悪役にされた俺の末路   作:盾長

7 / 28
次の作戦まで

 先の戦いから数日余りが経過し、俺の財布も雀の涙ほどになった今日この頃。この日、珍しく神様から一本の電話が入った。内容は現在の財政状況や今後の勝算の見込み。次の作戦までに失った兵力の再建は可能か否かといった割と真面目なお話だった。

 

 財政は最悪で、勝算の見込みは今の所無し。兵力にいたっては艦隊は壊滅し、残存部隊と言えば神様から貰った頼りなさそうな航空機郡。そして最も消耗するであろう陸上部隊。戦車を中心とする機甲化大隊の皆さんが今の現有戦力と言っても差し支えない。

 

 この最悪な状況を神様に伝えると、向こうはこう言ってきた。

 

 

 

「えっ? まだそんなに戦車が居るのなら充分に戦えるでしょ? 馬鹿なの?」

 

 

 

 上からの無茶苦茶な命令。俺じゃあなかったら確実に失敗しちゃうね。

 

 まぁ、そんなこんなで電話は向こうから一方的に切られる形で終り俺は次のXデーが近い事を同時に悟った。どうやら神様はこの状況でも充分に勝てると言うどこから来たか分からない多いな自信をお持ちのようだ。

 

 樹海と呼ばれる特殊な戦場で、戦車は果たして実力を活かしきれるのだろうか。勿論、状況次第では上手く立ち回れるかも知れないが生存率はあまり期待できないであろう。

 

 木の根のような物が張り巡らされ道らしい道がない戦場で戦車が高速で動き回りつつ射撃をするなんて……とても想像しにくい。

 

 しかも俺が持つ戦車は全て第二次世界大戦時に活躍した物ばかりだ。これが現代戦車ならもう少し上手く立ち回れたのかも知れない。

 

 WW2の物は一旦静止してからの射撃が主流で走りながらの射撃は少々無理がある。勿論、出来ないと言うわけではないが命中率は著しく低下するであろう。

 

 

 

「……戦車かぁ」

 

 

 

 今まで全くと言っても良いほど想定していなかった戦術が今、実行に移されようとしている。本作戦で支流となるのはWW2で活躍した世界各国の主力戦車達だ。

 

 だが、不幸な事に神様は戦車の使用台数にまで制限をかけてきやがった。

 

 

 

「戦車の上限数は1戦中200両まで。それ以上は禁止とする」

 

 

 

 戦車の群れでベルリンの壁を作ろうとした俺の計画は此処で立ち消える事になった。くたばれ神野郎。

 

 かの「クルクスの戦い」では約8000両近い戦車が激突し激しい戦車戦を繰り広げた事で知られている。俺も何時かこれほどの大兵力を一度に動かしてみたい物だ。

 

 だが、愚痴を言っていても悪戯に時間が過ぎ去っていくのみだ。俺は深い溜息を吐きながら次の作戦を練る事にした。

 

 作戦を練る最中、神様から一本の電話が再び入った。

 

 

 

「ウッス、元気にしてるかー? 壇上、次の侵攻が近いぞー。次の侵攻は一週間後の5月17日だ! それまでに準備を済ませとけよー! じゃあなー! 期待してるぞ!」

 

 

 

 またしても一方的に切られ、俺は今年のカレンダーに注目した。5月10日の今日。艦隊は未だ復旧の見込みはなくやはり作戦当日となる5月17日は戦車による地上戦が中心となってくるであろう。

 

 状況が刻一刻と変わる中、俺は頭を抱えながら神様から貰った樹海内の地図を見下ろした。一面、木の根に覆われた整地されていない土地。

 

 使用可能な戦車は合計200両程度。もしくは未満。

 

 火砲は恐らく上限自由であると信じたいが戦場は限られ運用数も少数程度だろう。航空機はたんまりあるが肝心の対地攻撃機が不十分。

 

 持てる対地攻撃機と言えばソ連の「Il-2シュトゥルモヴィーク」が精々35機あるかないか。何故ソ連機なのかは俺もさっぱり分からないが対地支援機はこれが主力となる。見た目と性能は申し分ないがな。

 

 自走砲についてはドイツのヤークトパンターが15両。ヤークトティーガーが20両。ソ連のSU-100Yが15両の計50両。これらは全て神様が定めた兵力である。

 

 戦車については後ほどに語られると思うが、5月17日の戦力は以下の通りになる。

 

 

 

 戦車200両、自走砲50両、航空機35機。

 

 

 

 その他の戦力としてアメリカ軍M20装甲車が30両。ドイツ軍80cm列車砲1両。そしてドイツの突撃砲が13両程度が全戦力だ。見事な多国籍軍である。

 

 確かに大規模な戦力ではあるが、上手く使わなければただの鉄くず同然となる。

 

 俺は日夜、これらの戦力を上手く活用するための準備や作戦を練った。

 

 作戦が成功すれば、俺は神様から金銭などの報酬を受け取る事が出来る。生命線のためなら徹夜も辞さなかった。

 

 やがて1週間が過ぎ、俺はこの作戦のために万全な備えを固めた。

 

 地震速報のような警報が鳴り響き俺は息を呑みながら戦いに覚悟を決めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。