※一部半端な描写不足により、読者様へ本来の意図した情景とは違った解釈となってしまったこと、深くお詫び申し上げます。
つきましては、内容を一部修正させていただきましたので、確かめてみたい方はどうぞご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
また、他にも誤字脱字ありましたら、ご報告いただけると有り難く存じます。より良い執筆を心掛けて行きたいので、皆様お力添えのほど、どうかよろしくお願いいたします。
長々と前書き、失礼しました。これからもどうぞ本作品をご愛読くださると、これに勝る喜びはございません。
再びさあやの機嫌を損ね、望まぬ第二次世界冷戦の狼煙を上げてしまった己の腑抜けっぷりにはほとほと呆れたものだ。校内アンケートで学習しない男子生徒部門があれば、堂々の一位に君臨するまでの所業だぞこれは。
流石に図書室まで同行したうえ、謝罪の場とするにはあまりにも不適切である為、止む無く今日は諦めることとしよう。代わりというわけではないが、別で落ち合う用事がある為、高速移動で待ち合わせ場所へ。
辿り着いたのは、街から少し離れた木々に囲まれている泉のほとり。側には目を見張るほどの大樹が聳え立ち、数百年は下らない樹齢の貫禄を感じさせる。
その根元付近に、目的の待ち人達がいた。
「やぁ……待たせたね」
「ほんまやで!優しさナンバーワンのハリーさんでも限界いうもんが──お前、どないした?ごっつ浮かない顔しとるで」
こちらの姿を見かけると、ハリーが待ちくたびれたとばかりに不満をとばしかけたが、顔を見るなりすぐに怒気を納めて打診してくる。
「聞かないでくれ……今あんまり気分じゃ──」
「はぎゅ。はーぎゅぅっ」
「お待たせぇはーぐたんっ。絢飛にぃにでぇすよぉ〜!」
「はぎゅ、は〜ぎゅ♪」
ハリーに続けてこちらを視認した途端、目を輝かせて両手を挙げながら抱っこをせがむはぐたんを瞬時に抱き上げる。この子さえいれば世界が救えるのではないかとさえ錯覚するほどの癒し効果に、先程までの沈んでいた気持ちがみるみると立ち直っていく。
「切り替わり早すぎやな!……まあええわ。ほんで、はなの方はどないしたんや」
「彼女なら『野暮用で少し遅れる』ってさ」
「まだ待たされるんか……せやったらケント。お前個人との話を済ませとかアカンな」
「僕個人……?」
やれやれといった風に溜め息を吐くハリーはそう僕に告げると、すぐに表情を引き締めて言葉を続け始める。
「ああ。さっきの怪物、オシマイダーに襲われた時や。わいははぐたんを止めるんに必死やったから、背中越しで一瞬しか見えへんかったけど。こっちに走ってくるはなにあの土の塊が降って来よった時、あいつの目の前にお前が一瞬で現れた後、アレをいとも簡単に砕いたように見えたんや」
僕個人に対する話という時点から多少予想はしていたが、やはりそう来たか。あの時は野乃さんの命が関わっていた為、正体がバレる危険などなりふり構ってはいられなかった。
え、その後が無能な空気になっていたって?仕方がないだろう、動きたくても動けなかったんだ嘘じゃない。全身脱力からの呼吸苦と倦怠感が一気に襲ってくるあの酷さはとても言葉では表現しきれないほどの想像を絶するものだった。あのまま長時間同じ状態が続けばいずれは命を脅かしていたことは想像に難くない。
「気のせいやったらそれでええ。で、どうなんや?あれはお前やったんか?正直に答えてくれ。返答次第では、今後お前に説明するんかせえへんか変わってくるんや」
「今後の、説明?」
「せや。で、お前なんか?違うんか?」
恐らくあのチャラついた男が怪物を生み出していたのだろう。となれば、この先も奴がはぐたんたちを付け狙う可能性は大いにある。
この子達を見捨てるわけにもいかないし、何より純粋に守りたい。だったら僕の能力を知っておいてもらった方が、堂々といつでもどこでも駆けつけることが出来る。うむ、完璧じゃないか。
「……ああ、君の考えている通り、あれは僕だ。」
「やっぱ、そうなんやな。これではぐたんが初対面のお前に懐いてた事にも説明がつくってもんや」
「どういう事?」
「前にも言ったやろ。はぐたんの元気の源はアスパワワやて。せやからはぐたんは自然とアスパワワが集まるものや場所に惹かれんねん。そして……はなやお前にも、かなりのアスパワワが溢れとるんや」
「僕にも……?じゃあ、まさか僕もプリキュアに──」
「いらんボケかましとんちゃうぞ、アホが」
あ、そうですよね。流石に男であの衣装はなぁ……そりゃあプリキュアに男がなれるわけないよなうん。と、フラグみたいな発言を残してみたりする。
