悪役にされた俺の末路 作:盾長
巨大な推進ドリルを全て放ち終えた天鈿女命型は、最早ただのオライオン級と言っても良い艦影になる。
ドリルが備え付けられていた艦首は、大きな穴が開きそこには艦首統括速射砲がガトランティスを狙うように沈黙している。
この二種類が、現在俺たちの戦線を支えている最新鋭戦艦となるわけだが、戦局は以前として防戦一方。
攻勢に入る隙も無く、ガトランティスは何処からともなく百隻単位で艦隊を繰り出してくる。勇者空中同盟軍艦艇は、ただ消耗していくだけだ。
「良し、私が突っ込む。壇上はオライオン級で私を援護してくれ」
「待て、一人であの只中へ突っ込むと言うのか!? 馬鹿な真似はよしたまえ」
「しかし、戦局は一向に変わる気配はなく私達は少しずつ追い詰められているじゃあないか。此処は何人かの勇者で戦線を押し上げるのが専決だと思うのだが」
「私も、若葉の意見に賛同するわ。前衛は任せなさい」
血気盛んな一部の勇者達が、若葉の意見に耳を貸し武器を携えて艦隊よりも前に進出しようとしていた。オライオン級と天鈿女命が支えている防衛ラインよりも。
空中に漂っている戦艦のため、勇者に対する誤射は滅多に無い。が、勇者達が前に赴けば艦首統括速射砲の射線に入ってしまう。
今でも、連続して同砲を発砲し続けているが、これも勇者達が後ろで星屑達を掃討しているお陰とも言える。
バーテックスの本隊(?)が消滅したとは言え、以前として星屑と呼ばれるバーテックス達の取り巻きはガトランティス同様、健在である。
奴らは俺を見つけるや否や、恐ろしいぐらいの速度で大きな口を開け突っ込んでくるが、その都度、若葉や結城らの活躍によってこの難を退けてきた。
やはり、一人で広大な土地を守ってきた歌野や棗。そして雪花はこの場面で相当な強さを発揮し、オライオン級に寄り添う星屑達を手当たり次第殲滅していく。
天鈿女命達も、これに安心し背後から迫る敵は完全に勇者達に任せっきりの状態になっている。
各個撃破に専念しつつも、一挙撃破のチャンスを窺っていたつもりだった。
「やはり、彼らの母体を落とさない限りは永遠に増え続けるのでしょうか?」
杏、それを言ってしまったら、奴らの母艦とも言えるあの白色彗星を相手にせねばならないのだぞ? 冗談はよしてくれ。
「そうだよなぁ! これじゃあきりが無いよなぁ! やっぱり、奴らの奥地に母体となる巨大な戦艦が悠々と浮かんでいるはずなんだよぉ!」
短気を切る珠子の相手は誰かがしてやってくれ。まだ、突っ込むタイミングでは無いぞ。俺の背後で孔明がそう囁いている。
「まぁ、待て。そう早まる出ない。そろそろ“例の艦隊”が此処に到達する見込みだ。だから……何とかそれまで耐え抜いてくれないだろうか?」
「例の艦隊? また妙な言い方をするもんだねぇ」
「言い方から察するに、多分私達の援軍かな? じゃあ、もっと頑張らなくちゃね! ぐんちゃん!」
「全力で此処を死守するわ。高嶋さん」
切り替えの早い郡さんは置いておき、高嶋を筆頭に此処をもう少し耐えてくれる勇者達が突撃派よりも増えつつある。
オライオン級をより発展させた“アンドロメダ級”や“春藍級”、そして艦首統括速射砲を四基搭載する“プラハ級”が戦線に到着した暁には、ガトランティスなどおそるるに足らず。
最も、プラハ級に到っては未だに一番艦が建造中なれども、前者の二タイプは間もなくこの戦線に到達する予定だ!
耐えろ! 耐えるんだ、勇者よ! 勝利の女神は、確かに我らに微笑んでいるぞ!
「壇上君ーー! 危ないーーッ!」
……へ?
ー追記ー
・この世界線におけるアンドロメダは波動砲を搭載していません。代わりに、艦首統括速射砲を艦首拡散速射砲として登場する予定です。やったね、たえちゃん! アンドロメダがもっと強くなるよ!
・春藍もどうようにこの世界線仕様として登場するかも知れません。プラハ級はこの後継艦に当たります。
・そしてプラハ級はヤマトの世界で言う波動砲を艦首に四基、集中搭載しています。その威力は最早お察し下さい。