荘園life~日常の中の非日常~ 作:黒薔薇ちゃん
【登場キャラ】
・「傭兵」ナワーブ・サベダー
今回主役。サバイバー。愛想があまりよくない、チェイサーズメンバー。暗号機などから発せられる機械音が苦手。仲間思いな性格だが人とはあまり深くかかわりたがらない。
・「リッパ—」???
ハンター。霧に隠れる。ちょっと意地悪。
・「オフェンス」ウィリアム・エリス
サバイバー。身体能力は高いが解読は苦手。とにかく明るく誰にでも同じように接する。タックルでハンターを気絶させたりもする
・「機械技師」トレイシー・レズニック
サバイバー。機械操作にたけていて、ロボットを操る。ちょっと怖がり。
・「医師」エミリー・ダイアー
サバイバー。治療が早く、解読もそこそこできる。結構昔から荘園にいる人。
・「冒険家」カート・フランク
サバイバー。今回は名前だけ。
耳障りのいいその声が、好きだと思った。
優しくて、まるで俺を心配するような。
それでいて、どこか寂しそうな。
そんなあいつの声を、好きだと思ってしまった。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
「おいナワーブ!次試合だぞ」
広間の反対側からでも聞こえるウィリアムの大きな声。
ん、と手を振って返す。
今日の試合は、湖景村で行われる。
メンバーは確か…俺、エミリーさん、ウィリアム、トレイシー。
俺とウィリアムがチェイス、エミリーさんとトレイシーは解読、が一番いいだろう。
そんなことを考えながら待機室へと入ると先に来ていたトレイシーが顔をあげる。
「ナワーブくんウィリアムくんよろしくね!」
「トレイシー、早いな」
「えへへ…解読頑張るから、二人も頑張ってきてね」
「もちろんだぜ!な、ナワーブ」
「ん?ああ」
「ナワーブくんは無茶しすぎないでね?エミリーさんとマーサさんが怒ってたよ、この間の試合の後」
「俺だっているんだからお前ばっかりチェイスしなくていいからな」
「ウィリアムは解読したくないだけだろ」
「別にぃ考えるのが嫌なだけだしぃ」
ウィリアムがむすっとして頬杖をつく。
「えーなにそれ、暗号機の暗号ってそこまで考えることないじゃん」
「トレイシーはそういうの得意なんだから三台分くらいいけるだろ」
「ロボ使ったら行けるかなぁ…あんまり心配かけないでね、集中できなくなっちゃう」
「へいへい」
そんなことを言い合っていると最後にエミリーが入ってくる。
「あら、最後だったわ。お待たせ」
「エミリーよろしくな」
ウィリアムがにこにこと笑って、エミリーが着席する。
と同時にハンターの準備も終わったようだ。
会場に転送されます、というアナウンスが響いて、パリン、というガラスの割れる音が脳内に響く。
次に目を開くとざぶん、という音と潮のにおい。
いろいろあってこの村の住民はいなくなってしまったらしい。恐ろしいことがあったとか、前にカートさんに教えてもらった。
とりあえず海に比較的近いところから始まった。近くの暗号機を解読していると無線で「解読に集中して!」という言葉が送られてきた。
ウィリアムからだ。ここからはかなり離れたところだと思う。
俺の解読している暗号機が八割ほど終わったところでトレイシーがやってきた。
「ナワーブくん!手伝うよ」
「ありがとう…もう一台終わらせたのか?」
「うん、今は小屋の中でエミリーさんが解読してて、多分難破船の残骸あたりのところでウィリアムくんがチェイスしてるかな」
「壁周りは強いからな。ウィリアムならエミリーさんが終わるまではひきつけていてくれそうだな」
「ここもあとちょっとだし私は先に船の中の暗号機の解読してくるね、あとはよろしく」
ここまでは恐ろしいくらいに順調だった。そう、ここまでは。
それから間もなくして、エミリーさんがダウンしてしまった。恐怖の一撃を食らったんだろう。あれは…小屋の辺りだろうか
だがこれで今回のハンターもわかった。リッパーだ。
霧に隠れるあいつは厄介すぎる。
残り暗号機は…トレイシーが解読しているのを除くと一台。
ウィリアムは解読があまり早くないから…肉壁になるしかない。
「解読中止!助けに行く!」という言葉を無線に残し走り出す。
これできっと、ウィリアムは解読してくれるはず。
そんな甘いことを考えていたのが間違いだったのか、船の上の暗号機を解読していたはずのトレイシーから無線が送られてきた。「ハンターが近くにいる!」というのと同時にダメージが入った表示。
チェアに縛られたエミリーさんを救助するのと同時にトレイシーがダウン。
ここからは消耗戦だった。