「ほんでも、お前の言う能力。その一端をアスパワワが担っとるんは確かやと思うで。でも主な力の元は多分また別物やな」
「そうなの?でもよくそこまで分かるね」
「一応わいにもアスパワワは見えるんやで。ちなみにお前のメインになっとる力も変なオーラみたいに見えとるで。見たところ成長段階っていった所やな」
凄いなこのネズミ。アスパワワとやらだけでなく僕自身に備わっている力まで見えていたとは。しかし具体的な能力の詳細までは流石に分からないか。あ、ちょっ、はぐたん。服の襟あんま引っ張ると伸びちゃいます。
「ほんで、ワイが見た限りの予想やと瞬間移動と土の塊を砕けるぐらいには硬いっちゅう所なんやけど、どや?」
「んー、当たらずも遠からずって所かな。じゃあ、正解を実際にお見せしようか。辺りに人も居ないからバレないだろうし」
そう言って十数メートル先に埋まった大岩を指差す。
「あれ、見てて」
「あの岩がどないした──え」
「はぎゅ?」
「こっちこっち」
ハリーが一度岩を見てから向き直った時には、すでに隣には僕の姿はなく、代わりにはぐたんがちょこんと座っており、僕はとっくに大岩へと凭れ掛かりながらハリー達へ手を振っている。
「は?へ?いつの間にそっち行ったんや?やっぱり瞬間移動やないか!」
「厳密には少し違うよ。僕はそこから消えたわけじゃない、ちゃんとそこからここまで移動したんだよ。勿論、足を使って」
「瞬間移動やないんやったら一体……まさか走って行ったんか?そこまで」
「ご明察。君たちには見えないぐらいの速さでこの大岩目指して走って来ただけだよ。そして……っしょ、と」
「んな⁉︎な……な……岩を……持ち上げとる⁉︎」
「これは予想外かな。一応怪力もあるんだ。まあ、本気で力を振るう機会は殆どないけど。んで……最後に、いよ、っと」
僕は大岩を片手で放り投げ、落ちてきたところに腕を軽く突き上げただけで大岩は容易く砕け散り、僕の周りへ様々な大きさの石となって転がっている。うん、痛みのいの字すら感じられなかったな。
「……お前が敵やったらと思うと身震いが止まらへん」
「大丈夫。はぐたんを守る為なら存分に発揮させてもらうよ」
「わいも守ってぇなぁ!」
「冗談冗談。二人ともちゃんと──」
「……せやけど、今の能力……アイツと似とったな。でも、それならもっと色んなんがあった筈や……いやでも──」
「おーい、ちょっと……まあ、いいか」
再びハリーたちの元へ戻り協力を申し出るが、何やらブツブツと奇妙なひとりの世界にふけこみ始めていたので、そっとしておいた。
「お、そんな話をしてたら……ナイスタイミングかな」
互いの話を済ませた丁度その時、遠くから見慣れ始めた姿がこちらへと駆け寄ってくるのが見えた。
「は〜ぐた〜ん!お待たせぇ!」
「は〜♪」
遅れてやって来た野乃さんが満面の笑みではぐたんを抱き上げ、頬を擦り付け始めると、嬉しそうにではぐたんが応える。どっちの立場でも羨ましいシチュエーションですねハイ。よし、ファイン──
「ていうかここは?」
「はぎゅ?」
野乃さんの疑問はたしかに最もだ。待ち合わせ場所をここに指定した理由がいまいち分からないし、主たる用事も未だ説明されていないのだから。
「ハリー、そこん所しっかり説明してもらえるかな?」
「──へ?お、おう……ゴホン!ふっふーん。ココはな、オレらの家や!」
「家……?」
怪訝な表情で泉の水面を覗き込みながらハリーの単語を反芻する野乃さん、キュートだね。
まあ、それはそれとして。
「おいネズミ。君はともかく赤子のはぐたんに野宿をさせるつもりか?本気で此処を家などと宣っているのなら……思いきり投げ飛ばす」
「ま、待ってえな!野宿なんかするわけないやろ!オレやってゴメンやし!あと、ネズミちゃうわ!ハリハム・ハリー!はな!クリスタル!ミライクリスタル出し!」
「んー、ネズミなのに偉そう」
僕の雰囲気を感じ取ったハリーは野乃さんへ急かすようにミライクリスタルを要求し、いそいそとキャリーケースの中を物色し始める。
「何回言わすねん、ネズミちゃう言うてるやろ。ハリハム・ハリぃ、やっ!」
再び自身の呼称を訂正しながらハリーが探し当てたであろうアイテムを空中へと放り投げる。よくみると何かオモチャの家のような形をしている。
すると、不満げな表情で野乃さんが取り出したミライクリスタルからキラキラと放出されたアスパワワがそのオモチャの家を包み込見始めると共に、一瞬で大きな一軒家へと姿を変えたではないか。
かがくのちからってすげー!
