悪役にされた俺の末路   作:盾長

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勇者空中同盟最初の初陣

「全員集まったな?」

 

「みんな居るよー!」

 

「はい! 誰一人欠けて居ません!」

 

 

 世界が樹海に染まって早数分。既に勇者の姿に変身していた若葉達は今こうして状況を把握しやすいよう全員が一箇所に終結していた。全員の枠組みには当然、俺も含まれておりまた、所有する空中艦隊もそのカウントに入っている。今回抜錨した空中艦隊の艦艇数は総数で百二十隻に昇り、現在も続々と支援艦隊が樹海内への進出を試みている状態だ。

 

 

「わー、空一面が空飛ぶ戦艦で埋めつくされているよー!」

 

「と言うか、まだこんなに居たのね……」

 

「何処から沸いて来たのよ……コイツら」

 

 

 千影の意見は最もだろう。我が空中艦隊は一週間前からこの対バーテックス戦に備え戦力を備蓄してきた。その立役者は当然、瀬戸内海奥深くに眠る瀬戸内海海底基地の秘密ドック郡なのだが、その他にも密かに建設され続けてきた『第二基地』『第三基地』の存在が極めて高い。これらの基地は未だ勇者達の知らぬ所にあり、場所は四国を跨ぐ多数の山脈郡の地下深くに存在する。

 

 第二、第三基地ではオライオン級を始めとした最新鋭艦の建造及び技術的な検証を秘密裏に重ねてきた。この場に居るおよそ三割の艦艇は、その第二、第三基地で整備、建造されてきた兵達だ。バーテックスがどの程度の脅威になるか分からなかったから、つい大量出血サービスを物理的に展開してしまったぜ全く。

 

 以上の三基地が全力を挙げて艦艇を整備してきたのだが、それでも戦場に間に合ったのは僅かに総戦力の五分の一。そして基地内に取り残されているであろう艦艇は総計三百隻以上に昇るだろう。これは、後になって分かった事なのだが艦艇が樹海と呼ばれる世界へ突入するには、最低でもドックから離れ空中に浮いていないと行けないらしい。出撃準備中の戦艦はもれなく、基地内での留守担当艦として任務を全うせねばならないのだ。

 

 

「そこそこ離れているから、此処から見ると真っ黒い塊が幾つも浮いているように見えるねー」

 

「そうだねー」

 

「そうだよー!」

 

 

 ……園子ズ達の反応は一先ずおいておいて、現状の把握を優先しよう。現在樹海内に展開する空宙艦隊は先述した通りの数値で、どれも最近就役したばかりの最新鋭艦だ。旧式艦は損傷や最新鋭艦について行けないと言う理由でどれも補助戦力に回されている。専属留守担当艦と呼んでもおかしくはない。

 

 数百隻余りの艦艇で、未知なる敵バーテックスに対し対抗出来るか否かと問われれば少々不安が残る。完璧な守備体勢なんて鼻から無いんだ。それはもう、対勇者戦没において学んだだろう。今、俺に出来うる事は、共に戦う彼女らの負担をなるべく軽減する事にある。勿論、このかき集めた空中艦隊で。

 

 

「さて、どう攻めようかしらねー」

 

「中央突破で良いんじゃあない? 無難で何時も通りに」

 

「そうですね、今回のバーテックスも大した数ではありませんし、雪花さんの言う通り真っ直ぐ突っ込んで敵を殲滅すればよろしいかと……」

 

 

 部長の問いに対し、後方支援に当る須美ちゃんの後押しが入る。まだ小学生なのにこの三人はとても勇敢だな。俺も頑張らなくちゃ。

 

 

「……ッ! バーテックスを視認しました! みなさん、順次戦闘態勢に入ってください! 敵の中には昨日居た謎の艦隊も含まれているようです!」

 

「良し! 前衛はこのタマに任せタマえ!」

 

「勇者達よ、私に続け!」

 

 

 杏の言う昨日居た謎の艦隊は……察するに自称神様が繰り出すガトランティス艦隊で間違いないだろう。彼らと共に戦うなんて真っ平御免だ。どうせ戦うなら今この場に居る勇者達か原作で同盟を結んだガミラス艦隊の方が良い。

 

 さて、奴らの艦隊には“火焔直撃砲”を備えたメダルーサ級殲滅型重戦艦が随伴しているのやら居ないのやら。

 

 

「謎の艦隊は任せろ。こっちで引き受ける。部長達はガトランティスに構わずバーテックスを殲滅してくれ」

 

「艦隊は任せたわよ、春男」

 

「あたぼうよ、バーテックスはお前に任せるぜ夏凛」

 

 

 彼女達と同盟を結んで早一週間。俺たちは戦場と化した樹海で今日も虎視眈々と暴れまくる。




ー追記ー

・第二、第三基地とは?

・第二、第三基地とは四国に跨る讃岐山脈を始めとした山岳地帯の地下深くに存在する巨大秘密基地の総称。此処には両基地合わせ計八百二十ほどの地下秘密ドックが眠っている。その主任務は消耗する戦力の再建である。

・勇者達は瀬戸内海海底基地こそ知るものの、この第二、第三基地は存在すら把握していない。名称はそれぞれ、第二基地が『讃岐基地』、第三基地が『法皇基地』と称される。何れも壇上にとっては必要不可欠な存在として今日もハイパワーで稼働している。
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