というわけでダイチ君&イーブイ戦です!
互いにいつでも駆け出す準備はできている。
睨みあい。どう動くかを互いに見定めるように見る。
緊張状態を最初に切ったのはあちらだった。
「イーブイ、たいあたり!」
「ブイッ!」
「ピカチュウ、避けて!」
「ピッ(存外速いな)」
小柄ながらも勢いの乗った『たいあたり』を危なげなく避ける。
レベル差はあるとはいえ、当たれば痛いだろう。
てなわけで、ピカチュウです。
バトルが始まって、イーブイ氏のやる気が伝わる伝わる。
とはいえ、ダイチ君には悪いが下手しなければ勝てる試合である。
極力アリアの指示には従うつもりだから負ければそれはそれだが。
俺の技はアリアもポケモン図鑑を通して確認済みである。
『かげぶんしん』でかく乱して大技でもいいんだが…
ちらりとアリアを見る。
「ピカチュウ、電気ショック!」
「ピカっ、チュー!」
「イーブイ、避けてたいあたりだ!」
「ブイブイ!」
「避けて、
「ピッカ!」
やっぱりだ。
出来るだけ強くない技を使っている。
強い技じゃない理由は、自分の指示できるレベルまでってことだろうか。
俺はイーブイの『たいあたり』を避けて自身に電気を纏い、体当たりを仕掛ける。
ボルテッカーもあるんだが、あえて、だろう。
俺でも驚くほど素早い『スパーク』はイーブイの横腹を捉え、ぶつかる。
まともに受けたイーブイは吹っ飛んで木にぶつかった。
「ブッ!?」
「イーブイ!?なんて強い一撃だ…!」
「その調子だよ、ピカチュウ!」
「ピカピ…(…だといいけどなぁ)」
「…ブ、イッ!!」
「!そうだ、勝つぞ!」
あのイーブイ、立ち上がりやがった。
痛みを耐え、トレーナーにまだやれると笑ってやがる。
ゲームじゃないと分かってたはずだ。なのにどこか夢見心地だった。
そうだ、この感情。
何だか、ワクワクする。
そうか、これがポケモンバトル。
これが現実か。
俺はアリアを見る。
今度はしっかりと。
俺の意思を目で、顔で伝える。
――一回全力で、やらせてくれ
アリアは驚いたように目を見開く。
そうだ、あっちは全力だ。
なのにこっちは手加減だなんて。
失礼だと思った。
だから、全力で。
「…分かった、やるよ、ピカチュウ!」
「ピカァ!」
「いけ、イーブイ!」
「ブイッ!!」
互いが互いへと迫っていく。
この熱意を感じたまま、駆ける。
「ピカチュウ!――『ボルテッカー』!!」
「っ!?」
アリアの指示を聞き、その通りに技を出す。
先ほどの『スパーク』とは桁違いの電気を身に纏い、駆ける速さを上げていく。
外す気はない。視界にしっかりとイーブイを捉える。
さあ、お前は何をする。
何をしてくれるんだ。
ダイチ君はイーブイを信じている。
イーブイもダイチ君を信じている。
あれが相棒ってやつなんだろう。
なら、何かしてくるはずだ。
滅茶苦茶だけど、そんな確信がある。
「イーブイ…『みきり』!」
「なっ…——」
「…ブイッ!」
「ピ、カ…!」
やってくれた。
まさかの『みきり』持ちだったとは…先ほどはとっさの判断が間に合わなかったということだろうか。
イーブイは俺のボルテッカーをその目でしっかりと捉え、当たると思った直前に避けた。
避けろといった指示に行う回避より洗練された回避。
それがこの世界の『みきり』なのだろう。
避けられた俺は『ボルテッカー』を使用したことによる反動で少なくないダメージを負った。
これが反動か…地味に体に来るな。
「まさか『みきり』を持っているなんて…」
アリアの驚愕も納得だ。
確か、イーブイの場合『みきり』はタマゴ技…つまりは野生で覚えない技だ。
俺も持ってるとは思わなかった。
そうだ、ゲームの時でもあった確かな高揚感。
相手が自分の知らない戦術を使ってくる時の驚愕とワクワク。
思い出してきた、これがポケモンなんだ。
負けてやるわけにはいかない。
こんな所で負けてちゃ人間になんて戻れやしないだろう。
「イーブイ、今だ!『たいあたり』!!」
「ブイィッ!!」
「ピカ!(アリア!)」
「うん!ピカチュウ――」
全力で、ボロボロになりながらも体当たりを仕掛けてくるイーブイに自然と笑みが浮かぶ。
なんて闘争心だ。
だから俺は頬袋に溜まった電気を放出する準備を整え、アリアに呼び掛ける。
「『10まんボルト』!!」
「ピカ、ヂュゥゥゥゥ!!」
アリアが指示したのはピカチュウの中で一番有名といってもいい技。
『10まんボルト』。
指示を出された俺はこちらへ駆けるイーブイへ喰らえばひとたまりもない電気を放つ。
「ブィィィ!」
まともに喰らったイーブイは強大な電気に苦しむ。
流石にこれ以上続けてはイーブイが危ない。
俺は電気の放出をやめて、イーブイの様子を見る。
「ブ、ィ…」
「イーブイ!」
倒れるところを慌てて駆け寄ったダイチ君に抱えられる。
誰がどう見てもこちらの勝ちだ。
「イーブイ、よく頑張ったな。」
「ブイ…」
「戻って休んでてくれ。」
ダイチ君はイーブイをモンスターボールに戻す。
そして、立ち上がってこちらへ歩み寄る。
「ありがとう、いいバトルだった!」
「う、うん!」
「ピカチュウもありがとな。」
「ピィカ?」
「あいつの全力に応えてくれてさ。すごく楽しかった。アリアとピカチュウは?」
負けてもくじけない心。
きっとダイチ君は強いトレーナーになる。
それも、アリアのライバルになりえる。
そんなダイチ君から楽しかったかと聞かれた。
「うん、楽しかった!ね、ピカチュウ!」
「ピカピィカ!」
ぶんぶんと頷く。
楽しかったからあんなに心が躍ったわけだし、色々と昔を思い出せた。
「ハハハ、そっか!…よし、俺もイーブイも負けていられないな!ポケモンセンターで回復したら特訓だ!」
「ダイチ君もやるの?」
「もちろん。ポケモンだけ大変なのは嫌だからね。もっともっと強くなってリベンジするよ!」
「…うん、その時は私ももっと強くなってるよ!」
「望むところだ!」
立ち直って強くなる。
うんうん、青春だね。
いかん、俺ったら涙腺が。
「アリアもこれからコトブキシティだろ?一緒に行かないか?」
「え、いいの?助かるなぁ、私ったら方向音痴だから…」
「そうなのか?じゃあ、尚更一緒のほうがいいな。そうと決まれば行こう。」
「うん!」
「…ピカァ(いやぁ…)」
コミュ力たっか。
これがポケモン世界の標準装備?
俺には真似できねぇ…
コトブキシティか。
ポケッチ入手イベントが思い浮かぶけど、どうだろう。
キャンペーンだったかで手に入るといいけどなぁ。
俺達はコトブキシティを目指し、歩き始める。
旅はまだ、始まったばかり。
こういう場面がいっぱいありそうだからポケモンは楽しそうに見える。
子供の時の心を揺さぶる思い出のゲーム。
剣と盾が今流行りですが、皆さんやってますか?
私は剣で虫ポケ縛りクリアした後フェアリー縛りクリアしました。
楽しい!