これで合ってるのかな。
「ええー⁉︎」
「はっはっはー!ミライクリスタルがあったらこんなことも出来るんや!」
「すごーい……!」
「なるほど。人目を避けた理由がよく分かったよ」
「驚くのはまだ早いでぇ?」
「え?」
「まだあるのか」
これ以上に凄いものなどそうそうないと思うがなぁ。
「ハリー!イケメェンチェェェェンジ!」
ハリーは掛け声に合わせて某覆面ヒーローをオマージュしたかの様な変身ポーズをとると、たちまち煙が上り始める。
「っふ……」
「ええ⁈」
「あ?」
かと思えば一瞬で煙が晴れた中から、まったく知らない顔だけはやたら憎たらしいまでのイケてるメンズが姿を現した。ていうかハリーだった。あ、もしやあの書き置き。この変身姿で残していったのではないだろうか。だとしたらあの時の疑問への解としても結びつく。
いかん。イケメンスレイヤーの血が疼いて、今にでもあの自信と誇りに満ち溢れたドヤ顔を殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られてしまいそうだ。ただでさえ素面が鬱陶しいのに、口で「ドヤァ」とか言い出されたら僕初めて人を殺めるかもしれない。
「ドヤァ」
「上等じゃないか。全ての骨を叩き折られてその命を散らすか、全ての内臓を潰されて最期を迎えるか選ばせてやる」
イケメンは全て殲滅する。女の前に出てこないイケメンだけが、良いイケメンだ。
「守鋼くんストップストップ!その人ハリーだから!」
「な、なんや⁉︎どないしたんやお前!ごっつ怖い顔しとるでケント!」
ええい、放さぬか!余は今からこのうつけをあるべき所へ屠り返さねばならぬのだ!さっさと余の腕に巻きつけたこの柔らかくきめ細やかそうなか細い腕を──腕、を…………腕……を…………腕……?この、腕は、誰の腕?野乃さんの、腕?つまり……女の子の、手?その手が触れてるのは……僕の腕?あれ……なんか、今度は甘い匂いがが………だんだん……だ──
「あ、あれ……守鋼くん……?おーい、おーい……ダメだ、目の前で手を振っても反応しない」
「よう分からんけど、あのままやったらオレの命はさっきまでやったかも知れへんな。はな、ようやった」
「あ、うん……なんかよく分かんないけど」
「ぃ…ぃ…ぇあぁああ!」
「え、なになに?」
「──⁉︎はぐたんの泣き声が!」
「あ、守鋼くん戻ってきた」
「これはオムツやな。早よあの中へ」
あれ、何故だ。ハリーがイケメンになった姿を見てから今の間の記憶が全くないぞ。何があったんだっけ。何だろう、凄く忘れてはいけないことを忘れてしまっている気がするのだが。
もやもやとまだ胸のつっかえが取れずにいるものの、彼等が明かりの灯る大きなお家の中へと向かい始めていたので、一先ず僕も彼等に続いて行くことにした。
「えーっと、これをこうして……ここをとめる、と」
「は〜!いひぃ♪」
ハリーに教わりながら、野乃さんが慎重に新しいオムツをとめ終えると、異物が取り除かれて清々したと言わんばかりの笑顔ではぐたんが足をバタつかせて喜びを表現している。
今度僕も教わろうかな。ほら、将来子供が出来た時とかの為に、ね?いや子供どころか相手が出来るかも知らんけど。念の為にさ。
「よかったぁ」
「やっぱりオムツやったな」
「はぐたんも喜んでるよ」
『いぇい!』
三人で親指を立て、成功の喜びを分かち合う。でも、僕だけ何もしてないんだよなぁ。ただ見てただけなのに、その場の雰囲気につられてついやってしまった。まあ二人とも何とも思ってないみたいだし、いいか。
「ねえ、ハリー質問。あの怪物はなんなの?」
数分後、はぐたんが寝息を立て眠りについたのを見計らい、野乃さんがハリーへ落ち合った理由の核心となる質問を投げかけて説明を求める。
確か、名前はあのチャラ男が『オシマイダー』とか言っていたな。何だか某宇宙人のエリート王子が同宇宙人の伝説と謳われていた超形態を目の当たりにした際に零していた寝言の様な弱音と似ている気がする。
「あれは『オシマイダー』。『クライアス社』が生み出したバケモンや」
「クライアス社?」
