悪役にされた俺の末路 作:盾長
若葉との対談から数十分、俺は部長直属の命令により此処瀬戸内海海底基地から少なからずの哨戒艦艇を派遣した。
この時海底基地を飛び立ったのは本来四国を覆う壁の外を調査するためだけに建造されていた『初雁型特務哨戒艇』
このタイプは地球防衛艦隊の駆逐艦を参考として建造され、速力、機動力共に他の艦を上回っているのが特徴的だ。また当艦は波動砲を搭載しておらず武装も戦艦や巡洋艦と比較して非常に少ない。
初雁型の武装は前部正面に連装砲を一基、後部に一基搭載。これが主砲としての役割を果たし下部にも同じ物が一基搭載されている。
だが勇者達が良く口ずさむバーテックスと言う脅威に対して、俺は今現在何も出来ずに居る。一応、それに特化した艦艇を幾つか整備しているものの実戦不足なためどのような攻撃をしてくるのかさっぱり検討が付かない。
「……何だその地震速報のような音は?」
「樹海化警報だ。間もなく、バーテックスとの戦闘が始まる」
つい今しがた初雁型特務哨戒艇が出発したばかりだぞ? もし戦艦よりも比較的火力の少ない哨戒艇がバーテックスと対峙した時……一体どうなるかは想像しなくても直感的に理解できるような気がする。
「そう言えば若葉。俺はまだバーテックスと戦った事がないんだよな。今の今まで俺は寧ろお前達勇者と対峙してきた。奴らとの戦闘はこれが初陣と言っても過言ではない」
「……だから……何だ?」
「もし、艦隊が奴らの攻撃で総崩れになったら……その時は戦線をよろしく頼む」
「……何ッ?」
一時期固まったのち、若葉は我に帰って何かを口走ろうとしていた。が、樹海化警報と言う音が更に強くなり辺りの風景は花びらのように散って行く。
世界が樹海化する一歩手前、基地に駐留する各艦は出撃準備を急ぎ既に宙へ浮いている艦も多く居た。これだけの戦力が整えば多少は持ちこたえれるだろう。勇者との共同戦線はもう始まっているんだ。
「全艦抜錨せよ! 目標はバーテックス、俺は各艦の奮闘に期待する!」
「各艦エンジン点火、戦艦オリョール既に抜錨。戦艦オリスカニーも間もなくドックを離れます。巡洋艦、駆逐艦の各艦も順次抜錨!」
無人のコントロールセンターから各艦の行動記録が棒読みながら読み上げられていく。オライオン級は勿論の事、新造された天鈿女命型も動き出し数を補うため多少埃を被った旧式艦のエンジンも唸り始める。
樹海化寸前にも関わらず基地内部は進発する艦の騒音で活気に包まれている。次々とドックから離れ行く多くの兵を眺めながら俺は遂に樹海化した戦場へその第一歩を踏み出した。
「……此処が樹海か」
ー追記ー
・初雁型特務哨戒艇はヤマトの護衛艦に後部主砲が付け加えられた物と考えてください。(最初からこう書いておけば良かった。
・同型艦は既に百隻を超え艦名は鳥の名前を頂いている。