Ex 魔理沙   作:アサルトゲーマー

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前話の答え
1「実はそのケーキ、美鈴のお気に入りなのよ?」
 →マジで味音痴だった

2「あのしょっぱいケーキ、私は味見すらしたことは無いわ。この意味、わかる?」
 →マズそうだったから妖精メイドの口に突っ込んだ

3「さっきの数字 私が、幻想郷に来る前に殺した人数よ」
 →嘘。ただし殺してないとは言ってない


瀟洒ライトマシンガン

 ある日の事だ。

 僕、こと森近霖之助は無縁塚で外の世界の武器を手にした。その名も『ショウシャ(勝者)』という。いかにも縁起を担いでそうな命名だ。

 外の武器らしいゴツゴツとしたデザインに、外の物らしくないペラペラの金属部品。正直な話、用途は『弾幕を張る』ための物なのだが…銃にしては実に重い。米俵の半分から三分の一くらいの重さはある。

 こんな物を担ぎながら弾幕を張れるような人間が居るのかどうかは気にはなるが、一応は危険な物なので持ち帰ることにした。何処かのお転婆が拾ってしまう前に。

 しかしだからといって店の近くに置いておくのも失敗だったと、今の僕はさんざん後悔していた。

 

「なぁ香霖、このでっかい鉄の塊は何だ?」

 

 そう、僕の悩みの種といえば大体魔理沙だ。人が居ない時も勝手に上がり込むし、気に入った物があれば勝手に持って行ってしまう。この間はショット・ガンの弾まで盗まれた。

 そして今、頭痛の種は魔理沙の肩に担がれている。そもそも裏庭の一番見えにくいところに埋めておいたのに、どうやって見つけたというのか。これでは最早どこかのネズミである。

 

「魔理沙、気になるのは分かるがそれを降ろしてくれ」

 

 それを聞いた魔理沙は言われなくてもそうするぜ、とぼやきながら壁に立てるようにして置いた。

 置く時にドスンという音が響いたが、魔理沙は気にせずそのまま筒状の部分を握りしめている。

 

「これは外の世界の機関銃だ、弾幕を張る機械だよ。僕は正直前ので懲りてほしかったんだけどね」

 

 そう言って僕は大きくため息をついた。魔理沙はというと興味深そうに機関銃を眺めている。

 

「機械か…にとりに見せてみるかな」

 

 正直これを持ち出すのはかなり骨だと思うのだが言わないことにしておく。

 この銃は不思議な事に弾倉が外れない類の銃だった。昔、同じ種類であろう銃の弾倉はしっかりとボルトで固定されていたが、この銃にはそんな物は見当たらない。恐らくは『電気溶接』とかいう技術を使って繋げたのだろう。

 中が覗けないので空撃ちをしてみて、中に弾が無いという事は分かってはいた。持ち出す事自体には問題は無いのだが…正直、こんな鉄のカタマリは破棄するのに手間が掛かる。

 と、ここで僕はあることを思いついた。

 

「そうだ魔理沙、にとりは河童だったよな。それを持ち出して分解とかするのは構わないから廃棄してくれないか?」

 

 我ながら狡賢いな、と思う。そもそも僕が銃の類を持ち帰るのは、用途を知らない誰かが誤った使い方をして事故を起こすのを防ぐためだ。事故が起こせる場合は『特殊』な処理をする。そして事故が起こせないと分かれば後はもう破棄するだけなのである。要するにただのゴミだ。

 そしてただのゴミを喜んで引き取ってくれる人物というのが…目の前の少女、という訳になる。

 

「いいのか?この間の散弾銃は散々渋った癖に」

「渋ったのは危険があったからだよ。危険さえ無ければ、少なくとも僕は銃に興味は無いな」

 

 銃に興味が無いというのは嘘だ。正直な話、用途さえ目を瞑れば構造は神がかり的に洗練されているし、形も人の手に嵌まり込むように合うよう出来ている。まさに英知の結晶といえる作品ではあるのだが、やはり用途が用途である。

 なんだかんだで銃には興味があるが、ここは嘘も方便。そう言っておいた方が魔理沙も銃を持って行きやすいだろう。

 内心勝ち誇った感じで腕を組んでいると、僕の店に誰かが立ち入った。

 

「あら、相変わらず開店休業みたいね」

 

 店の扉を開けたのは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜だった。さっきは誰か、と思ってしまったが、咲夜は立派なお客様だ。魔理沙や霊夢とは違ってちゃんとお金を払って買い物をしてくれる。 

 それを見た魔理沙は今まで見たことのないくらいの渋面をしてあわてて踵を返した。

 

「おっと急用ができちまった!じゃあな香霖!こいつはもらってくぜ!」

 

 魔理沙は素早く店を出ると箒をかかえながら機関銃にまたがって飛び去って行った。箒と銃が逆だよ、魔理沙。

 

