悪役にされた俺の末路 作:盾長
勇者の目前で隊列を成すのは、短期間での量産を成功させた24隻の最新鋭戦艦。その一番艦は“オライオン”と名づけられ元々は対勇者戦用として計画、建造さていた。だが俺個人の決断により、オライオン級は今敵であったはずの勇者と共同戦線を張っている。
オライオン級のメインウェポンとなっている艦首統括速射砲は本来、小回りが利き耐久力の高い勇者に対抗出来る唯一の兵器として俺は多いに期待を寄せていた。
ヤマトらが装備する波動砲は、四国或いは地球を破壊しかねないとされ自称神様にその運用を拒否された。まぁ、当然の流れではあるが。木星の浮遊大陸を消し飛ばしてしまったあの恐るべき兵器波動砲はこのような経緯があって永久に封印された。
生み出そうとしても、神様の制限が掛かり思うような形に仕上げられなくなっている。そこで、代用品として誕生したのがこの“艦首統括速射砲”と言う厨二が掛かった長ったらしい名前の新兵器である。
「全艦マルチ隊形を取れ! これより艦首統括速射砲の実戦投入に移る! 持てるエネルギーを艦首発射管に注入! 命令あるまでその場で待機せよ!」
「壇上……だったか、私達は一体何をしたら良いんだ?」
「艦首統括速射砲は波動砲よりも威力が抑えられているとは言え、勇者のみさなんが艦よりも前に出ればその巻き添えを食らう可能性が充分にある。だから、今はオライオン級の後方で待機していてくれ」
「……オライオン級ってあの前に居座っている新型の事か?」
「あぁ、そうだ。別にO級と呼んで貰っても構わない。本日付で本艦の機密を解除する」
勇者達が戸惑う中、24隻のオライオン級は横一列に隊列を整え艦首に半分以上のエネルギーを注ぎ込む。
統括と言う名の付く通り、主砲や対空砲などの他の箇所に散らばっている破壊エネルギーを一気に艦首へ送り込みタイミングを見計らって放出すると言うメカニズムを持っている。
これによりその破壊力は二倍、三倍に膨れ上がれ敵の一個艦隊程度なら軽く葬れる力を秘めている。また敵が密集していれば一隻で百隻単位の敵艦を文字通り塵以下の存在にしてしまう恐ろしい兵器だ。
『こちらオライオン級戦艦の十一番艦「オセアニア」、全艦エネルギーを艦首に集め何時でも発射できます』
「……勇者は対閃光防御! 目を隠せ! 艦首統括速射砲、発射ァ!」
『撃ち方始めッ!』
「目を隠せって、私達サングラスなんて持っていないんだけど!?」
「何でも良い、腕を覆うなりして自分の目を守ってくれ風さん!」
刹那、オライオン級の艦首から言葉では良い表せないほどの眩い光が溢れだしその光景はとても直視できない。
劈くような発射音と共に出現したその光は最低でも5分以上は続き、目を開けるようになったのは辺りが静まり始めた頃の出来事であった。
その頃には、あと一歩のところまで迫っていた470隻ほどのガトランティス艦隊が一気に70隻ほどにまで撃ち減らされ、生き残った艦は大きく反転し何の躊躇もなく撤退を始める。
その様子をオライオン級は高みの見物のように鎮座して眺め、追撃しようとする艦は一隻も現れなかった。そればかりか、次の発射に備え新たなエネルギーを艦内で生み出し再び艦首に送り始める艦の姿もあった。
しかも発射準備は六分も掛からず、艦首は再び光に包まれて逃亡するガトランティス艦艇の息の根を止めようと再び一隻のオライオン級から放出された。
「私、まだ目を隠す準備が出来ていないよ!?」
「だが見ろ! 一隻程度の光ならまだ直視する事が出来るみたいだ」
「あちゃー……戦いが一瞬で終わっていくなー。部長、私もう帰っても良いですか?」
「いいんじゃない? もう片が付きそうだから」
「もう全部あの舟に任せても良いんじゃあないだろうか?」
「私もそう思います、棗先輩……」
全員が呆気に取られている中、十四番艦「オメガ」の放った艦首統括速射砲が逃亡するガトランティス残存艦艇に直撃。燃え盛る炎を残してその全てがネジの一本も残らずに消滅した。
スマホのレーダー上に敵影は映らず、俺たちはその光景を棒立ちしながら眺め樹海化解除の瞬間に立ち会ったのである。
ー追記ー
・もう、艦首統括速射砲だけで充分なんじゃあないかな?
と言う冗談はさておき、艦首統括速射砲にはもう一つのある特徴が挙げられます。そう、兵器の名前にもついてあるこの“速射”と言う文字。
そうです、当然の如く平気でオライオン級はこのバケモノじみた兵器を五分おきに連発する事が出来ます。また、恐ろしい兵器を生み出してしまった物よのぉ……。
今後はこの兵器と上手く連結を取る勇者の描写を描かないと行けませんね。やったね、たえちゃん! ゲームバランスが崩壊するよ!
また、オライオン級戦艦のモデルは皆さんご存知のドレッドノート級前衛前衛航宙艦です。連装対空レーザー砲が7基増えたり、装甲が更に分厚くなってエンジンもそれなりに強化されていますがイメージは多分みなさんが思い描いている物で大丈夫だと思います。
誰かオライオン級のイラストをピクシブに投稿してくれねぇかなぁ……(チラッチラッ