スティルからの話を適当に誤魔化しながら歩くこと三十分程。
森を抜けることができた。
前面の視界には大草原が広がっている。
「おぉ……」
つい感嘆の声を漏らしてしまう。
元の世界ではあまり見られなかった景色だ。
「森から出るのは初めてですか?」
「いや、そんなこと無いんだが、久しぶりに見る光景でな。」
スティルは首を傾げる。
「こんな草原そのへんにいっぱいあるでしょうに。まあいいです。さあ行きましょうか、もうすぐ着きますよ。」
「あぁ、早く行こう。」
俺は表面上は落ち着いていたが、内心ワクワクしていた。
この世界の街という物がどんな風なのか楽しみだ。
少し歩くと街らしき建物群が見えてきた。
「あれが街か?」
浮かれながら聞く。
「はい、あれがパックリブです。」
遠目に見てもそれなりに大きな街に見えた。
中世ヨーロッパのような建物群が立ち並んでいる。
「早く行こうぜ!」
ハイテンションでスティルを急かす。
「はいはい、わかりましたよ。」
と言ってスティルは歩く速度を早めてくれる。
後は特に語ることも無い。
街には門番などはおらず、あっさり入ることができた。
「おぉ……」
と本日二度目の感嘆を漏らす。
それも仕方ないと思う。
何故なら色々な種族が当たり前のように街を闊歩したいたからだ。
しかし、ここではしゃぎ人目を浴びるのは嫌だ。
と、少し自重することにした。
「まずは何をするんだ?」
「そうですね、まずはギルドに行って冒険者登録をしましょうか。」
「よっしゃ!……あ、その前にちょっとトイレ行っていいか?」
「ええ、ではそれも兼ねてギルドに行きましょう。」
どちらにせよギルドに行くことには変わりなさそうだ。
それから道中道具屋や武器屋、防具屋の紹介をされながら街の中央にあるギルド前に着いた。
周りに比べ少し大きめの建物で、両開きのドアを開けずとも中の喧騒が聞こえてくる。
ドキドキしながらドアに手を掛け、開ける。
開けた瞬間、視線がこっちに向くのがわかる。
明らかに視線を集めている。
とりあえずスティルにトイレの場所を聞き、トイレに行く。
用を足す目的も有ったが、それ以上に
「有った、鏡だ……」
自分の姿が気になっていた。
服装や体の形はなんとなくわかっていたが、スティルと居たためまじまじと見るわけにもいかず、こういうところで鏡を見たかったのだ。
そして鏡を見て驚く。
「なんだ、これ……」
なんと俺はめちゃくちゃ美人のエルフになっていたのだった……
まず、耳が人間のものとは違い、尖っている。
俗にいうエルフ耳である。
そして、長めでややクセがある銀髪、透き通るような白い肌にパッチリ大きく開いた碧眼、整った顔立ちは十中八九の人はすれ違いざまに振り返るだろうし、スタイルはそのへんのモデルじゃ比べ物にならない程で、身長でいうと170cm程度だ。
無駄な脂肪などは一切ついていない。
そして服装はへそ出しTシャツのようなものにホットパンツ、そしてスニーカーと動きやすいが露出多めで目のやり場に困るだろう。
「なるほど……視線を集めるわけだ……」
1人で納得してトイレを出る。
すると、トイレを出たところで男たちに質問攻めにあっているスティルを見つける。
「お前何処であんな上玉見つけたんだ!?」
「エルフとかやべーなおい!」
「俺にも可愛い彼女くれよ!」
「いやむしろお前をくれ!」
など。いや、最後のは大丈夫なのだろうか……
それに対してスティルは
「いや、あの人はただのパーティメンバーだから……あと最後の人はお断りします。」
と弁解している。
すると男たちは
「マジか!」
「じゃあ俺たちにも?」
「チャンスが?」
「そんなぁ〜(´・ω・`)」
と口々に言った。
そこでトイレから戻ってきた俺に気付いたスティルが、
「あ!リズさん、冒険者登録をしましょう!受付嬢さんのところへどうぞ。」
と受付嬢のところへ行くように促す。
「はいよ、りょ〜か〜い」
と適当な返事を返し、受付嬢の前へ。
「冒険者登録がしたいんだが。」
「はい、冒険者登録ですね!ではこの機械に手を置いてください!」
言われた通りに不思議な機械に手を置く。
すると機械が光り、機械の下の方の口のようなところからカードが出てきた。
「では確認しますね。」
と言ってカードを取った受付嬢の顔色が変わる。
「え、え〜と、あなた……名前は……?」
「え……?リズだが?」
「ええ、リズさんですよね?て、ことは故障じゃないんですね……」
「なにか有ったのか?」
心配になりながら問う。
「あなたは、ハイエルフです。」