悪役にされた俺の末路 作:盾長
「マズいぞ、奴らは数に物を言わせて真っ直ぐ突っ込んでくる!」
「それも一つだけじゃあないよ、タマっち先輩! 群全体が一斉に襲い掛かってくる! 何とか阻止しなきゃ!」
「あわわわ、何か一杯来たよ!?」
共同戦線を張ってからおよそ二十分余り。ガトランティスはその数に物を言わせ遂に一世一代の大攻勢に打って出た。今、この攻勢に耐えうる戦力は二桁の勇者達と生き残った地上の自走砲及び列車砲部隊。
そして、150隻余りの空中艦隊が現在の総戦力となる。ただ、この150隻に昇る空中艦隊も先の勇者戦没で3~5隻余りが撃沈されており戦闘可能なれど僅かながら損傷を受けた艦も少なからず存在している。
そこで俺は損傷を受けた艦を内側に配置し、無傷の艦を前面に貼り付けた。これでしばらくの間は持ちこたえれるが、それでもガトランティスの囮艦隊と比べれば微々たる戦力だ。
我々は増援に駆けつけるであろう24隻のO級戦艦がこの戦線に到着するまでの間、何とかしてこの激しい攻撃を耐え抜かねばならない。
「くっ、幾ら破壊しても空から湧き出てくる。戦力差は広がる一方だ。しかも悪い事に戦線も少しずつ押されている」
「ご先祖様ー、今は撤退するべきだと私は思います」
「アタシも賛成! 出来る事ならあの浮き舟が居座っているラインまで後退するべきだと思います!」
「……分かった。今は後退しよう……一旦下がるぞ、みんな」
覚悟を決めたや否や、戦線を構築していた勇者達が一人また一人と空中艦隊が駐留する防衛ラインにまで後退してきた。
俺はその予想だにしない撤退劇に一瞬戸惑うものの、戦局の状況や戦艦コモンウェルスから送られる戦闘詳報によってようやく理解した。迫るガトランティスの猛攻に対し俺は可能な限りの下準備を整え、空中艦隊は反撃を開始し各個撃破を目指す。
「……全艦、撃ち方用意……テッー!」
敵との距離は僅かに200m余り、もしくは未満。俺はギリギリにまで引きつけ反撃に転じた。
号令が発せられた瞬間、狙いを予め定めていた空中艦隊が一斉に砲撃を始め青いレーザービームが怒涛の勢いで敵ガトランティスに突っ込む。迷いなく突っ込むビーム光線にガトランティスは焦り交じりの反転行動を取るが……。
間に合わずに20隻余りの艦が文字通り火達磨の如く燃え上がった……のだが。
「敵が損害に構わず前進してきます!」
「覚悟はしていたが、その戦力差が激しい……増援は……増援はまだか?」
艦隊を守っていた小惑星郡も既に尽き、今や丸裸となった空中艦隊は一隻また一隻と前進してくるガトランティス艦隊に討ち取られる。
開戦時150隻余り居た一大艦隊は既に30隻以上が討ち取られ持てる現有戦力は120隻にまで減らされていた。だが未だその士気は熱く、目の前まで迫るガトランティス駆逐艦を艦ごとぶつける体当りでこれを撃破。
これよって慢心相違となった艦は別のガトランティス艦に討ち取られながらも、その残骸で空中の道を閉ざした。戦場はまさに地獄絵図と化し、その生存率は脅威の12パーセント以下を示す。
16分余りの死闘を潜り抜け、現在尚も守備に就く戦艦の総数は遂に50隻を切り戦線は崩壊、ガトランティスは残存兵力の掃討に当たり一部の部隊は矛先を俺たちに変えてやってきた。
もうダメか……誰もがそう感じ取ったまさにその時、勇者が持つスマホのレーダーに全速力で向かう24つの影が隊列を成し降臨する。
「風先輩! レーダーに沢山の影が映っているよ!」
「まさか……敵の新手か!?」
「……後方からとんでもない速度で私達の陣地に迫ってきます! 24つの影が高速で向かってきます!」
「ツウェンティーフォーも!?」
「みなさん、戦闘配置についてください! まもなくその視界に入ります!」
「24……ついに来てくれたか」
勇者に緊張感が走る中、俺は安堵の表情を浮かべ彼女らが指摘する後方にその視線を向けた。そこには24つの光が暗い空を明るく照らしていた。
新兵器『艦首統括速射砲』を搭載した24隻の最新鋭戦艦はドレッドノート級をモデルに設計、建造され遂にその初陣を飾る事となる。
オライオン級戦艦は勇者達の歓迎を手厚く受けながら絶望の淵に立つ戦列に加わって行った。パレードはまだ終わらない。俺たちは勝つその瞬間までこのパレードを終わらしたらいけないんだ!
少し長めの内容で本命のオライオン級戦艦が登場するのはほんの一幕。
それでも楽しんでいただけましたか? 今回は少し時間が合ったので投稿させていただきました。次回から遂に最新鋭戦艦オライオンがその火を噴きます。
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