「そうや。オレらの世界をめちゃくちゃにした悪もんや。奴らはミライクリスタルを狙うてる。みんなの元気パワー、明日への希望のパワーがアスパワワ。その結晶がミライクリスタルなんや。それが奪われたら……世界から、未来が無くなる」
オシマイダーと呼ばれる怪物やクライアス社という名の組織の説明が進むに連れて、ハリーの表情は険しさを増していた。表情から察するに、彼自身も奴らには手酷い仕打ちを受けていたであろう事が伺える。赤子や少女を何の躊躇いもなく危害を加えようとしていたあのチャラ男からして、クライアス社が如何に道理の外れた輩であることが望まずとも知れてしまった。
なんと度し難い連中だまったく。己が目的の為ならば多少の犠牲など厭わないという考えならば、僕が真っ向から奴らに立ち向かい、全うな人間へと改心させてやりたいぐらいだ。
「未来が、無くなる⁉︎───て、どういうコト?」
「え、野乃さんもしかして今の説明でピンと来てないの?」
「うん……ちっとも」
え、やだ。さっぱりと言った様子で首を傾げる野乃さん可愛いすぎる。
「っちぃ!ま、分かりやすぅ言うたら、時間が止まってしまうんや」
「はぁ」
「ごめん、ハリー。まだ届いてないっぽい」
「っ!誕生日もクリスマスもお正月も来ぃひんちゅうこっちゃ!」
「ええ⁉︎めちょっく!」
「やっと飲み込めたようで安心したよ」
天然なのかな?それとも──いや、そんなわけないだろう。決めつけは良くない、うん。
「そして……はぐたんも大きなられへんのや」
「あ……」
ハリーが最後に決定的な問題点を提示したことで、野乃さんは事の深刻さを真に理解し、目を見開いたまま顔を上げる。
そんな重要な話が二人の間で繰り広げられている中、野乃さんの挙動に一々目を奪われて一人だけ的外れな事を考えている腑抜けた男がいるらしい。無論、僕だが。
「プリキュアなら、みんなの未来を守れる」
「そっか……私、頑張る!」
「それにケント。お前も力を貸してくるんやったら、更に百人力や。恐らく、プリキュアだけでは敵わんような敵も、お前やったら……!」
「ああ、任せてくれ。人助けは僕の得意分野だ」
「助かる。よし、話を戻すで!プリハートはあと三つある。まずは一緒に闘ってくれる仲間探しやな」
『うーん』
「なんや?」
つまり残り三人に自身の正体をバラさなければならない上に、命の危険に晒される闘いに身を投じて貰うことになるわけで。
人助けを行う身としては、あまり気が進まない案件だなあ、これは。
「プリキュアは私一人でやる」
恐らく野乃さんも同じ考えに至ったのか、そう高らかに宣言する。
「野乃さんに同意かな。態々増やす必要もないと思う」
「なんやて⁉︎」
驚きのあまりハリーがネズミに戻った。
「はぐたんは私が守る!それに、一人の方がカッコいいじゃん?目立つ!」
あ、全然違ったわ。まさかの楽天的な思考でしたねこの子。でも許す、可愛いし。
「ええぇ⁉︎」
「プリキュアは負けない!安心して!」
「不安しか見えへん……」
「言っておくけど、僕はそういう意味で言ったんじゃないからね?」
「ああ……この先コイツだけやなんて未来守れるんか……?」
「話きけよネズミ」
時は遡り、放課後。私は案内してくれた薬師寺さんと一緒に図書室でそれぞれの用事に取り掛かっていた。
「うーん……」
短時間で用事を済ませた私と違い、薬師寺さんは大きな用紙へペンを走らせては、時折今のように顎先へ手を当てて何かを考えているような仕草が気になり、声を掛けてみることにした。
「何書いてるの?」
「ひゃ⁉︎学級新聞を……」
覗いてみると、綺麗な文字で、吹奏楽部が全国大会へ出場が決まった記事として書かれていた。
「へぇ〜」
「毎月作ってるんだけど、なかなか興味を持ってもらえなくて」
「んぅ…」
興味を惹かれる話題かぁ……でも、私転校してきたばかりだから、この学園のことなんも知らないんだよねぇ。
「プリキュアのことでも書こうかな?」
「ん?めっちゃいいと思う!超イケてると思う!」
その手があった!私だってバレちゃいけないけど、プリキュアとしての活躍はみんなに知ってもらえるんだもん、こんなチャンス、逃すわけにはいかないもんね!
