電気ネズミになって   作:ドッペラん

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遅くなり申し訳ありません。
忙しかったもので!


森を抜けて

さて、俺を連れていけとは言ったものの…

ここはどこなのかも分らんしな。

ん?シンオウ地方だって知ってるだろって?

違う違う、シンオウ地方の何処なのかって話な。

恐らくは202番道路ではないか?

アリアが目指しているのはナナカマド博士のいるマサゴタウンだ。

 

なら、余程の迷子でなければ202、201番道路な筈だ。

 

やけに詳しい?まあ、やりこんだしな。

だが、そうだとしたら、ここはマップ外…つまりは俺の知らない場所ということになる。

だったらハクタイの森の方が楽なのだが。

 

「ねえねえ、ピカチュウはここに住んでいるの?」

 

「ピ?」

 

唐突にアリアに聞かれた。

いや住んでないとはいいたいがあっちは俺の言葉を理解できないからなぁ。

 

「ピカピカ。」

 

なので、声と共に首を横に振る事で違うと伝える。

 

「そうなんだ。それなら、ピカチュウも旅人みたいな感じなのかな。」

 

「ピカ…(旅人ねぇ…)」

 

正直未だに実感が沸かない。

俺がピカチュウになったこと。

それに俺は諦めたのであって、納得はしていない。

もっと言えば、何故俺がという疑問は晴れぬままだ。

 

ずっとこうなのだろうか。

だとすると、少し辛い。

 

俺は人間なのであって、ポケモンにはなり切れない。

 

アリアとも出来れば人間の体で話してみたいし。

 

「旅人じゃおかしいかな、旅ポケ?」

 

「ピカァ…?(語呂悪くない?)」

 

「あ、あはは…センスないなぁ私。」

 

少し落ち込むアリアに俺は苦笑する。

何だかんだこの子は良い子の部類に当てはまるんかな。

ポケモン相手だからなのかもしれないが、それでもこうして接してくれるのは精神的に癒しだ。

 

まあ何はともあれ、こうして森を歩いているが…何か、外に出ないな。

思ったより奥の方なのか?

 

「うーん、ここ、何処だろうねぇ。」

 

「ピカ。(森だな。)」

 

「分からないよね…」

 

あうぅ、と落ち込むアリアに転生したもんで、なんて言えないからピカ語しか喋れん。

軽く詰んでいるが、この可愛い子と餓死するならあり…ではない。

そこまでおかしい神経してないただのピカチュウなおっさんである俺にはこの子の親御さんの為にも俺の為にも、そんで寂しさを無くしてくれたアリアに恩返しとして森から出るのだ。

取り合えずここから出てナナカマド博士に会いたいな。

 

そうして、アリアと進むこと何十分。

 

俺達は発見をした。

 

「ムク」

 

「ピカ、ピカピ!」

 

「ムックルだぁ!」

 

そう、ムックルを発見した。

そんなことかと侮るなかれ、ポケモンがいるということは話せる。

 

俺はアリアに仕草で待っててね、と伝える。

アリアは理解したようで頷いてくれた。

ありがたい。

俺はムックルに近寄る。

 

「ピカ!(おーい)」

 

「ムクッ?(何ですか?)」

 

おお、礼儀正しい。

ムックルはやかましいと聞いたが、このムックルは大人しい性格のようだな。

 

「ピーカ、ピカピッカ(人のいる場所を知らないか?彼女、迷ったみたいで。)」

 

「ムクゥ?ムックル!(大変でしたね?人のいる場所ならこの先を進むといいですよ。随分と奥まで行ったんですね。)」

 

「ピカァピカ、チャァ…(そうらしいな。ありがとうな、また会おうぜ!)」

 

「ムクルゥ(そうですね、何時か再会できれば、また。)」

 

そう言って、ムックルもまた飛んで行った。

羽休めをしていたのだろう。

ありがたいこった。

 

俺はアリアの元まで戻って笑顔で一声鳴いた。

アリアはパァッと花が咲いたような笑顔になった。可愛い。

 

「出口が分かったんだ!ありがとう、ピカチュウ!」

 

「ピッカぁ!(いいってことよ)」

 

俺は紳士だからな。

もっと褒めて。

 

俺はアリアを案内するべく前を歩く。

 

ずっと奥へ奥へ進む。

すると、ムックルの言うとおり、出口が見えた。

 

俺とアリアは顔を合わせてガッツポーズ。

出口まで走った。

 

そうして…

 

「出口だぁぁ!」

 

「ピカァァ!(やったなアリア!)」

 

喜びを分かち合う。

森を抜けるとそこは人の進みやすいように整備された道。

段差もあるがさほど高くはない。

 

202番道路か?

 

キョロキョロと横を見ると左側に小さな町が見えた。

マサゴタウンか!?

 

俺はアリアにマサゴタウンと思わしき町を指さして鳴いた。

 

「マサゴタウン!やっと見つけたよぉ!行こう、ピカチュウ!」

 

「ピカ(おk)」

 

俺とアリアはマサゴタウンへと走った。

然程距離はなかったからすぐに着いたが妙な達成感があった。

何だか童心に還った気分。

 

たどり着いたぜ、マサゴタウン。

 

アリアは研究所を見つけたようでそこへ行こうとするが、止まって俺を見る。

ん?どうした?

 

もしや、俺を置いていくと思ったか。

 

新米なんだ、3匹の中から一匹貰ってきな。

そりゃ、俺も行きたいがやめとけ。

アリアにはしっかりとポケモントレーナーとして歩んでもらいたい。

 

俺は俺で行くさ。

 

アリアは考えてから、俺の近くまで来て、しゃがむ。

 

「私と旅しようよ、ピカチュウ!」

 

「…ピ?」

 

え、待ってくれよ、最初の一匹だぞ?

俺でいいのか?

いつか居なくなるかもだぞ?

 

俺で、いいの?

 

「ピカチュウがいい。私、君と旅がしたいよ!」

 

笑顔で手を伸ばしてそう言うアリアに、少しだけ呆然とする。

本気だと思った。

 

…しばらくして俺はアリアの手に小さな手を乗せた。

 

「ピッピカチュウ!(俺でよければ、俺もしたい)」

 

「…ピカチュウ!」

 

「ビガァ!?(ぐえっ!?)」

 

抱きしめられた。

苦しい、苦しいですアリアさん

 

 

 

「そこの君たち、少しいいだろうか?」

 

 

 

「へっ?」

 

「び、ピカァ…(解放された…死ぬかと)」

 

俺はアリアが話しかけられたことによって解放された。

そして、俺は誰だろうと顔を見る。

 

「あ、貴方は!」

 

「ぴか…!?」

 

「ああ、自己紹介が遅れたな。」

 

 

 

「私はナナカマド、ポケモン博士をしている者だ。」

 

 

 

俺達は、会いたい人物に出会った。

あちらから話しかけられる形で。

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