冥界に行ってから早くも一年たった。その間、リアスたちの所に遊びに行ったりこちらにリアスたちが来たりと、楽しく時間は過ぎて行った。
『明日、紹介したい子がいるから遊びに行くわ』
「えっ、明日」
『そう明日よ。お菓子とか用意しといてね」
リアスからののお誘いはこのように唐突にやって来るから困る。狙ったかのようにその日には予定が無いので、無理だと断ったことは無いけど。
紹介したいことは誰だろうか、まあ考えても誰かなんて分かるはずもないのでそんなことより明日の準備をしなければ。母さんに明日友達が来ると伝えて、お菓子を買いに行く。
スーパーでお菓子ジュースをいくら買った帰り道、傷だらけの黒猫を見つけた。
無視するのは繊細な俺の良心的ではできないので、治療をして連れて帰ることにした。
治療方法だが、赤龍帝の籠手で自身の生命力を限界まで上げ譲歩、そのあと自然治癒力も限界まで上げ譲歩する。それで全快するわけではないが、傷ぐらいは治った。
黒猫を抱っこしたところでドライグが話しかけてきた。
『その黒猫、悪魔だぞ』
「まじで」
『ああ、本当だ。それでどうするんだ』
「ここで見捨てるわけにもいかないし、連れて帰ろうかな」
悪魔だろうとこんなに弱ってるこの黒猫を、このままハイさよならなんてできないので、そのまま連れて帰ることにした。
歩くこと数分、腕の中で眠っていた黒猫が目を覚ました。目が覚めた当初は暴れて逃げ出そうとしたが、大丈夫怖くないと言いながらしばらくの間撫でていると、思いが伝わったのか大人しくなった。
「そこの少年、その猫は黒歌という名前で私のなんだ。だから渡しておくれ」
目の前に小太りのおっさんが現れ、この黒猫の飼い主だと名乗ってきた。本当に飼い主ならすのだけど黒猫は目の前の男を威嚇しており、返すべきか悩んでしまう。
とりあえず、この男が飼い主だという証拠もないので丁重にお断りして、帰ろうとすると男が、
「チィ、人間がこちらがした手に出てやれば。渡さねば殺すぞ」
と、脅してきた。
いつの間にか小太りの男以外にもひとが増えていており、囲まれてしまった。
この黒猫が悪魔なら飼い主だと名乗る男の悪魔だと早く気付くべきだった。
こりゃ絶対面倒事に巻き込まれたわと嘆いていると、黒猫が腕から飛び出し人の姿を変え、自分はどうなってもいいから俺お見逃せと懇願している。
「しかし、黒歌のせいで私たちが人間じゃないとばれてしまったから、証拠隠滅のため殺さないと。お前たちさっさと殺れ!」
男に命じられ、囲っていた者のうち一人が攻撃をしてきたので回避する。
ドライグ達を相手にしてきた俺にこの程度避けるのは造作もないわ。そく禁手化をし、攻撃してきたものを蹴り飛ばす。
禁手化した俺を見て動きを止める悪魔たち、そりゃこんな子供がかの赤龍帝だなんて誰も思わないだろうな。ベルザードさんによって出来た見的必殺の精神により、動きを止めた悪魔どもをチャチャーっとたおす。
「私のことどうする気なのかにゃ……」
残ったのは俺と黒猫だった黒歌だけだ。黒歌は次は自分の番じゃないのかと警戒をしているので、禁手化を解除する。
何もしないよーと言いながら両手を上げ一歩ずつ近寄ろうとするが、黒歌も僕に合わせ一歩下がる。そんなことを繰り返すこと数十分正直恥ずかしくなってきた。
「どうやら本当に何もする気が無いようにゃ」
先に折れたのは黒歌のようだった。よかった、あと少し遅ければきっと逃げ出してたから。
そのあと黒歌がなぜこのような状況になったのかを説明してくれた。
そして、迷惑かけるからと別れの言葉を言い去ろうとする黒歌、俺はその腕を掴む。
「迷惑なんて思ってないよ。それに行くところなんてないんでしょ、なら家においで」
「けど、またさっきみたいな事が有るかもしれないにゃ」
「そん時は守ってあげるよ。家族もだれも傷付けさせるつもりはないからね」
そのまま黒歌を連れて帰り、母さんに嘘だらけの説明をしたら、苦労したのねと黒歌を抱き寄せる。
そして黒歌はうちで暮らすことになった。
とりえずは一件落着かな。
『明日、リアスが来るんじゃないのか』
忘れてた、どうしよう。
ヒロイン№007 『はぐれ悪魔』 黒歌