ダウンさせられても放置で失血死狙いなのか、じわじわと削られていく。
トレイシーを助けに行ったエミリーさんが殴られ、トレイシーは再ダウン。すぐにエミリーさんもダウンしてしまった。
エミリーさんが先につられ、飛ばされてしまった。
ウィリアムから「早く逃げて!」という無線。
気付いた時には、俺一人だった。ハッチがどこかで開く音がする。
でも、もう。どうせ負けるんだ
心音が鳴り始めた。あいつが来る。いっそチェアで飛ばしてもらおう。そっちの方が早い。
「ヘァァ…貴方、何してるんです」
困ったような仕草をしながら近づいてくるリッパー。
「俺が逃げても負け、逃げなくても負け。それならめんどくさくない方を選ぶだろ。」
「可愛げのない人ですねぇ…もう追う気もなくなってしまいました…」
「ほら、早く吊れよ」
近づいてきたリッパ—は、俺を殴ろうとしない。
「なんで殴らない?」
「ほら、無抵抗の人間をいたぶるのはあまり好きじゃないですし、どうせ私の勝ちなんですよね」
「ハンターが何言ってるんだか」
「それともあれですか、貴方そんなに殴られたいんですか」
「いや、違うけど…って近寄るな」
とっさに腰に手を伸ばしナイフの柄の部分を握りしめる。
「そうですそれですよ、抵抗してください」
ちっ、と舌打ちをして近くのまどを乗り越え、難破船の方へと走る。
「遅いですよっ!」
霧の刃が当たってしまう。寒い、冷たい。
ぐるぐると壁の辺りを回っているとしばらくして痛みが襲ってきた。
しゅわん、とリッパ—が透明化した音が聞こえた。
そういえば、なぜリッパ—は俺を殴らないんだろうか
今までのチェイスで、殴れるところはたくさんあったはずだ
そんなことを考えていたからか、判断が遅れた。あっけなく2発もらってダウンしてしまう。
「ヘァァァ…何ぼけっとしてるんですか貴方らしくない」
「っ…お前には言われたくないなっ…」
痛む傷とくらくらする頭を押さえる。
「前々から思ってたんですけど、」
「なんだよ」
「貴方って、いつもダメージが遅れて入るじゃないですか」
「それが」
「痛い、って言う感覚が後から来るわけですよね」
「あぁ」
「他の感覚もそうなんでしょうか?」
「さあな、試したことないし」
それなら、と言って風船につるされる。
そしてすぐに落とされた
「っぐ…っぃってえなぁ!」
「これは痛いんですね?それじゃあ…」
またつるして、今度はもうちょっと高いところからと落とされる。
うぐ、とつぶれた声を出していると楽しそうに笑うリッパ—。
「まだなにかするのか早く飛ばせよ…」
と、毒づいて睨みあげると、おどけて肩をすくめて見せる。
「おや、貴方に反抗する権利がありますか?」
めんどくさいやつだ。反抗しろと言ったりするなと言ったり。
もうこれ以上なにを話しても無駄だと思い静かにすると今度はまた風船につるしてマップを歩く。
「ねぇ、貴方名前は?」
「そんなもん聞いてどうするんだよ」
「貴方、って呼ぶの堅苦しくて嫌じゃないですか」
「いいや別に」
「それに貴方に拒否権はありませんし」
もはや何も権利ないだろ、とぼやくとごまかすように鼻歌を歌い始めた。
海の近く、初めに俺が解読していたところにつくとリッパ—は俺を落とした。
「ほら見えますかハッチですよ…まだ逃がしませんけど」
「もう十分だろ逃がすか飛ばすかしてくれ」
「じゃあ失血死するまで私と話しましょう、早く名前を教えて下さい、じゃないと逃がしませんし飛ばしません」
もうめんどくさいを通り越してあきれてくる。こいつは本当に何がしたいんだろうか。
「ナワーブだよ。ナワーブ・サベダー。これで満足だろ」
「ナワーブくんですね、ちゃんと覚えておきます」
「なんで覚えるんだ」
「それはですねぇ…まだ秘密です。ほら、開放して差し上げます。ハッチへどうぞ」
なんとか這いずってハッチまでいくと後ろから声が降ってくる。
「このナイフ、預からせていただきますね」
後ろを振り返ると俺のナイフを大事そうに抱えるリッパ—の仮面と目が合う。
「いつの間に…おい、返せよ」
「今夜、私の部屋に来てくださいよ。そうしたらお返しします。これは他の人には秘密にして下さいね?ナワーブくん」
そう言って俺の背中をおしてくるのでハッチへと落ちる。
最後に見えたのは、どこか楽しそうに手を振ってくるリッパ—だった。
第五人格ってまだ開発途中なジャンルだからここでは1番!!!ってことで
いろんな日常と非日常を描いていきたいと思っております
みなさんに第五人格というジャンルの奥の深さを知ってもらいたい…
個人的に4VS1の非対称鬼ごっこだけではなくキャラストーリーとか世界観が楽しめるってすごいって思うんだ…