「どんどん書こう!プリキュア!」
「そこ静かに!」
「あ。スビマセン……」
テンション上がってやっちゃったー……ここが図書室だって事すっかり忘れてたよぉ……めちょっく。
「野乃さんて、マウンテンブルーバードに似てる」
「んぇ?」
マウ……何と?
「マウンテンブルーバードはスズメ目ツグミ科の鳥で……あった!これ!」
「ハッ⁉︎」
「ね?」
薬師寺さんがパソコンで検索して私に見せてくれたその画面には、ふてぶてしい目つきで、羽毛のせいなのかぽっちゃりとした体型の青い鳥が堂々と木にとまっていた。これが、私みたい?
「似てる……?」
「可愛くてそっくり!」
「あ、ありがとう!」
「ふふっ」
ちょっと照れくさいけど、薬師寺さんが楽しそうで何よりかな。
「パソコン得意なんだね」
「知らないことを調べて考えて、分かるのが楽しいから。けんとも、知り合ったばかりのころ同じこと言ってたの。その時なんてパソコン触るの初めてだったみたいで、いきなり電源ボタンを押して切っちゃうんだもん、驚いちゃ──あ…………その、余計な話だったよね、ごめんなさい」
口を滑らせてしまったのか、話を途切った薬師寺さんは、さっきの教室の時のようにどこか切なそうに俯いてしまった。
「全然そんなことないよ!えーっと、けんとって守鋼くんのこと、だったっけ。さっきはちょっと……気まずい感じになっちゃったけど、普段は仲良いんだよね?」
「うん……でも、さっきのは私の一方的な問題だから、彼は悪く無いし、悪気もないの。ただ私の助けになりたいだけなんだって分かってるから……」
「何だか羨ましいなぁ」
「え?」
「私にはさっきのやり取りの内容はよく分からなかったけど、二人はお互いに気兼ねなく話せる仲なんだなーって。来たばっかりの私でもすぐに感じたぐらいだもん。きっと大切に思ってるんだね」
「そ、そんなっ。私はともかく……けんとは──」
「んーん、絶対そう!薬師寺さんがピンチになったら、守鋼くんはいつでもどこでも駆けつけるよ!そんな人の気がする!」
「そう、だったら……嬉しいな」
「うんうん、間違いない!だから、明日にでも仲直りしなよ!私も手伝うからっ」
「ありがとう野乃さん」
「いやいやぁ、それほどでも」
私にしては上手く説得出来たかな。
薬師寺さん、さっきとはまるで別人みたいにキラキラしてる。
「あ、そうだ!さっき薬師寺さん、調べて分かるのが楽しいって言ってたよね?そういうの、新聞に書いたら?」
「え?ダメだよ。みんな興味ないと思うし」
「えー?私読みたーい」
「え、そう?」
「書いて書いてー!」
「じゃあ、書いてみよっかな」
すっかり吹っ切れたみたい。これなら、凄く面白い学級新聞が出来そうかも!今から楽しみだなぁ!
あ、そうだ!
「ねえ、もしプリキュアのことを書くなら、イラスト描いていい?」
「?いいけど」
「やった!」
薬師寺さんからオッケーを貰うと、早速新聞へプリキュアの絵を描いていく。
「できたぁ!」
「すごーい、上手!」
「ありがとう!新聞楽しみぃ♪」
「うん、頑張る」
その後、薬師寺さんと分かれ、はぐたんや守鋼くんが待っている場所へと急いで向かった。みんな、新聞見てくれるかな?
ークライアス社ー
無骨なビルが建ち並ぶその一角に、一際目を張る高さを持ちながら少しの明るさも感じられないビル。その中では、あのチャラ男風の男が、上司へと報告書を提出していた。
「で、プリキュアもミライクリスタルも発見できなかったと」
「へい。次こそはオレちゃん、やっちゃいますから」
「頼もしいな」
「てことで(っちぃ、プリキュアめ!)」
彼は再び動き出す。絢飛達の前に姿を表すのも、そう遠くはない。
はな視点ではモノローグ描写はあまり固くしないよう意識しました。
キャラを考えたら、そういう感じじゃないですもんね。