三隻居てどちらもつい最近就役したばかりの最新鋭艦である。その戦闘能力はきっと、目の前の少女を上回る事であろう(慢心)
「……本当にお前が“奴ら”の大将なのか?」
「ドウシテドンドコド!」
「……大丈夫か? 口調がおかしいぞ?」
迫真の演技は彼女を間違いなく躊躇させた。彼女は間違いなく、俺から発せられるオンドゥル語や忍殺語を理解していない。
いけるぞ、工藤新一! 俺はこの修羅場から無事に脱出してやるんだー! ……俺、実は元の世界に恋人がいるんすよ。だから戻ったらプロポーズしようと思って……それで花束なんかも買ったりして……。
<警告! 多数の弓が接近! 壇上、ブレイクしろ!>
「は……? アァァァァァ!?」
危ねぇ!?
今、足元が爆発したぞ!? 流れ弾か? 俺はたまたま繋がった神様からの警告で命拾いしたが無視していたらあの爆発に巻き込まれるところだった。
畜生、艦隊の到着はまだか!?
「い……生きてる……ハッ、何だその攻撃はそんなもんか。えっと、今日は6月の上旬……ハハッ何とか今年のクリスマスまでには元の世界に帰れるかな」
「クリスマス? 一体何を言って……ハッ!?」
咄嗟、彼女はその場から一気に後ろへ下がった。
青いレーザー光線が彼女の頬を通過しその状況はまさに危機一髪。彼女の危機管理能力はどうやら、俺よりも一枚上手らしい。
俺の時間稼ぎは報われ、周辺の警備に当っていた最新鋭艦が三隻到着する。
到着した戦艦グナイゼナウは戸惑っている彼女に対し発砲。しかし、先述した通りグナイゼナウの攻撃は華麗に交わされ本艦の位置は筒抜けとなった。
「クッ、外したか」
「……やはり、お前が敵の大将だったか」
攻撃を受け、俺の台詞を耳にした彼女は体勢を直ぐに立て直した。そして、下に向けていた日本刀を再び俺の前に向けた。
戦いの火蓋はまさに、きって落とされようとしていた。
「覚悟しろッ! 大将!」
青い服に金髪。そして持つ武器は日本刀。
何方か、勘の良い皆さんならもう既にお気づきのはずでしょう。
今回はかなり投稿が遅れたので豪華二本立てにさせていただきます。どうぞごゆっくりお楽しみぐださい。