「あらあら、随分嫌われてしまったようね」

「一体魔理沙に何をしたんだい?」

「ちょっとした悪戯、ですわ」

 

 咲夜は目を細めてコロコロ笑った。

 

「改めて、いらっしゃい。何をお求めだい?」

「外の世界の武器が載った本を」

「パチュリーさんの為のかい?」

「ええ」

 

 僕は立ち上がって本棚から『世界の武器』という本を抜き出そうとしたが隣にあった『世界の変武器』を落としてしまう。それを拾おうとしたが、咲夜に先に拾われてしまった。

 彼女は本をくるくる回して観察してから中身をペラペラめくって読み始める。

 

「君も武器に興味が?」

「そうね、変な形をしたナイフなんかは好きよ」

 

 咲夜の手が不意に止まった。

 

ショウシャ(瀟洒)?変な名前の武器ね」

「君の二つ名と同じだね。そういえばさっき魔理沙が持って行った物もちょうどそれと同じ名前さ」

「…へぇ。霖之助さん、ちょっとこれを読んでもらってもいいかしら?」

 

 咲夜が僕の目の前に本を広げた。そこは当然ショウシャの載ったページである。

 

「これが何か?」

「重要なのはここ。霖之助さんはちゃんと確認してから魔理沙に渡したのかしら?」

 

 咲夜がある場所を指さす。そこには弾倉が薬室が動かなくなる不具合や不発、暴発しやすい構造などの欠陥が書かれている。

 僕がしたことと言えば空撃ちをしたくらいだ。もしあの空撃ちが銃の不具合で不発していただけだったとしたら…。僕の体がぶるりと震える。

 

「今なら本二冊で手を打ってあげるわ。どう?」

 

 僕は分かりやすいぐらい動揺していたのだろう。彼女の手には先ほどの『世界の武器』と共に『世界のナイフ辞典』が握られていた。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 香霖堂の店主に取引を持ちかけたのは、パチュリー様より頂いたお代をナイフ購入の資金にしてしまおうというちょっとした下心から来たものだった。

 

「だからって、どうしてこうなるのよ」

 

 私の眼前には魔理沙とにとり。にとりは作業台に向かっていて、その背後から魔理沙が覗いている。問題はその作業台の上だった。

 『今から破裂しますよー』と言わんばかりに膨らんだショウシャ。銃口からは火花が散っている。時間を止めているためこれ以上膨らむことは無いが、このまま放置すればふたりが爆発に巻き込まれるのは簡単に予想できた。

 私は魔理沙とにとりを家の外に放り出してから時間の流れをもとに戻す。

 ドカンという音と共に魔理沙たちが動き出した。

 

「あっ、咲夜だ。やっほー」

「うわっ!切り裂き女!」

 

 いきなり連れ出されたというのに、にとりはのんきだ。紅魔館にでも置けば私の癒しになるかもしれない。一方で魔理沙は辛辣といった具合だった。また苛めてあげようかしら?

 

「せっかく助けてあげたのに。魔理沙は薄情ね」

「助けた…?あ、さっきの爆発音ってまさか」

 

 にとりが家の中を見る。そこにはバラバラになった金属部品が散らばっていた。

 

「ひょえー、爆発したのかぁ。ありがとね、咲夜」

「どういたしまして」

 

 そういってにとりは頭を下げた。うん、今度持って帰りましょう。かたや魔理沙はバツが悪そうに帽子を掴んで顔を隠していた。

 

「魔理沙、貴女は『ありがとう』も言えないのかしら?」

「その…悪かった。ありがとう」

「どういたしまして」

 

 ようやく魔理沙も素直になった。子供を褒めるように魔理沙の頭を撫でる。

 

「な、なんだよ」

「別に?ただ、魔理沙がショウシャ(傷者)にならなくて良かったなと思ったのよ」

「何の話だ?」

「ただの言葉遊びよ」

 

 私は魔理沙から離れた。多分、私はイジワルな顔をしていると思う。

 

「私が勝者(瀟洒)であり続ける限り、あなたが勝者(傷者)になることはあり得ない」

「何が言いたいんだ?」

「そうね、魔理沙はまず敗者(拝謝)から始めてみればいいんじゃないかしら?」

「…はぁ?」

 

 魔理沙は首を傾げた。まったく、魔理沙をからかうのは面白い。

 今度魔理沙が紅魔館に来たときは、ベリー(赤い)ソースの乗ったケーキでも出してみよう。この子の反応が今から楽しみだ。




ショウシャ軽機関銃とは伝説の欠陥兵器です。これを使うと敵がいなくとも負傷者がでるそうな。
この武器を使わざるを得なかった人は銃剣を取り付けて仕方なく槍として使ったそうですよ。
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