悪役にされた俺の末路 作:盾長
メダルーサ級殲滅型重戦艦の随伴については、火蓋が切って落とされた現在も明白な答えを得る事無く、戦況は膠着化しつつあった。我が軍の戦線を支えるのは当然前衛で猛々しく戦う勇者達なのだが、それを背後から支援しているのは言うまでもない我が艦隊。ブロック工法などで大量生産されたオライオン級戦艦を筆頭とした『勇者空中同盟軍』は、艦首統括速射砲を上手く使いまわし、現在までにガトランティス側の損害は三十を数える。
しかし、これだけの損害を被っても尚ガトランティスの勢いは衰えるところを知らず強引とも言える無謀な突撃を繰り返してくる。無謀だけなら、それで良いのだ。
「前に進めば進むほど、ガトランティスの数が増えていくんだけど……」
「まるで、害虫のように何処からともなく沸いてくるわね」
「あれぇ? バーテックスの数がガトランティスよりも少ないよ?」
勇者達が懸命に戦う各戦線より、最新の情報が逐一俺の目前に投影されていく。スマホの勇者通信なるアプリによって各々の連携が図られているわけだが、どうも敵の戦線はほぼ全てガトランティス側が支えているらしい。バーテックスの数も尋常と言うわけではなく、寧ろ消極的。戦闘開始から僅かに十二分余り。バーテックスの軍勢は遂に勇者達の活躍によって呆気なく討伐されてしまう。
これによって、緊急出航した対バーテックス戦艦「天鈿女命型前衛ドリル戦艦」の活躍はほぼ皆無となってしまう。さすれば、この艦首に添えつけられた無数の巨大推進ドリルを戦線打開のため一斉にガトランティスへ向かって投射するのみか。
「天鈿女命型は、オライオン級よりも前に出ろ。これより、滞在する全艦を持ってガトランティスに向けた攻勢作戦を前面的に展開する」
「えーと、私達はどうしたら良いのかしら?」
「……そうだな、部長達は側面から味方の流れ弾に注意しつつ攻勢に入ってくれ」
「分かったわ」
これらのやり取りは、全てスマホに搭載されている勇者通信による無作為な通信記録である。そして、パーティー全体で共有されるこの会話は全て後方に待機する情報収集艦によって傍受される。内容は全て検問され、いざと言う時に備え大切にデーターごと保管されるのだ。最も、その大切な時とやらはいまいち良く分かっていないのだが。
ともあれ、我々『勇者空中同盟軍』は残党と化したガトランティス艦隊を殲滅するべく前向きな攻勢に打って出た。側面からは、勇者と予め配備されていた駆逐艦などによる面制圧が行われ、主力である前衛からは天鈿女命が搭載する巨大推進ドリルによる掃討作戦が実行に移される。
艦首と接続されていた巨大なドリルが、今、ガトランティス目掛けてゆっくりと切り離されていく。ドリルの後部には使い捨ての推進器が添えつけられており、小柄ながら充分な馬力をその場で得る事が出来る。毎分30キロで突っ込む40規模の巨大なドリルが一路ガトランティス目掛け直進し、突出していた一部が遂にガトランティスの前衛艦に突き刺さる。
メキメキと言う鈍い音を立てながら、ガトランティス艦艇は艦首から爆散していく。この時点で、既に十隻余りほどが轟沈、或いは大破、航行不能に陥っている。残る30規模の推進ドリルは迷う事無くガトランティスの艦艇に突き刺さり、彼らを地獄の底へあっと言う間に招待してしまうのであった。
今回は特に無いよ。